先日はランボルギーニ・ウラカンの車検費用についてお伝えしたが、今回はウラカンを3年間維持したらどれくらいのお金がかかったのか、そしてこれから先どれくらい費用がかかるのか、を紹介したいと思う。
正直言うと、スーパーカーの維持費はけっこう「スーパー」だ。やはり一般のクルマとは同じ額では維持ができない、ということは間違いない。加えて、ここで示した額にはガソリン代やカスタム費用は含まれず、よって実際の維持にはもっとお金がかかっている、ということも記しておきたい。
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ウラカンを3年間維持するとこれだけかかる
まず、ランボルギーニ・ウラカンの維持費用は1年目では393,660円を要している。
内訳としては、12ヶ月点検やオイル交換含むメンテナンス費用が121,050円、税金88,000円、任意保険184,610円というものだ。
2年目だと437,850円だが、こちらはメンテナンス費用167,000円、税金88,000円、任意保険182,850円がその内容だ。
3年目では688,850円だが、これには車検費用含むメンテナンス費用が418,000円となり、大きな構成比をしめている。あとは1年目、2年目と同じく税金が88,000円、保険が182,850円という内訳だ。
参考までにランボルギーニ・ガヤルドの維持にかかったコストは1年目/466,313円、2年目/454,355円、3年目/606,000円となっていて、3年間のトータルだとウラカンが1,520,360円、ガヤルドでは1,526,668円。両車の間には意外や差がないことがわかる。
「意外」というのは、ウラカンの方が設計が新しく、フロントデフやトランスミッションオイルの交換が不要であったり、交換サイクルが長めに設定されていて、つまりは「メンテナンスフリー化」されているために維持費が安く上がるのでは、と当初考えていたためだ。
ただし、ぼくがガヤルドを購入したのは2009年、ウラカンを購入したのは2015年だから、その間には6年の隔たりがある。その間には物価上昇に伴ってパーツ価格が上がってしまったり、人件費上昇によって基本的な工賃が上がったりという要素があるため、それらを差し引くとやはり「ウラカンはガヤルドに比べても維持が(ちょっとだけ)割安」と考えても良いかもしれない。
自動車にはメーカーの定めるメンテナンス項目がある
ランボルギーニも他メーカー同様、年数や走行距離に応じて交換や検査が定められている項目がある。これらは取扱説明書に記載されているが、ここに主な項目を抜粋したので参考にしてほしい。
なお、この内容からは今後要するであろう維持費も予想できる。4年目そして5年目ともに、点検や交換をしなくてはならない項目について、これまでと大きな差異はなく、何事もなければ4年目は45万円前後、5年目は車検費用を考慮して70万円前後だろう。
しかし、これらに加えてどこかでバッテリー(7万円くらい必要だ)、タイヤ(減らなくとも硬化やオゾンクラックの問題があり、入れ替えが必要だ。35万円くらいはかかるだろう)の交換が必要になると思われ、これらを合わせると、これからの2年で「150万円くらい」は必要になりそうだ。
ここからがランボルギーニの定める、期間及び走行距離に応じた点検/要交換項目だ。
◎1年目もしくは15,000キロ走行
[点検]
・エアフィルター点検
・エアコン防塵フィルター点検
・ラジエーター部分の目視検査
・フロント/リアシャフト検査
・ホイール/ブレーキ検査
・ブレーキ液検査
・アンダーシャーシ、ボディの保護部分目視検査
・ドアとトランク部のヒンジ部の潤滑検査
・ヘッドライト光軸検査
・バッテリー接続と充電状態検査
・故障したメモリの検査
・路上テスト
[交換]
・エンジンオイル・フィルター交換
◎2年目もしくは30,000キロ走行
[点検]
・燃料噴射と点火の点検
・冷却システム点検
・ラジエーター部分の目視検査
・フロント/リアシャフト検査
・ホイール/ブレーキ検査
・アンダーシャーシ、ボディの保護部分目視検査
・ヘッドライト光軸検査
・バッテリー接続と充電状態検査
・故障したメモリの検査
・路上テスト
[交換]
・エアフィルター交換
・スパークプラグ交換
・エンジンオイル・フィルター交換
・Vリブベルト・ベルトタイトナー点検もしくは交換
・エアコン防塵フィルター交換
・ブレーキ液交換
◎3年目もしく45,000キロ走行
[点検]
・エアフィルター点検
・ガソリン蒸気放出システム点検
・エンジン蒸気リサイクル装置点検
・CO/HC濃度点検
・エアコン防塵フィルター点検
・活性炭フィルター点検
・ラジエーター部分の目視検査
・フロント/リアシャフト検査
・ホイール/ブレーキ検査
・ブレーキ液検査
・アンダーシャーシ、ボディの保護部分目視検査
・ドアとトランク部のヒンジ部の潤滑検査
・ヘッドライト光軸検査
・バッテリー接続と充電状態検査
・故障したメモリの検査
・路上テスト
[交換]
・エンジンオイル・フィルタ交換
◎4年目もしくは60,000キロ走行
[点検]
・燃料噴射と点火の点検
・冷却システム点検
・Vリブベルト・ベルトタイトナー点検もしくは交換
・ラジエーター部分の目視検査
・フロントデフオイル必要に応じ充填
・電子継手オイル必要に応じ充填
・フロント/リアシャフト検査
・ホイール/ブレーキ検査
・アンダーシャーシ、ボディの保護部分目視検査
・ヘッドライト光軸検査
・バッテリー接続と充電状態検査
・故障したメモリの検査
・路上テスト
[交換]
・エアフィルター交換
・スパークプラグ交換
・エンジンオイル・フィルター交換
・ギアオイル交換
・エアコン防塵フィルター交換
・ブレーキ液交換
◎5年目もしくは75,000キロ走行
[点検]
・エアフィルター点検
・エアコン防塵フィルター点検
・ラジエーター部分の目視検査
・フロント/リアシャフト検査
・ホイール/ブレーキ検査
・ブレーキ液検査
・アンダーシャーシ、ボディの保護部分目視検査
・ドアとトランク部のヒンジ部の潤滑検査
・ヘッドライト光軸検査
・バッテリー接続と充電状態検査
・故障したメモリの検査
・路上テスト
[交換]
・エンジンオイル・フィルタ交換
・活性炭フィルター交換
性能を維持するためだけではない。人の命を乗せて走っていることを認識する
こうやって見ると、点検項目や、交換が必要なパーツが多いと感じるかもしれない。
しかし、ここで忘れてはならないのは「クルマは命を乗せて走っている」ということ、そして「いとも簡単に他人の生命を奪いうる」ということだ。
スーパーカーはほかの車に比べると強大なパワーを持っている。そのために「ほかのクルマでは大きな問題にならなくても、スーパーカーだと致命傷になる」ことだってある。
たとえば「タイヤ」がそうだ。
普通のクルマだとスリップサインが出ていたとしてもまだ走行できるかもしれない。だが、スーパーカーは違う。すり減ったタイヤはそのパワーを受け止めることができず、いとも簡単にコントロールを失う可能性があるのだ。
そしてスーパーカーのエンジンは発熱量が大きい(排気量が大きかったり高回転型であるからだ)ために樹脂パーツの劣化が比較的速く、そして劣化した燃料系からガソリンが漏れ、それがたとえ「わずかな量でも」発火に至る可能性がある。
「通常のクルマでは起こりえないことが起きる」のがスーパーカーであり、自分自身の安全やクルマの保全はもちろん、周囲に対する責任という意味からも、スーパーカーに乗るからには万全の整備を心がけておきたい。
[ライター・撮影/JUN MASUDA]
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