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ベントレー コンチネンタルGT、あえてV8を選択する積極的な理由とは? 【Playback GENROQ 2020】

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ベントレー コンチネンタルGT、あえてV8を選択する積極的な理由とは? 【Playback GENROQ 2020】

Bentley Continental GT V8 Convertible

ベントレー コンチネンタルGT V8 コンバーチブル

フェラーリV8ミッドシップを新旧比較! F8トリブートと488GTBを徹底試乗【Playback GENROQ 2020】

気筒数は格にあらず

第3世代のコンチネンタルGTにV8エンジン搭載モデルが登場した。6.0リッターW型12気筒と4.0リッターV型8気筒が用意されるのは先代と同じ流れである。本場・英国でコンチネンタルGT コンバーチブルのV8モデルに試乗した。

「V8モデルをベントレー本社周辺で試乗、その印象を報告しよう」

コンチネンタルGTのクーペとコンバーチブルにV8モデルが追加された。私はこのうちのコンバーチブルにイギリス・クルーのベントレー本社周辺で試乗したので、その印象を報告しよう。

ベントレーと聞けば誰もがすぐにW12エンジンのことを思い浮かべるだろう。狭角V6エンジンを並列につなぎ合わせたようなユニークなレイアウトゆえに軽量コンパクトで、それでいながら12気筒ならではの滑らかさが味わえる名機として知られる。もともとはVWアウディの作品だが、現在はベントレーだけが採用しており、開発や生産もクルーがその本拠地となっている。

一方で近年じわじわと人気を伸ばしているのがV8モデル。先代のコンチネンタルGTに搭載されたのが最初で、続いて先代フライングスパー、ベンテイガにも採用。2020年モデルからは新型コンチネンタルGTにもラインナップされることになった。ちなみにベンテイガでは8割近くがV8で占められるほどの好評を博しているそうだ。

「W12と比べV8はもっと軽快にレスポンスよくパワーが立ち上がる傾向がある」

W12とV8を比べると、W12のパワーのわき出し方にはじわじわと迫る途方もない出力の大津波という印象があって、これはこれで荘厳というか畏怖の念を覚えるのだけれど、これに対してV8はもっと軽快にレスポンスよくパワーが立ち上がる傾向がある。もちろん滑らかさでいえばW12に分があるものの、だからといってV8の回り方が荒っぽいわけでもなく、文句なしにスムーズで心地いい。静粛性についてもまったく不満を覚えないほど2つのエンジンは高い完成度を誇る。

絶対的なパワーとトルクではW12の635ps、900Nmに対してV8は550ps、770Nmとやや差をつけられるのは当然として、コンバーチブル・モデル同士で0-100km/h加速を比較するとW12は3.8秒でV8は4.1秒と実用上の違いはなきに等しい。中間域の追い越し加速やレスポンスでも両者の差はまったくといっていいほど感じられないので、まずは「自分にマッチした回転フィールのエンジンをチョイス」することをお勧めしたい。

では、ハンドリングや乗り心地の違いはどうか? 前述した通りW12はシリンダー数が多い割に軽量コンパクトなことが特徴で、過去の例を見るとV8との車重の差は25-50kg程度に収まっている。ここには装備類の差も含まれるから、エンジン単体の重量差はさらに小さいと見ていいだろう。

「ルーフを開け放つ──オープンで走る爽快感は筆舌に尽くしがたい」

このおかげもあって、ベントレーはW12とV8のハンドリングを意図的に変えたり、これとは対照的にほとんど変わらない性格に仕上げたりしてきた。前者の好例が旧型フライングスパーであり、後者に分類できるモデルとしては旧型コンチネンタルGTやベンテイガが挙げられる。今回、クルー周辺のカントリーロードやモーターウェイを試乗した範囲でいえば、新型コンチネンタルGTも後者で、W12とほとんど変わらない味つけのように思う。

そのハンドリングは決して神経質だったりピーキーだったりしない穏やかなキャラクターながら、ゆるやかな曲率のコーナーと起伏が連続する片側一車線の狭い一般道を、全幅2mに迫るコンチネンタルGTで駆け抜けるのにまったく不安を覚えなかった。これはステアリングが正確でリニアリティが高い証拠。しかも、英国のカントリーロードの多くは制限速度が60mph(約96km/h)だから、日本でいえば高速道路のペースでワインディングロードを走っているようなもの。つまり、過敏でない範囲で優れたステアリングレスポンスを身につけていない限り、イギリスのカントリーロードをリズミカルに走ることは難しい。この点でもコンチネンタルGT V8のハンドリングは実にうまい設定と感心させられた。

それにしても、コンチネンタルGTのルーフを開け放って緑豊かな丘陵地帯を走り抜ける爽快感は筆舌に尽くしがたい。例によって最上級のレザーとウッドで覆い尽くされたインテリアは実に豪華できらびやかだが、ラグジュアリーカーを長年手がけてきたベントレーだけあって下品には陥らず、ただひたすらセンスがよくて品がいい。そんな特別なキャビンに収まって味わうオープンエアモータリングはまさに格別。その意味においてベントレーとコンバーチブルは実に相性がいいと思う。

「グランドツアラーにとって重要な燃費性能が、V8人気にも関係している」

ただし、コンチネンタルGT コンバーチブルは路面から強い衝撃が加わったときにサスペンションブッシュが共振するような現象がときに見られて、これがボディの剛性不足のようにも感じられる。ボディ剛性自体が高いことは大入力が加わったときの挙動を注意深く観察していればわかることだが、ブッシュの振動も人によっては不快と感じるかもしれない。そういった向きにはクルマ全体のソリッド感がより強いクーペボディをお勧めしたい。

最後にV8が好評な意外な理由についてご紹介しよう。コンチネンタルGTに搭載されるエンジンにはどちらも気筒休止などの燃費向上技術が採用されているものの、それでもW12とV8の間には燃費に2割ほどの差がある。ちなみに両モデルの燃料タンク容量は同一なので、満タン時に走行できる航続距離はV8がW12を2割ほど上回る。コンバーチブルでいえばW12の608kmに対してV8は744kmで約140km差(WLTPモード)。足の長さはグランドツアラーにとって重要な性能のひとつ。V8人気にはこんなことも関係しているようだ。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/Bentley Motors

【SPECIFICATIONS】

ベントレー コンチネンタルGT V8 コンバーチブル

ボディサイズ:全長4850 全幅1954 全高1399mm
ホイールベース:2849mm
車両重量(EU):2355kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3996cc
最高出力:404kW(550ps)/6000rpm
最大トルク:770Nm(78.5kgm)/2000-4000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前265/45ZR20 後295/40ZR20
最高速度:318km/h
0-100km/h加速:4.1秒
車両本体価格:2736万8000円

※GENROQ 2020年 6月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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