12月11~13日に鈴鹿サーキットで開催された2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)の公式テスト/ルーキーテストに、VERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGはレギュラードライバーの阪口晴南と大湯都史樹が初日と2日目に参加した。セッション終了後のミックスゾーンでドライバーふたりにテストの感想と2025年シーズンへの手応えを聞いた。
■「しっかりと見直して来季へ準備」と阪口晴南。モノコックトラブルは解決
「めっちゃ軽くて速ぇ!」SF初乗りの堤優威、最終アタックでクラッシュも手応えを得る/ルーキーテスト
テスト2日目午後のセッション4で1分35秒967というタイムを記録し、3番手につけた阪口。2日目終了後のミックスゾーンでは、今回の2日間は「ただのテストとは言えない」と重要な走行機会になったことを振り返る。
「今までは鈴鹿サーキットでのレースがそこまで寒い時期で開催されていなかったので、本当に例年のこのテストは特別だと思っていました。ですけど、今年から開幕戦が3月の鈴鹿になりました。今年の開幕戦もすごく寒かったので、今回のテストデータが参考にならないことはまったくないですし、非常に重要なものになります。セッション中には、通常なら少し時間がかかってしまうことなど、いろいろなことを試すことができたので非常に良かったです」
阪口は自身の38号車だけではなく、39号車とメニューや情報の共有を行いながらテストを進めていき「少しずつパフォーマンスを上げることができました」と続けた。とくにテストメニューの共有は、2台で作業を分担することで、チーム全体の作業時間を短縮するという意味でもポジティブに捉えている。
今回のテストは11月におなじく鈴鹿サーキットで開催された最終戦から、およそ1カ月後に開催された。阪口は、最終戦と同じサーキットということで、シーズン中に試すことができなかったことを確認するという意味でも、テストの重要さを語る。
「最終戦の鈴鹿でやりきれなかったことがありますし、変な言い方かもしれないですけど“見切れなかった”ものは今回のテストで試すことができました。それとは別に、良いアイデアが浮かんできていたけれど、最終戦に間に合わずにできなかった部分を今回のテストで振り返り、試すことができました」
また、シーズン中に阪口が悩まされた38号車特有と言ってもいいモノコック起因のトラブルについては「TCDさんやチームの皆さんが見てくれたので、解決したと思っています。今回のテストでは2日間、午前と午後の2時間セッション、計8時間の4セッションを走りましたけど、トラブルなく終えることができたので、非常に良かったです」と明るい兆しが見えたようだ。
最後に「この2日間の経験は確実に次に活かせると思います。テスト終了後も何が良かったか、悪かったかの確認を怠らず、しっかりと見直し、来年に向けて準備したいと思います」と抱負を語った阪口。その表情からは少しの自信を伺うことができた。
■「とりあえず戦えそう」な大湯都史樹。満足ではないが手応え
一方、今回のテストに向けて、自身と比べると今季好調だった阪口の38号車をベースに、39号車のクルマの組み立て方などを準備してきた大湯。こちらも2日目午後のセッション4で1分36秒112というタイムを記録し、チームメイトの阪口に続くトヨタ勢2番手、総合6番手となったが、注意すべきポイントもあるとテストを振り返る。
「今回は、僕が鈴鹿サーキットが得意なはずなのに(38号車と比べて)遅すぎるという問題を解決するべく、いろいろな部分の見直しを図ってクルマを作ってきました。それなりにうまく仕上がりましたし、決して満足のいくレベルではありませんが『とりあえず戦えそう』というレベルの手応えは少し感じています」
「ただ難しいのが、今回のテストは気温と路面温度が低いので(空気密度が増えて)ダウンフォースが多く発生します。なので、パフォーマンスが誤魔化されてしまうといいますか、クルマが悪くても、ある程度良い順位に上がってこれてしまう部分があるので、そのあたりを考えると、まだまだ足りないと感じています」
今回のテストだけを見てクルマの状態を判断することはできないと語る大湯。しかし、2024年3月のシーズン開幕戦や、11月の最終戦と比べると一定の“手応え”はあった様子。
「鈴鹿での開幕戦や最終2連戦は、本当に何の手応えもない状態でした。予選こそ気合いでQ1を突破してQ2に進んだこともありましたけど、その後にできることはなくQ2最下位と、Q2進出のメリットがない状態でした。決勝でもパフォーマンス不足に悩まされていたのですが、今回のテストでは、ひとまず『そこまでひどくない』という手応えを感じています」
「もちろん、決して満足するレベルではないですし、セットアップが違うので何とも言えないですけど、まだ(38号車と)一緒ではありません。ただ、38号車と近いくらいのパフォーマンスで走行することができているので、少しずつ解決への糸口が見えてきたのではないか、という気はしています」
38号車と39号車、チーム全体でパフォーマンスアップを狙うVERTEX PARTNERS CERUMO・INGING。スピードスターふたりのドライバーにベストマシンを提供できれば、チームにとって2020年以来の優勝が見えてくるだろう。
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