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【海外試乗】「メルセデス・ベンツSクラス」現代の最新技術が余すところなく投入された正真正銘のフラッグシップ

掲載 更新 21
【海外試乗】「メルセデス・ベンツSクラス」現代の最新技術が余すところなく投入された正真正銘のフラッグシップ

現代の最新技術が余すところなく投入された正真正銘のフラッグシッププレミアムセダンのベンチマーク的存在として、長きに渡り君臨しているメルセデス・ベンツSクラスが7年振りにフルモデルチェンジ、7代目へと進化を遂げた。今回は刷新されたデザインも目を引くが、最大のトピックは大幅に進化したインフォテイメントシステムと、てんこ盛りともいえる先進技術の投入だ。

世界最高のラグジャリーセダンの座は渡さない

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自他ともにベストカー・イン・ザ・ワールドと認められているメルセデス・ベンツSクラスの11代目(W223)が誕生した。

7年前から市場投入されていた現行Sクラス(W222)の販売台数はおよそ50万台と、もちろんラクジュアリーセグメントナンバーワンで、Sクラスはメルセデス・ベンツにとって単にシンボリックな存在なだけでなく、実質的な稼ぎ頭でもあるのだ。また現在ではSクラスの30%以上は中国で販売され、その90%がロングホイールベース、さらにオーナー年齢は40歳代と非常に若い。

意外な事実は韓国市場の伸びで、日本を軽く追い越して輸出先国では中国、アメリカに次ぐ3位に入っている。
このニューSクラスの試乗会はシュツットガルト空港で行われたのだが、なんと集合場所は駐車場ビルだった。もちろんコロナ禍ゆえに、例年のような大規模なイベントは無理だとは思っていたが、Sクラスにしては意外な場所だ。

しかしこれにはちょっとした演出があった。駐車場の出口でスマートフォンを渡されたあと、指示通りの操作をして待っていると、無人のSクラスが目に前に現れたのである! すなわち試乗車には来年から導入が予定されている自動バレー・パーキング・システム(AVP)が搭載されており、ここでデモンストレーションが行なわれたのだ。

ニューSクラスのエクステリアデザインはキープコンセプトで、サイドへ回り込んだヘッドライトやシャープなテールライト以外に大きな変化はないが、ショートホイールベースで全長5.18m、全幅1.95m、全高1.50m、そしてホイールベースは3.11mと、現行モデルより5・4cm長く、5.5cmワイドになった。一方で高さはわずか1cm増なのでスリムになった感じだ。実際にCd値を見ても、このクラスでは最良の0.22となっている。

ドライバーが近づくと伸びてくるリトラクタブル式の自動ドアノブは、例えばポルシェ911のそれとは違って材質と作りはソリッドで形状も素晴らしく、豪華なリムジンにはふさわしいもの。キャビンに入ると、まず正面に12.3インチ、そしてダッシュボード中央には12.8インチのOLED大型ディスプレイが並んでいる。正面のディスプレイにはオプションの3Dシステムが組み込まれていたが、情報を読み取るには特に利点はなさそうだ。一方フロントガラスには、77インチ画面に相当するサイズの映像を写す、AR機能付きのヘッドアップディスプレイが備わっており、これは非常に見やすくナビガイダンスも効果的であった。

メインモニターにPINコード(あるいは顔、指紋、音声などの生体認証も可)を入力すると、ウエルカムメッセージと共にスタートの準備が整う。

ところで「ハイ、メルセデス」でお馴染みのMBUXは、27カ国語、そして母国語以外を話すドライバー/パッセンジャーの多少のアクセントも理解するようになったので安心して話しかけることができる。

最大19個(助手席)の電気モーターでアジャストやマッサージを行うたっぷりしたクッションと、ゆったりと体をホールドする形状のシートに身を預け車内を見渡すと、アルミ、高級レザーそして豪華ヨット風のデザインに仕上げたウッドを使い、1.6cm間隔で埋め込まれた合計250灯のLEDによるインテリア照明が用意されたキャビンは、快適に過ごせるラウンジのようだった。

メルセデスは単に快適性を求めるのでなく、むしろドライバーやパッセンジャーのための癒しの空間を目指しており、Sクラスのキャビンを「ウエルネス・オアシス」と名付けている。

高速クルージングはすこぶる快適

最初に試乗したのは来年に発売予定のトップモデル、S580 4マチックのAMG仕様で、フロントバンパーの左右に設けられた大型エアインテークがスポーティな印象を与えているのが特徴だ。まだ正式なデータはないが、搭載されているパワープラントは排気量3982ccのV8で、最高出力は503ps(370kW)だが、48Vマイルドハイブリッドで搭載されるISGが20ps(15kW)のブースト効果を与える。一方最大トルクは700Nm、9速ATの9Gトロニックの組み合わせで最高速度250km/hに達する。

