IMkがついに実現する!!
2021年8月27日、日産は、三菱との共同プロジェクトNMKVで企画・開発を進めている、新型の軽クラスの電気自動車を、2022年初頭に発売することを発表した。「バッテリー容量は20kWh」、「実質購入価格は約200万円から」と、おおよその車両構成と価格感も発表されている。
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この「軽クラスの電気自動車」は、2019年10月に行われた東京モーターショーで登場した、日産「IMk」の市販型と考えていいだろう。しかし、IMkの内容がかなり革新的であったことから、IMkがそのまま市販型となって登場するとは考えにくい。
本稿では、この「軽クラスの電気自動車」に対する期待と、懸念される事項について考察していこう。
文/吉川賢一
写真/NISSAN、TOYOTA
表/一般社団法人次世代自動車振興センター
【画像ギャラリー】本稿で紹介した日産IMkコンセプト含む日産EVをチェックする
デイズ/eKがベースのバッテリーEVとなるか
IMkは全長3434mm×全幅1512mm×全高1644mmであったが、2022年初頭に出す軽EVは全長3395×1475×1655と発表されている(軽自動車のサイズ規格、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下)
IMk発表の際、日産は、「新開発のEV専用プラットフォームを採用した、軽サイズの革新的なシティコミューター」という説明をしていた。
日産と三菱の共同プロジェクトであるが、おそらくデイズやルークスのように、プラットフォームはEV開発に長けた日産が担当し、量産体制は三菱が整える、という分業スタイルとなると思われる。
IMkでは、利用可能範囲が主要幹線道路にまで拡大した運転支援技術「プロパイロット2.0」の進化版のほか、スマホを使って自動駐車させることができる「プロパイロット リモートパーキング」や、目的地に到着すると自動で空いているスペースを探して駐車するドライバーレスバレーパーキング機能、そして、ドライバーがスマホで呼べば、ドライバーを迎えにくる便利機能までも搭載、と説明されていた。
大型の横長ディスプレイが特徴的、新型ノートでもデュアル大型モニターを採用しており、今回の軽EVもこのIMkのまま出てきてもおかしくはない
「技術的にこうしたことがやりたい」という日産の思いは伝わってくる内容ではあるが、アリアでさえ実現できていない技術ばかりであり、残念ながら、2022年初頭とされる軽EVに、これらを間に合わせてくることは考えにくい。
デイズ/eKをベースにして、既存の軽自動車のパワートレインを電動に置き替えたバッテリーEVというのが、軽EVの正体ではないか、と推測する。
軽EVの航続距離はおよそ210km
現行型リーフのバッテリーは、40kWh(重量1510kg)と62kWh(重量1670kg)の2種類。航続距離は、40kWhでは322km、62kWhでは458kmとなる
前述のような革新技術は今後に期待するとして、今回の軽EVにおいて、最も重要で、最も悩ましい問題が、駆動用バッテリーの容量だ。バッテリー容量は車両価格への跳ね返りが大きいため、落としどころが非常に難しい。
日産のいう、「20kWhを搭載し、実質購入額は200万円」という線から、軽EVはどれほどの航続距離が期待できるのだろうか。現行リーフの重量や航続距離、そしてデイズの重量などから概算してみよう。
現行リーフ(ZE1)の平均的な電費は7km/kWhといわれている。筆者が試乗した際もおおよそこの電費だったので、今回はこの数値で計算していこう。また、リーフの標準モデル(40kWh、1510kg)とe+(62kWh、1670kg)の差から、駆動用バッテリー22kWh分の重量は約160kgと考えることができる。
軽EVのバッテリー容量20kWhの重量は約145kg。デイズは車重が約850kgなので、エンジンとトランスミッションは駆動用モーターの重量と相殺するとすれば、軽EVの車両重量は約995kgだ。
電費は車両重量にほぼ比例するので、約10.6km/kWhとすれば、軽EVの航続距離は約210km、となる。
【概算したときの計算式】
バッテリー20kWhの重さ=160(kg)÷22(kWh)×20(kWh)=145(kg)
軽EVの車重=850(kg)+145(kg)=995(kg)
軽EVの電費=7(km/kWh)×1510(kg)÷995(kg)=10.5(km/kWh)
20kWhで走れる距離=20(kWh)×10.5(km/kWh)=210(km)
日産デイズ(NA)の場合、燃料タンク容量27Lに対し、WLTCモード燃費は21.2km/L。実際の燃費はこのおおよそ0.8倍であるので、1度の給油で約450kmは走る計算となり、一回のエネルギー補給で走行できる距離は、軽EVのおよそ倍。
バッテリーEVといえば「充電にかかる時間」もかなり懸念される点ではあるが、今回の軽EVの場合、バッテリー容量が20kWhであるため、充電時間はかなり短くなるだろう。
自宅で充電が可能な方は夜間電力を使うなどしてコストを下げることはできるが、ガソリン車の2倍以上の頻度で、面倒な給電作業を行ってでも、お客様が価値を見出してくれるのかが、成否のカギとなる。
三菱i-MiEV(16.5Wh)の補助金は15万円なので、20kWhの軽EVの補助金は約15~17万円と予測。ちなみに車載コンセント(1500W/AC100V)で給電機能に対応すると、2万円の増額となる。※出典:一般社団法人次世代自動車振興センター
軽EVへの期待と改善点は?
先にも触れたが、日産はIMkを発表した当時、「シティコミューター」という表現を用いていた。
シティコミューターといえば、トヨタの2人乗り超小型EV「C+pod」は、満充電で約150km走れるシティコミューターとして、まずは法人や自治体向けに、2020年12月25日より販売開始している。一般販売は2022年以降の予定だ。
「C+pod」のボディサイズは、全長2490mm、全幅1290mm、全高1550mm、軽自動車よりも一回り小さく、9.06kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、最高時速は60km/h。税込価格は165万円からだ。
全長2490mm×全幅1290mm×全高1550mmのコンパクトなボディで、車両価格は税込165万円~ あくまでシティコミューターとして割り切った設計がなされている
トヨタは、C+podを、日常生活の近距離移動に加えて、定期的な訪問巡回といった法人利用や、都市山間部などにおける安心で自由な、そして環境にいい移動手段として提案している。
また、EVの新たなビジネスモデル構築など普及に向けた体制づくりにもすでに着手している。軽EVは、一般ユーザー向けというよりも、行政や法人のサービス提供の中で利用しなければビジネスにはならない、と、トヨタは判断したのだろう。
今回の日産・三菱の軽EVが、既存の軽ユーザーが代替えする路線が主体だとすると、C+podのように、潔い航続距離に設定するわけにもいかない。そうなると、2022年初頭デビュー時にライバルとなるのは、既存の軽自動車たちとなる。
200万円から、という価格については、20kWhバッテリーの価格がおよそ54万円(リーフXの382万円とe+Xの441万円の差から計算)であり、これを、デイズ(X:138万円)に乗せれば、車両価格はおよそ192万円。
モーターを含むパワートレインのトータル価格は不明だが、通常進化分として10万~20万円と見れば、車両価格200万~210万円程度、となることから、おそらくこれ以上安い価格設定は厳しいと思われ、この価格を受け入れてもらえる価値を提供していくほかはない。
石橋を慎重に叩いて渡った初代リーフのように、今回の軽EVも、拡大販売の可能性があるのか、確かめながら進めていくことになるだろう。おそらく、最初の5年でどこまで浸透できるかが勝負となると思われる。
軽EVが、市民権を得られるようになるかは、日産・三菱が、この軽EVを提案するにあたり、どれほどの付加価値を与えることができるかにかかっているといえよう。
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