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再度月曜順延の勝負は、59戦ぶりライアン・ブレイニーが“客席ダイブ”の祝宴/NASCAR第14戦

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再度月曜順延の勝負は、59戦ぶりライアン・ブレイニーが“客席ダイブ”の祝宴/NASCAR第14戦

 恒例のオールスターを経て通常シリーズ戦に回帰した2023年のNASCARカップシリーズ第14戦『コカ・コーラ600』は、今月2回目の雨天順延の末にライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が実に59戦ぶりとなるキャリア通算8勝目を記録。前日、最終ラップの劇的オーバーテイクでペンスキーに19回目のインディ500勝利をもたらしたジョセフ・ニューガーデンに続き、御大ロジャー・ペンスキーにインディアナポリス(IMS)とシャーロット・オーバルの“スイープ”を贈ったブレイニーは、自身初の“クラウン・ジュエル・レース”制覇を祝福すべく、ニューガーデン同様グランドスタンドに飛び込みファンと歓喜の輪を共有した。

 一方、レース中盤186周目の接触で、前年度勝者デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)を「故意にクラッシュさせた」として、チェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)にまさかの「次戦出場停止処分」が言い渡されている。

復帰開業地での”オープン”はベリーが初勝利、本戦はラーソンが2階級制覇/NASCARオールスター

 デラウェア州に位置するドーバー・モータースピードウェイで開催された第11戦『ウルト400』に続き、ふたたびの天候不順に見舞われたシャーロットの週末は、土曜から走行枠のキャンセルが相次ぐ状況となり、決勝グリッドも独自の計算方式で算出。これにより今季すでに3勝を挙げているウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がポールシッターとなり、フロントロウをケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が分ける並びとなった。

 この結果、週の初めにノースウィルクスボロ・スピードウェイでNASCAR承認のメディカルテストを受け、150周以上を走破して“復帰GOサイン”が出ていたアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)は、先月末のスプリントカー事故で脊椎骨折を負って以降、初となるカップ復帰戦でぶっつけ本番の決勝へ。

 同じく今季はパートタイムでシリーズに復帰しているジミー・ジョンソン(レガシー・モーター・クラブ/シボレー・カマロ)も「やはりシートタイムの欠如がスピードの面で悪い影響を及ぼしている」と、不安を抱えたままのシーズン3戦目となった。

 月曜の東部現地時間15時に延期されて始まった決勝は、37周目以降83周の間に16回のコーションがあったレースで、なんとか91周を牽引したバイロンが序盤の優位を堅持し、ステージ1を制する。

 そんな荒れた展開が引き金となったか、序盤でハムリンにアウトサイドウォールに押し込まれたと感じていたエリオットが、186周目のターン4でボトムから抜き去っていった9号車カムリの右リヤをプッシュ。この際“左にステアしていたか”が議論となり、直角にアウト側ウォールに激突してフロントを大破していたハムリンは「ヤツは明らかな癇癪(かんしゃく)を起こしていた」と非難した。

「間違いない、来週はレースに出るべきではないね」と事前のコーナーでの接触に対する報復行為だと主張したハムリン。「右リヤへのフックは絶対に許されない。だが僕は気にしない。それはババ・ウォレスがカイル・ラーソンにしたのと同じことだ。まったく同じなら、彼は次戦でレースをすべきではない。それは癇癪だったんだから」

 レース後、同じく「我々もこの件を非常に真剣に受け止めている」と語ったNASCAR競技部門シニアヴァイスプレジデントのエルトン・ソーヤーは「セントルイスで行われる次戦で、チェイス・エリオットを出場停止にする」との声明を発表した。

「車載カメラやロガーデータ、SMTなど、基本的に我々が利用可能な各種のリソースをすべて検証し、ステアリング舵角やスロットル、ブレーキの状況などを検討した後の見解では、これはチェイスによる意図的な行為だった」と明かしたソーヤー。

「右リヤの『トーリンクが壊れたのでは?』との議論もあったが、トヨタの側に4コーナーの壁や特定の接触で何かが壊れたという兆候は見受けられなかった。一方で、映像でもデータ上でも激しく右に方向転換した11号車の右リヤに向け、9号車は左にステアリングを切っていることが分かる。繰り返すが、この事実こそ我々がペナルティを課した理由だ」

 レース終盤に向けてもコーションが相次ぐ展開となり、最後の20周を目前とした375周目にも“ビッグワン”が発生。リスタート後のカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が姿勢を乱すと、クリストファー・ベルやタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)、アリック・アルミローラ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)に王者ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)らも巻き添えとしたクラッシュの起因となってしまう。

■インディ500を制したニューガーデンに触発され、詰め掛けたファンのもとへダイブ

 この最後のリスタートで主導権を握ったのがブレイニーで、中盤以降は安定したラップを刻んでいた12号車は、決勝400周中で最多となる163周をリードし、最後はシャーロットの1.5マイル・オーバルで0.663秒差をつけ勝利を手にした。

「涙が出てしまうかもしれない」と2021年8月のデイトナ以来、実に59戦ぶりのトップチェッカーを受けたブレイニー。

「それを可能にするクルマがあったのは分かっているが、リスタートはクレイジーなこともある……しばらく勝てないと、もう勝てないような気がし始めるんだ。なんだか本当に大変な状況に陥るし、だからこそ僕を信じてくれた12人には本当に感謝している」と、感極まった様子で続けたブレイニー。

「とてもクールだよ。ニューガーデンとロジャーがインディで優勝し、僕らが600を制覇したなんて素晴らしい週末だった。未勝利記録もここで終わりだしね!」と、直後にはニューガーデンに触発されフェンスをよじ登り、月曜のグランドスタンドに詰め掛けたファンの渦に飛び込んだ。

「それほど興奮することはあまりないんだけど……とても興奮した」と笑顔を見せたブレイニー。「昨日のジョセフのやり方が気に入ったし、振り返ってスタンドにまだ大勢ファンがいるのをビクトリーラップで見たときは、本当にうれしかった。月曜なのにいっぱいに詰まっていて、信じられなかったよ」

「みんな付き合ってくれてありがとう。とても楽しかった。ファンの興奮度は僕らも競技者として良い気分にさせてくれるし、それが本当にクールだったね」

 同じく月曜まで順延され、スタートも2度ほどディレイしたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第12戦『アルスコ・ユニフォーム300』は、ジャスティン・オルゲイアー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が66周のグリーンフラッグを通じて燃料を節約し、チームと自身の今季初勝利を獲得。

 一方、金曜にファイナルを実施していたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第11戦『ノースカロライナ・エデュケーション・ロッテリー200』は、こちらも初優勝のベン・ローズ(ソースポーツ・レーシング/フォードF-150)が今季9人目のウイナーに。服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)の16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRD-Pro)は、エンジン交換からの最後尾スタートで奮闘し、トップ10目前まで挽回したものの最後はクラッシュに巻き込まれ28位となっている。

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