空港からアウトバーンに入り、コンフォートモードにセットしてしばらく南下すると、速度制限解除の区間が現れる。ここからアクセルペダルを踏みこんでみると、低速から高速までよどみのない加速で、リミッターの介入する250km/hまで到達するのはあっという間だ。

アウトバーンの推奨速度である130km/hでは、標準装備の連続可変ダンピング機能を持ったエアマチック(エアサス)によって、路面からの余計な振動やノイズを伴わないクルージングを披露してくれる。これなら日本の高速道路でも余裕のクルージングを楽しめるに違いない。

レベル3の自動運転技術等、運転支援システムも充実

また高速上で渋滞に遭遇しても、レベル3に相当する「ドライブパイロット」でリラックスしたパーシャル自動運転も可能だ。現在ではまだ法制化されていないが、メルセデスでは2021年にドイツにおける法整備の下に、本格的な「レベル3」の導入を計画しているという。

このほか最新のアシストシステムは一時停止、横断歩行上の歩行者などの検知と自動ブレーキ機能を持っており、街中でも高い安全を保証する。さらにパッシブセーフティ「プレセーフ」では、Eアクティブボディコントロールシステムによって、車両側面からの衝突に際しボディを8cm上昇させ、サイドインパクトに対して乗員を保護してくれる。

一方、緩やかなコーナーの続く一般道のルートで走行モードを「スポーツ」にすれば、フィードバックを正しく伝えるステアリングフィールに加え、わずかなスロットルワークでも、圧倒的なトルクを発生するV8ユニットを介してアクティブな運転を楽しむこともできる。
Sクラスはドライバーズカーとしても十分に通用するポテンシャルも持っているのだ。

このニューSクラスはドイツではすでに受注が始まっており、発売当初に用意されるモデルは、3L直6エンジンを搭載したS450 4マチック(367ps)とS500 4マチック(435ps)、3L直6ディーゼルを搭載したS350d&S350d 4マチック(286ps)、 そしてS400d 4マチック(330ps)の5機種が用意されている。

価格はS350dのベーシックモデルが93438ユーロ(約1160万円)で、デリバリーは12月からと発表されている。
もちろん電化モデルも準備中で、来年には100kmのゼロエミッション走行が可能なプラグインハイブリッドのS580eが登場する予定だ。
一方、日本へ導入が予定されているモデルはS500 4マチックとS400d 4マチックが2021の前半に、今回試乗したV8を搭載するトップモデルのS580 4マチックは秋になる見込みで、価格はまだ公表されていない。

こうして最新の安全装備に先進運転支援機能、一新されたインフォテイメントにドライバーズカーとしてのドライビングファンを備えたニューSクラスは、世界最高のラグジャリーサルーンの座を、再び揺るぎないものにしたといっていいだろう。

【Specification】メルセデス・ベンツ S500 4マチック
■全長×全幅×全高=5179×1954×1503mm
■ホイールベース=3106mm
■トレッド=前1660、後1668mm
■エンジン型式/種類=M256/直4DOHC24V+ターボ
■内径×行程=83.0×92.4mm
■総排気量=2999cc
■圧縮比=10.5
■最高出力=435ps(320kW)/5900-6100rpm
■モーター出力=22ps(16kW)
■最大トルク=520Nm(53.0kg-m)/1800-5500rpm
■モータートルク=250Nm(25.5kg-m)
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=前4リンク/エア、後マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後Vディスク

【Specification】メルセデス・ベンツ S400d 4マチックロング
■全長×全幅×全高=5289×1954×1503mm
■ホイールベース=3216mm
■トレッド=前1660、後1668mm
■エンジン型式/種類=OM656/直4DOHC24Vディーゼル+ターボ
■内径×行程=82.0×92.4mm
■総排気量=2925mm
■圧縮比=15.5
■最高出力=330ps(243kW)/3600-4200rpm
■最大トルク=700Nm(71.3kg-m)/1200-3200rpm
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=前4リンク/エア、後マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後Vディスク

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みんなのコメント

21件
  • Sクラス、3000ccで直4 24バルブって、どんなエンジンなの?
    どこのどいつが書いた記事かわからないけど、車に詳しくない奴が書いたことは確かだろう。
  • アンビエントライトはオフにできるだろうしシートステッチやダッシュボードの材質は変更できるのかもしれないけど、このタブレットを貼り付けたデザインはなんとかならないものかな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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