FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦富士6時間レースの初日は、ウエットコンディションのFP1でフェラーリが、ドライコンディションのFP2でトヨタがそれぞれワンツーフィニッシュを飾った。
今期これまでのレースを見ても、この2メーカー4台が激しい戦いを繰り広げることが予想されるが、もうひとつ警戒すべき候補の名前が、各陣営のコメントから浮かび上がってきた。
■プジョー、9X8でのWEC初優勝は「かなり遠い」迎えた富士では“2台揃っての無事完走”が第一目標に
それがプジョーだ。昨年のモンツァでデビューしたプジョー9X8は数多くの信頼性トラブルに見舞われなかなか結果を出せずにいたが、徐々にマシンの熟成が進み、デビューから丸1年が経った前戦モンツァで3位表彰台を獲得した。
トヨタとフェラーリのBoP(性能調整)は大きく変わっているわけではないため、モンツァで接戦を繰り広げたの両者の力関係は富士にもおおよそ持ち越されるだろう。
しかしプジョーは今回、ハイブリッドパワーを使える最低速度が時速150kmから時速135kmに引き下げられているのだ。
各チームのドライバーとチーム上層部が登壇した金曜日の記者会見では、この点を警戒するコメントが多かった。
フェラーリのスポーツカー・レース&テスト・マネジャー、ジュリアーノ・サルヴィは「プジョーは少し過小評価されている」と話した。
「ル・マンで、プジョーはかなり競争力があったし、クラッシュする前にレース序盤で見せたパフォーマンスは大きかった」
「ここで忘れてはならないのは、彼らはドライコンディションの(ハイブリッドパワーの)アクティベーションポイントが時速135kmだということだ。これはかなり重要な要素になるだろう」
「それにモンツァでは彼らが表彰台に上がったんだ。今は信頼性も上がっているようだし、決勝で彼らが割って入ってきても驚かないよ」
ポルシェのフレデリック・マコヴィッキィも、プジョーが表彰台を狙えると考えているドライバーのひとりだ。
「彼らは大きな一歩を踏み出した」と、彼はmotorsport.comに語った。
「それには2、3の要因がある。まずは彼らが信頼性を大幅に改善したことだ。そして、彼らがゲームに戻れるようなBoPの調整もあった」
トヨタ7号車のドライバー兼チーム代表の小林可夢偉と8号車の平川亮も、走行開始を前に「走ってみなければ分からない部分がある」と口をそろえたほか、8号車のブレンドン・ハートレーも次のように警戒感を口にした。
「プジョーはモンツァで初表彰台を獲得したし、僕が見る限りBoPによって彼らが優勝を本当に狙える位置にいると思う。誰も彼らを無視できないと思うよ」
プジョーはハイパーカークラスでトヨタ以外に唯一富士を戦った経験のあるチームでもある。今回のプジョーは、決して目を離してはいけない……そんなチームなのかもしれない。
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