ボディは初代フォードGT40のデザイナー
クラシック・ミニをベースとしたミニ・マーコスの兄弟車といえる、ミニ・ジェム Mk1。ディープ・サンダーソン DS301のロング比な2速は、コーナーからの脱出時にヤキモキさせるが、ミニ・ジェムのギアは気を揉まずに済む。
【画像】ポップでレアなミニ・ベースのクーペ4台 オリジナルのクラシック・ミニも 全68枚
オーナーのゴフ・アレン氏が説明する。「エンジンは少し変わっています。クーパー用の1275ccエンジンにMk3のヘッドが載っていますが、南アフリカ仕様のクランクが組まれ、ショートストローク化してあり1071ccです」
「オセリ仕様の、かなり高回転型ユニット。問題なく8000rpmまで回りますよ」
ジェムとマーコスが実力を示していた1966年前後には、多くの技術者たちがBMCミニのコンポーネントを利用し、よりエキサイティングなマシンを作ろうと試みていた。ところが、成功した事例はほんの一握りだった。
そんな技術者の1人が、アーニー・ウンガー氏。自身のミドシップ・モデルという夢を現実にするため、専門家の力を借りミニの改造へ挑んだ。
850エンジン用のスペースフレーム・シャシーを作り、スタイリングは初代フォードGT40を手掛けた、ロン・ブラッドショー氏へ依頼。プロトタイプのアルミ製ボディをアレック・イシゴニス氏も賞賛し、BMCから駆動系部品の供給を得ることが許された。
プロジェクトはスピーディに進められ、ウンガーは少量生産を実現。1966年のレーシングカー・ショーで、ユニパワーGTという名が付けられ発表された。
エンジンは998ccか1275ccが選択でき、走行性能だけでなく、同価格帯として優れたスタイリングや快適性でも高い評価を集めた。ミニ・マーコスと比べても。
公道走行が前提の控えめなチューニング
今回ご紹介するレッドのユニパワーGTは、ティム・カーペンター氏がオーナーの1966年式。量産最初期のクルマで、当初は998ccのエンジンをミドシップしていたという。カーペンターが1982年に購入し、フルレストアが施されている。
「いま搭載しているエンジンは、ボアアップした1398ccのAシリーズです。エンジンのチューニングは、比較的穏やかなレベル。公道を前提に組んだので、ワイルドではありません」
「圧縮比は10.5:1。ラリー仕様のヘッドが載っていますが、カムの山は控えめです。エグゾーストを変えたことで、馬力と燃費が一気に改善しました。ノイズも意外なほどに静かで、ウェーバー・キャブレターの吸気ノイズが楽しめます」
「もしもう一度組むなら、今度はSUキャブレターを選びたいですね」。とカーペンターが説明するユニパワーGTには、クーパーSの用のブレーキディスクがフロントに奢られている。それでも、やはり公道走行が前提のようだ。
「工場から出荷されたままの姿を、多くの人に鑑賞してもらいたいと考えました。スタイリングには、基本的に手を加えていません。タイヤの幅も145と細いまま。ホイールアーチも広げていません」
フォードGT40を縮小したかのような印象
タイヤは確かに頼りなく見えるものの、前後の重量配分は48:52と良好。爽快な操縦性を備えている。カーペンターはサスペンションの改良と設定に大きな時間を費やしており、オリジナルのミニに通じる、跳ねるような乗り心地も楽しめる。
シフト・リンケージは、ドライバーの右側からギアボックスまで長く伸びているが、変速感が心地良い。フォードGT40を縮小したかのような、ユニパワーGTの印象を一層高めている。
アクセルペダルへ力を込めると、美しく小さなミドシップ・ミニが、75台しか作られなかったという事実に疑問を持たざるを得ない。数千台は作られても良かったのでは、と感じさせる仕上がりだ。
ユニパワーGTは、成功を掴める実力を備えていたかもしれない。しかし、会社の経営は思うように進まず、1968年にレーシングドライバーのピアーズ・ウェルド・フォレスター氏へ事業が売却された。
設備の整ったワークショップでユニパワーGT Mk2が開発され、1969年に発表。出だしは順調で、彼はイタリア・シチリア島で開催されていた公道レース、タルガ・フローリオを目指す。ところが、レース直前でクラッシュしてしまう。
その1か月後には、ル・マン24時間レースのミュルザンヌ・ストレートで225km/hを達成するが、こちらもリタイヤ。ユニパワーGT Mk2に多大な資金を投入したウェルド・フォレスターだったが、年内に生産を終了してしまった。運は味方しなかった。
クラシック・ミニへ抱いた大きな夢
高度にチューニングされたロードカーから、ル・マン24時間レース参戦マシンまで、今回は4台のモディファイド・ミニを堪能させてもらった。商業的な失敗はデザインや設計にあったのか、事業の不安定さや大きすぎた野心にあったのか、考えずにはいられない。
実際のところ、これらを生み出したクリス・ローレンス氏とデビッド・オグル氏、ジェレミー・デルマー・モーガン氏、そしてウンガーの4名は、アレック・イシゴニス氏が創造したクラシック・ミニの可能性を、見事に引き出していたと思う。
ディープ・サンダーソン DS301にオグル SX1000、ミニ・ジェム、ユニパワーGTという4台には、彼らの熱い気持ちと創造力とが、存分に表れている。現在のオーナーへも、しっかり伝わっているに違いない。
今回の4台は、いずれも確かなチューニングとモディファイを受け、これまで大切に維持されてきた。少量生産メーカーが抱いた、クラシック・ミニへの大きな夢とともに。誕生から50年以上が経過した今でも、その輝きはまったく薄れていないように感じられた。
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