Volvo XC60 B5 AWD Inscription
ボルボ XC60 B5 AWD インスクリプション
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48Vマイルドハイブリッドを採用
ボルボの48Vマイルドハイブリッド搭載モデルとなるXC60 B5 AWD インスクリプションに試乗した。グレード的にいうとこれは従来の直列4気筒ターボモデル「T5」の後を継ぐモデルだ(ちなみにXC90にもB5を同時設定)。
ボルボは今後パワーユニットを全て電動化すると既に発表している。「ピュアEV」「PHEV」、そして今回の「Bシリーズ」がその3本柱となる。
欧州車といえば未だクリーンディーゼルがプレミアムユニットとして注目を浴びている。しかしボルボはその開発を既に停止し、いちはやく「脱ディーゼル」に乗りだした。そして今後のラインナップからも、ディーゼルユニットは徐々にその姿を消していくことになる。
第3世代のDrive-Eが見せるスムーズかつトルキーな感触
「B」というイニシャルで想起するのは「バッテリー」。しかしボルボはこのユニットに、回生ブレーキによる蓄電、ひいてはISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)システム搭載の意味を込めている。
動力源の主軸となるのは2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ(250ps/350Nm)で、これにISGMをベルト駆動で組み合わせ、トランクに縦置きした48Vのリチウムイオンバッテリー(容量0.5kWh)から10kW/40Nmの出力をクランクシャフトプーリーにアシスト。そして回生をバイワイヤ化されたブレーキで行うというのが、第3世代となる「Drive-E」パワートレイン、B5の概要となる。
走り出してまず印象的なのは、そのデザインとシンクロしたかのようなスッキリとした上質感だ。スターターモーターを使わない始動は極めて静か。エンジンマウントの変更に加え、エンジンカバーに分厚い遮音材を用いていることもあり、走行中はもちろんアイドリング時からメカニカルノイズが大きく遮断されている。
ゼロ発進からの出足はスムーズかつトルキー。さらに加速によるピッチングが起こらないのも素晴らしい。これはISGMによるモーターアシスト効果に加え、静止時には常に後輪トルクをスタンバイする4WD制御が効いている。パーシャルスロットルからアクセルをゆっくり踏み足していくと、エンジン回転を抑えたまま速度がスーッと上がっていく。トルクの出方は紳士的で出力的にも不足がなく、右足の操作に対してリニアにコントロールできるから、XC60のボディでもこれをもてあます感じがない。
通常モードでも極めて高い静粛性能
試乗車はリヤにエアサスを搭載していたこともあり、コンベンショナルなリヤ・リーフスプリングに比べてハーシュネスの受け止め方が優しく横揺れ感が少ない。さらにその振幅や入力は、4輪に備わる電子制御可変ダンパー「4C」(オプション)によってマイルドに減衰されていた。
100km/hの高速巡航でエンジン回転は1500rpmを下回る低さであり、街中と同じくパーシャル領域からの加速は柔軟。さらにこのツキの良さを維持しながら気持ち良く速度を上げて行く平和感は、まざにボルボの真骨頂といえた。
かたや追い越しなど全開加速を求めるシチュエーションでは、一瞬ためらうようなラグがある。ただそれも残念なほどではなく、過給圧が高まってしまえば若々しい突き抜け感と共に、ターボらしさを発揮してくれる。ちなみにダイナミックモードを選べば、このラグは解消される。つまりそれだけ通常モード(コンフォート)でボルボは、エンジン回転を低く抑えているのである。
そういう意味では試乗車にはなかったが、やはりパドルシフトで素早くエンジン回転を引き上げたり、エンジンブレーキによる車速コントロールができるほうがいい。シフトでもマニュアルモードは選べるが、左右に倒してギヤを選ぶシステムはオーナーでない限り直感的には操りづらい。
ISGMを採用した「B5」パワートレイン
エンジンは既存の4気筒をブラッシュアップさせたもの。具体的にはタービンを変更し、電動ウェイストゲートバルブを採用。またエキマニをシリンダーと一体化することで過給レスポンスを上げている。さらにカム、ピストン、ヘッド、ブロックと・・・と、ほぼ新型じゃないか! と言える改良が施されている。
にも関わらずその最高出力が250psと、先代「T5」の254ps/350Nmに対し僅かに下がっているのは(最大トルクは350Nmで同じ)環境性能を優先した結果だろう。もっともISGMの搭載によって、トータル出力は結果的にT5を上回っている。
またこれに協調する8速ATは制御を最適化。バイワイヤの割に変速スピードに劇的な変化はなかったが、エンジンピックアップの向上には一役買っていた。
そしてこの4気筒ターボは、気筒休止を行う。作動条件としては通常モードでエンジン回転が3000rpm以下であること。トルク変動のない穏やかな走行状態であれば、30~160km/hというワイドなレンジで1番/4番シリンダーを止めるのだという。ちなみにその燃費改善率はWLTPモードで2.5~4%。燃費は11.5km/Lとそれほど良い数値ではないが、だからこそ少しでも環境性能を高めようとしたのだと思う。
ラグジュアリーさを演出する穏やかな操舵特性
こうした気筒休止やISGMの作動状況は、国産車のようにアニメーションで可視化されてはいない。メーター内の小さな電池マークがその回生状況をひっそりと伝えるのみだが、それを声高にアピールしないのもスカンジナビアンスタイルだとは納得できる。
ハンドリングは操舵応答性が穏やかで、スポーティというよりはラグジュアリー。ダイナミックモードに転じてもそのキャラクターが豹変することはなく、電動パワステ(EPS)と共にそのスタビリティを適度に引き締める程度だ。
AWDは雨天や雪上など路面状況の悪いときに駆動を最大50%リヤへと伝えるが、基本的にはFWDとして走りきる。SUVボディの重心の高さ、これによって受ける横風や路面の外乱に対してはもう少しリヤに駆動を配分して安定性を高めてもいいと思えるが、全体としてはバランスが取れた足まわりと駆動系のセッティングになっている。
バイワイヤブレーキのタッチには少し曖昧さもあるが、この柔らかい乗り味があるおかげで操作フィーリングにも統一感が出ている。EPSの制御を段階的に調整できることも含め、女性にも扱いやすいミドルSUVになっていると思えた。
積極的に選べるベーシックモデルだ
総じてB5は、XC60におけるベーシックグレードの水準を引き上げた。これまでの直列4気筒モデル「T5」で、「あとちょっと・・・」と感じていたエンジンレスポンスがリニアさを増し、巡航性能も洗練を帯びた。それでいて価格(インスクリプション 734万円)が約12万高とほぼ据え置きなのは、TVショッピングのようだが嬉しいところである。
まだD4/D5も国内在庫分があるためその選択は悩ましい限りだが、ISGMによる洗練を得たことでB5は、積極的に選べるベーシックモデルになったと言えるだろう。
REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
PHOTO/神村 聖(Satoshi KAMIMURA)
【SPECIFICATIONS】
ボルボ XC60 B5 AWD インスクリプション
ボディサイズ:全長4690 全幅1900 全高1660mm
ホイールベース:2865mm
車両重量:1890kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1968cc
エンジン最高出力:184kW(250ps)/5400-5700rpm
エンジン最大トルク:350Nm/1800–4800rpm
電気モーター最高出力:10kW(13.6ps)/3000rpm
電気モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後235/55R19
車両本体価格(税込):734万円
【問い合わせ先】
ボルボ・カスタマーセンター
TEL 0120-922-622
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みんなのコメント
特にインテリアの上質感は半端なく、高い満足感が得られる。
ようやくボルボの品質の良さが理解できたかな?