1本の電話から始まった、潜入取材
すでに本サイトでスクープ記事も含めて何度かレポートした噂の会員制プライベートサーキット「THE MAGARIGAWA CLUB」。その後、このMAGARIGAWAを手掛けるコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドから嬉しいことに現地視察のお誘いを頂いた。これは我々にとっても願ってもないチャンス! 無論、即答で返事をして指定された日時に待ち合わせすることとなった。
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場所は、千葉県館山自動車道の最終地点、富浦ICを降りてから10分弱のところ。都心から60分ほどで到着する、ちょうどいい距離感だった。館山自動車道は比較的空いているし、下道も交通量が少ないから、いかにも“プライベート”な感じを味わえそうだ。
今年の5月から着工! 絶景の予感も・・・
訪れたのは、まだまだ残暑が厳しい9月上旬。しかし、この日だけは前日までに比べたらだいぶ気温が低かった。到着早々、現場の移動用に用意されたSUVに乗り込み、説明を受けながら移動。その車中、前田建設の担当者が運転しながら色々と説明してくれた。
「着工は今年(2020年)5月11日からです。7月はほぼ1ヵ月雨が降ってしまったので、実際の稼働はまだ3ヵ月くらいですね。現在は重機や建機を搬入するための道路をつくっている最中です」
もちろん未舗装だ。所々均してあるとはいえ、まだまだ凸凹な状態の中でしばらく移動した。進むに連れ、MAGARIGAWAのロケーションが、なんとなく伝わってくる。本コースまで移動するにもおそらく絶景であることは想像に難しくない。この道線より低いところには渓流のような川が流れ、その反対側は山の斜面が続くというように、その地形による演出も狙っているのだろう、完成すれば温泉地にでも来ているような雰囲気になりそうだ。
そして、しばらくすると巨大な調整池と呼ばれる整地された場所が出てきた。
「自然の山林は降った雨の大半は土壌に染み込みますが、造成地は染み込みにくくなる場合があります。それらを想定して規制で定められたよりも大きな調整池を設置し大量の水が川に流れ込まないよう、周辺環境に配慮し造成を計画しています」
その調整池を見ていると、アトラクションでも作りそうな雰囲気だから理由を聞きたくもなる。それに周囲の木々も気になる。このところの強風にやられているようにも見えたから尚さらだ。
「ここは松やカエデが多いです」と建設の担当者。我々が「伐採した後はどうするんですか?」と質問すると「SDGs等の環境対策にも配慮し、伐採した木材は敷地内で細かく粉砕し木質バイオマス発電で有効利用します」という。
日本庭園まであるTHE MAGARIGAWA CLUB
そんな話をしているうちに、ある地点に到着。だいぶ登ってきたようにも思えるが・・・。
「これ以上はまだクルマでは行けないので、ここから歩いて向かいます」
ここから向かうのは、コースインを想像するべくパドック付近まで。移動車両に乗る前にヘルメットと長靴を渡された理由がこの時わかった。
それにしても勾配がキツイ! 自粛期間中、あまり出歩いていなかったため運動不足が露わに・・・。マスクもしているから、けっこう堪える。それでも前田建設の担当者は息切れもせずに説明を続けた。
「上のほうに糸が張られているのが見えますか? あそこまで土を盛るんです」
その糸が張られているのは、我々のところから3~4mほど上に位置する。聞けば、高い場所の土を削り、低い場所へと移して地面を均していくという。しかも動かす土量は約150万立米! 前田建設の担当者も20年以上のキャリアをもつものの、100立米超えははじめてだと語る。
「我々にとっても、やり甲斐があります。なにしろ“マガリガワ”には日本庭園までありますからね(笑)」
そして、さらに進んでいくと勾配はさらに急になってきた。比較的涼しい日だったはずだが、汗が滝のように流れてくる。なぜなら今歩いている地面は岩の上ばかり。斜面を見ても岩だらけ。きっと大御所タレントのタモリさんが見たら、さぞ喜びそうな岩層が続く。
「表土を2~3m削ると、その下には軟岩、硬岩があります。柔らかな層をおこし、硬い層は削り出します。今が最大の難関ですね」と前田建設の担当者。
そんな中、我々が向かう先では重機で岩を砕く音が響いている。頂上付近まで進むに連れ、さらに傾斜はきつくなり、そこはまさにスキー場の上級者コース並みだった。上から見下ろすと“降りる”というよりも“落ちる”と表現したほうがいい気もしてくる。
「急なところの勾配は40度くらいありますね」
そうあっさりと答える担当者。さすがは慣れている。しかも、きついのは勾配だけでなくカーブも急だから、なかなかだ。まだ想像の域は出ないものの、これなら本コースに向かう最中も楽しめそうだ。景観もよさそうだし、きっと見応えもあるだろう。
実質3ヵ月の稼働で進行したのは全体の3%程度
「皆さん、今日はここまでです。この先はまた今度ということで・・・」
そう担当者が切り出した。これでどれくらい進行しているのか?と尋ねると「だいたい3%くらいです」とあっさり。
まだまだ先の事とはいえ、完成を少しだけ想像出来たのは確かだ。いや、まだ何か仕掛けを考えているかもしれない。あと2年の間に設計変更も可能だろう。コースレイアウトこそ変えないだろうが、敷地内のアレンジはいくらでも出来るような気もする。
今回はMAGARIGAWAのスケールの大きさを思い知らされた。会員制プライベートサーキットであることは間違いないが、むしろアミューズメントパークと呼びたくなるような敷地面積を誇ることを肌感覚で得ることができたのだから・・・。千葉県・南房総は、THE MAGARIGAWA CLUBによって大きくイメージが変わりそうだ。
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