この記事をまとめると
■911進化の歴史上でもっとも大きな転換点は1997年に実施されたエンジンの水冷化だった
■構造がシンプルで生産性にも優れて軽量な空冷エンジンはレスポンスにも優れていた
■ポルシェファンの多くはいまでも空冷エンジンの911に固執しており、その存在価値を高めている
ポルシェ空冷エンジンの原点は356にあり
RRレイアウトが特徴的なポルシェ911。1964年に登場した初代(901型)から現代に至るまで、その根本的なパッケージングレイアウトを変更することなく、改良と改善を繰り返し進化してきた。911進化の歴史そのものが、ポルシェファンだけでなく世界中の多くのカーマニアの憧れとなっている理由だ。
そのポルシェ911の進化の過程において大きな分岐点となったのが、象徴的な水平対向6気筒エンジンが空冷式から水冷式へと変更されたことだった。水冷式フラット6エンジンは1997年に登場した996型のポルシェ911に初搭載され、それ以降の911はすべて水冷化されている。
このとき、じつは多くの911ファンが悲しんだ。フラット6であり、空冷式であることが911を911足らしめる重要な要素だと信じていたからだ。
そもそも、なぜポルシェ911は空冷エンジンであったのか。ことの始まりは911以前に遡る。911登場以前にポルシェが生産していた唯一のスポーツカー「356」がその原点にある。356はフォルクスワーゲン社が1933年当時、アドルフ・ヒトラーの提唱した国民車構想をフェルディナント・ポルシェ博士が具現化したフォルクスワーゲン・ビートルをベースに、フェルディナント博士の息子であるフェリー・ポルシェがビートルのパワートレインや基本的パッケージングを流用したことから始まる。
スタッドレスタイヤやスノータイヤなど雪道専用タイヤが誕生するはるか以前に、冬の欧州のアイスバーンやアルプスの勾配を登るトラクションを確保するのに、重いエンジンを駆動輪である後輪の上に配置することが必要だと考えられていた。加速すればさらに荷重移動で後輪荷重が増すため運動力学的には駆動力に優れる。一方、前輪荷重は小さくハンドルが効きにくい。そのため、雪道ではエンジンのないフロントトランクに砂袋を積んでタイヤへの荷重を稼いでいたという。
水冷化してもポルシェの圧倒的技術力は健在
空冷エンジンは構造がシンプルで生産性に優れ軽量だ。戦争の多い時代背景にあっては、低コストでシンプルな空冷エンジンが必然であったし、航空機の多くも空冷エンジンだった。
しかし、911となっても空冷を踏襲したのは、こうした理由とは異なる。ポルシェは、356の時代からレースやラリー、スピード記録を極め、空冷エンジンのメリットを最大限に引き出していた。軽量でシンプルであることはモータースポーツシーンにおいても重要であり、加えて空冷エンジンはレスポンスにも優れていた。
ボク自身、初めて空冷のポルシェ911を操ったときに、その圧倒的なアクセルレスポンスに驚かされた。ヒール&トウで回転を合わせようと少しアクセルに足を乗せただけでも、エンジン回転は瞬時に吹き上がり過回転となってしまう。空冷911でヒール&トゥを決めるのは独特なペダル配置もあって至難の業だった。そんなことから911を自在に操れるドライバーは「911マイスター」として崇められたほどだ。
空冷フラット6エンジンは、なぜそんなにシャープなレスポンスを可能としているのか。それはまるでポルシェ独自のエンジン理論でも存在しているかのような特別さがあった。要因として大きいのは空冷構造により冷却水が必要なく、冷却水を循環させるウォーターポンプなどの損失がないことが挙げられる。水冷エンジンもレース用になるとウォーターポンプを除去し、高温になった冷却水が自然循環する仕組みとしてレスポンスを高める場合がある。空冷ポルシェはそうしたメリットを最大限活かし、市販化を実現しているのである。
空冷エンジンは大量のオイルを循環させる油冷方式とも言えるが、オイル潤滑はドライサンプ化して油圧損失を軽減させているのもレーシングカーと同じ方式だ。そしてル・マン24時間レースを始め、世界中の多くのレースシーンで好成績を収め、空冷ポルシェの実力とともに信頼性の高さをも示したのである。
1997年に911のエンジンが水冷化されると、世界中の空冷ポルシェファンから悲鳴が漏れ伝わった。ポルシェが911を水冷化したのは時代の要請に応えるためだった。厳しさを増す排気ガス規制や燃費基準など、環境性能をクリアするためにエンジンの水冷化は不可避だったのである。
だが、水冷化においてもポルシェは圧倒的な技術で臨んだ。シリンダーヘッドのウォータージャケットをクロスフロー冷却とし、フロントラジエターの分割低重心化レイアウトなどは現在でも引継がれている。また、シャープなレスポンス、吹き上がりも新しい技術革新で可能としているが、車体の肥大化、重量増加は避けられない事実として911のディメンションに影響を与えている。
こうしたことなどからポルシェファンの多くはいまでも空冷エンジンの911に固執し、その存在価値を高めているのである。
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