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独自規格のEVシリーズ変貌を急ぐも、製造遅延で日程改訂。9月開幕全3戦の集中決戦に/STCC

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独自規格のEVシリーズ変貌を急ぐも、製造遅延で日程改訂。9月開幕全3戦の集中決戦に/STCC

 6月中旬にユンビヘッド・パークことユンビヘッド・モートルバナで公式テストを予定し、今季2023年より完全電動化を表明していたSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権は、各種EVコンポーネントの「製造遅延」により、さらなるスケジュール改訂を実施すると発表。各タイムラインは数カ月単位で影響を受け、初年度は9月開幕の全3戦“短期集中決戦”に改められる。

 新たにBEVシリーズに生まれ変わることを表明した2023年のSTCCでは、エントリー枠を限定した各陣営3台体制、全4チームでの争いとなり、選手権参戦表明1番乗りのエクシオン・レーシングによる『BMW i4』を筆頭に、新興のチーム・オートラウンジ・レーシングはフォルクスワーゲンの電動ブランドから『ID.3』を、ブリンク・モータースポーツはTCR時代のアウディから『テスラ・モデル3』にスイッチ。そして強豪PWRレーシングはセアト・ディーラー・チームとして戦ってきた歴史も踏まえ、引き続きクプラブランドを代表して新型EV『クプラ・ボーン』で挑むことがアナウンスされていた。

強豪PWRレーシングが参戦発表。STCC電動化初年度にダールグレンを伴い3台の『クプラ・ボーン』を投入

 しかし次世代STCC車両に採用されるバッテリーシステムに関連し、昨今のサプライチェーンの問題により、シリーズは7月のファルケンベリで新たな時代を迎える予定だったスケジュールを変更。9月まで開幕を延期すると同時に、予定されていたイベントの数も「減らす以外に選択肢がない」という厳しい判断を余儀なくされた。

 これによりシェレフテオ、ゲラーローゼン・アリーナ、そしてヘルシンボリの港湾地区で予定されていたストリート戦のすべての大会は、来季2024年まで開催を待たなくてはならず、今季2023年は9月1日のリング・クヌットストープ、同16日のユンビヘッド・モートルバナ、そして23日のマントープパークの3会場にて、全イベントをダブルヘッダー化して対応することとなった。

「STCCの電動化により、我々はチャンピオンシップとスカンジナビアのモータースポーツ界にとってこれまでで最大の前進を遂げようとしているが、この大きな前進を前に、残念ながらEPWRとその下請け業者によって製造されている高度なコンポーネントの納期遅延には、耐えることができなかった」と語るのは、シリーズのCEOを務めるミュッケ・ベルン。

 名前の挙がったとおり、この新生STCCではPWRレーシングが運営する研究開発部門『EPWR』社が開発した電動パワートレイン『Kit』を組み込んだ車両が導入される計画で、最高出力550PS想定のモーターにより0-100km/hは3秒以下、最高速も300km/hをマークする。

■STARD社はサプライヤーの変更を決定

 そのリヤ駆動キットには800Vの高電圧を利用する45kWhのリチウムイオンバッテリーの搭載が予定され、サプライヤーには元WRCドライバーのマンフレッド・ストール率いる技術企業STARD(ストール・アドバンスド・リサーチ・アンド・デベロップメント)が指名されていた。

「遅延のためシーズンを9月に短縮する以外に選択肢はなかった。難しい決断を迫られるのはツラいことだが、しかし我々はEPWR、チーム、パートナー、主催者、そしてスウェーデンモータースポーツ連盟らと協議し、この歴史的な変化に必要な準備とテストを確実に実施できるよう、これを行っていくつもりだ」と続けたベルンCEO。

「2023年シーズンは当初の計画どおりにはいかないだろうが、我々は最善の方法で状況を解決するため24時間体制で取り組んでいる。この事態に対する理解と支援を表明してくれた前出の面々に、多大な感謝の意を表したいと思う」

 この遅延により8月までSTCCの新世代EV車両の完成を待つことになったシリーズは、9月の1カ月間で全3戦の短期集中決戦を強いられることに。また、バッテリーサプライヤーであるSTARD社は必要な部品を納入するために、納入業者の変更を余儀なくされている。

「残念ながら、バッテリーシステムの重要な要素を担当する戦略的に重要なサプライヤーの1社が、当社に対する契約を履行できず、結果的に違反した状態になった」と説明するのは、STARDの最高経営責任者であるマイケル・サコウィックCEO。

「このためサプライヤーを変更して新しい計画を立てる必要が生じており、残念ながら当初の計画どおり完全なシステムを提供できないことになりそうだ。発生した状況を遺憾に思うとともに、遅延の影響をできる限り軽減するべく、EPWRおよびSTCCと全面的に協力していくつもりだ」

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