最新キャデラックは扱いやすく変身していた!
扱いやすいキャデラック、などと書いてもピンとこない読者がまだいらっしゃるかもしれない。いや、世間的にはそういうものだろう。当のキャデラックにすれば「もう20年近く、改革路線をメインにしてきたのに」、かもしれないが……。
キャデラック・ブランド初の量産電気自動車「リリック」が2022 年第1四半期での生産開始を予告
重厚長大はすでに過去の話。2003年に登場したCTS以降、欧州車イメージの乗り味を持ったサルーンやSUVが、この老舗高級ブランド、キャデラックの主軸である。とはいえ日本では「大型モデルが中心」というイメージが根強く残っている。とくにSUVカテゴリーは全長5300mmオーバーのエスカレードが牽引してきたため、正直なかなかとっつきにくかった。全長を4800mm台に抑えた2nd・SRX以降、ようやく日本のユーザーの食指も動くようになったのだ。
SRXは、いまやXT5と名を変え進化を果たした。その弟分ともいえるのが新型XT4である。ボディサイズは全長×全幅×全高4605×1875×1625mm。日本の道路環境でもジャストなSUVだ。レクサスならちょうどNX(同4640×1845×1645mm)と同クラスになる。
エンジンは2リッターターボ。フットワークの良さに驚いた
XT4は、左ハンドルであり、かつハイブリッドなどエコパワートレーンがないことを除けば、スペックや装備は日欧のプレミアムモデルと競合する。試乗車のスポーツ(640万円)や最上級グレードのプラチナム(670万円)を選べば、大抵のラグジュアリー装備は標準となる。
メカニズムは最新仕様。新開発の2リッター直4ターボと9速ATを組み合わせ、FFベースのオンデマンド式4WDシステムで約1.8トンの車体を動かす。最高出力230ps&最大トルク350Nmというスペックはクラス最高レベル。ドイツはもちろん英国のスポーツブランドにも勝っている。
最新キャデラックの走りに、旧来の「アメ車」の印象はまったくない。快活でしかもスポーティだ。キャデラック初となるコンパクトセグメントのSUVだけに並々ならぬ意欲を感じた。後輪にトルクベクタリングを備えたフットワークは、驚くほど達者。ワインディングロードでは「アメ車とは思えない走りだ」と口走ってしまった(自分自身も先入観に冒されたままだったと反省した……)。
2リッターエンジンは、とても静粛。右足を強めに踏み込むと4気筒の音と振動を感じるが実に洗練されている。乗り心地もスムーズ。高速巡航も安定している。試乗時の燃費は12km/リッター台。驚くほど経済的とはいえないが、ここにも旧来のアメ車イメージはない。
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