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長期テスト(1) アウディA6 スポーティかオールラウンダーか

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長期テスト(1) アウディA6 スポーティかオールラウンダーか

もくじ

ー 関心を集めるモデルチェンジ
ー 長距離クルージングをためす
ー しなやかで落ち着いた走り
ー 気になるレスポンスの悪さ
ー ゆったりと流すクルマ
ー テスト車について
ー テストの記録

新型アウディA6セダン/アバント 国内販売へ まずはV6 3.0 TFSIのみ

関心を集めるモデルチェンジ

白いバンのドライバーがクラクションを鳴らし、サイドウインドウを下げろとジェスチャーする。「エンジンはなんだい」「3.0ℓV6です」わたしは答えた。「新型かい。いいなあ」サムズアップして互いに微笑むと、それぞれのクルマに戻っていった。

この素晴らしいアウディA6は狙い通り周囲の関心をひきているらしい。今回のモデルチェンジは明らかに、プレミアムセダンに興味のある人にとってはなかなかのイベントになっているようだ。

アウディは新型A6で、BMW 5シリーズの運動性能とメルセデス・ベンツEクラスのオールラウンドな魅力のどちらも凌駕しようと狙っている。だがこれはとてつもなく難易度の高い挑戦だ。これからの数カ月でこの挑戦が成し遂げられているか、途中でアバントも追加して確かめよう。

アウディはずっと技術による快適さを追求してきたが、これはあまりにも退屈さにもつながる方向性だ。アウディはこれに加えて人を魅了する特色を見つけることができたのだろうか。スポーツは、ルマンの勝利を独占して以来アウディのDNAに刻まれているが、ロードカーへはうまくつなげられていない。

長距離クルージングをためす

まずはモデルの紹介から始めよう。われわれが選んだのはディーゼルSラインのセダンで、すべての装備を装着してオプション代は計1万9700ポンド(287万円)にも達している。

搭載される3.0ℓV6は290psを発揮し、トルクはなんと85.7kg-m。最高速は249km/hだ。燃費は20.7km/ℓ(われわれでも確かめている)で、CO2排出量は150g/kmと抑えられている。

往復128kmの通勤は、長距離のクルージングを想定したA6のテストを始めるには最適なステージだろう。第1週目は868km以上を走ったが、その走りはまるで禅の境地だった。やっかいなM25も含まれていることを考えれば、ちょっとしたものだ。自動ハンドブレーキとアイドリングストップも人知れず役立っているが、アイドリング中はそこまで静かではない。

固いが姿勢を保ちやすいシート、固い部分、柔らかい部分問わず触り心地の良い素材に鋭い輝きを放つダッシュボード、デジタルの計器類や大型のナビ。オプションのバングアンドオルフセン製オーディオからはBBC 6 ミュージックが流れる。まるで5つ星ホテルの日帰りパーソナルスパだ。家庭的かと言われれば答えは絶対にノーだが、冷静で機能的なデザインは今のところ居心地が良い。

しなやかで落ち着いた走り

とはいえ、どれだけ極楽でもずっとホテルにいたいというのはごく少数だろう。氷のような完璧さにも我慢ならなくなるのか。今後確かめていこう。

アダプティブエアサスペンションのしなやかで落ち着いている。A6はまさに高速道路のために生まれてきたようなクルマだ。週末の家族サービスにもぴったりで、子供達を満足させるのは難しいがこのクルマは気に入ったようだ。

では、英国の荒れたB級路ならどうか。田園風景の広がるサリーヒルズでなら存分に確かめることができるだろう。今後連れ出してみようと思う。パンクも覚悟しなければいけないが。

しかし、この賢いエアサスペンションは本当に想像を超えてきた。大抵のクルマがきしむような道を走っても、まるでさざなみのような音が聞こえるばかり。これは慣れてきても色あせない魅力のひとつだ。

技術や快適さについてはこれくらいで良いだろう。次は動力性能だ。

気になるレスポンスの悪さ

正直、ここにきて疑念を抱き始めた。

最初に気になり始めたのはアクセル操作と実際の加速タイミングの大きな乖離だ。8速オートマティックのティプトロニックはどのギアだろうとトルクがあふれ出すようで、いったん動き始めてしまえば素晴らしい振る舞いを見せる。

だが交差点やラウンドアバウトなど停止状態から急加速する必要がある場合、A級道路の短い直線区間で追い越しをかける場合などではレスポンスの悪さがやや気になる。ディーゼルらしいトルクが唐突に出るようなことになってしまうのだ。少しばかり運転していて不安になるが、おそらく扱い方を学ぶ必要があるのだろう。

操作系の軽さは特に曲がりくねったA級路ではありがたい。四輪操舵機能も搭載しているが、今のところ効果は感じられていない。

おそらく、搭載された印象的(で少々怖じ気づいてしまうよう)な数々のダイナミクス系装備を試せば、このクルマへの信頼はさらに高まることだろう。A6の堂々たるディメンションも、このような道ではまったく気にならない。

ゆったりと流すクルマ

せわしないブライトンの通りを抜けるのは朝飯前だが、正直言ってA6はドライバーをせかすようなタイプではない。ゆったりと流れに任せた方がこのクルマには合っている。

今後確かめるべきは、アウディはA6でショーファードリブンレベルの落ち着きと、レーシングドライバーのアラン・マクニッシュが乗ってルマンを制したレースカーのような要素をうまく組み合わせることができているかということだ。

はじめにも話したが、A6はBMWやメルセデスとの比較からは逃れられないのだ。

セカンドオピニオン

A6はとっつきにくくも感じるが、Autocar編集部から長く愛されるクルマになるだろう。これにはオプションのエアサスペンションが一役買うはずだ。高速道路ではまるで教会のような静けさをもたらし、B級路でのボディコントロールの悪化はごくわずかだ。B級路といえば、今後5シリーズでも走って比較する企画もできそうだ。

テスト車について

アウディ A6 50 TDI QUATTRO
新車価格:5万500ポンド(735万円)
テスト車の価格:7万800ポンド(1030万円)

追加した装備一覧

20インチ5Vスポークアロイホイール950ポンド(13万8000円)
スポーツディファレンシャル付きクアトロシステム1550ポンド(22万6000円)
ブラックガラスボタン325ポンド(4万7300円)
ヘッドアップディスプレイ1450ポンド(21万1000円)
シティアシストパック1380ポンド(20万円)
ツアーパック1950ポンド(28万4000円)
360度カメラ・フロント/リアセンサー700ポンド(10万2000円)
ダイナミックオールホイールステアリング1950ポンド(28万4000円)
MMIナビゲーションプラス1500ポンド(21万8000円)
HDマトリックスLEDヘッドライト600ポンド(8万7400円)
ストレージパック100ポンド(1万4600円)
プライバシーガラス475ポンド(6万9200円)
LEDインテリアライトニングパック275ポンド(4万100円)
アコースティックグレイジングサイドウィンドウ525ポンド(7万6500円)
アダプティブエアサスペンション2050ポンド(29万9000円)
パノラミックガラスサンルーフ1750ポンド(25万5000円)
電動調整機能付きドアミラー150ポンド(2万1900円)
オートエアコン825ポンド(12万円)
アダプティブワイパー375ポンド(5万4600円)
バングアンドオルフセン製サウンドシステム800ポンド(11万7000円)

テストの記録

燃費:19.0km/ℓ
故障:なし
出費:なし

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