なんでもOKのヒルクライム・シリーズ、今シーズンもスタート
日本で唯一、一般公道を占有して開催しているヒルクライム競技である「BRIGヒルクライムチャレンジシリーズ」。4月4日、岐阜県恵那市にある恵那笠置山モーターパークおよびその周辺で、第2戦「恵那モータースポーツフェスティバルin笠置山」が行われた。
どうせ走るなら「走行会」に限る! サーキット初心者にとって「スポーツ走行」とは別モノだった
このヒルクライム・シリーズは、設定された登坂道路のコースを1台ずつタイムアタックして、2本走行した合計タイムで速さを競うイベント。毎回全国各地から数十台ものバラエティに富んだマシンが、純粋なタイムトライアル競技に挑んでいる。
開幕戦の「御岳スノーフェスティバル」は雪上でのタイムトライアルとなっており、こちらも見ごたえたっぷりの一戦だった。シリーズに組み込まれてはいるが、ポイント対象外ということでもあり、ターマックでの実質的な開幕戦が今回の一戦となる。
全国から79台の個性派マシンがヒルクライムに
競技参加車両は年式と排気量、そして自己申告により、10つのクラスに分けられている。先ずは初年度登録が昭和63年以前の車両で争われるのが「D(ヒストリック)クラス」および「DL(レジェンド)クラス」、軽自動車が参戦する「Kクラス」。さらに排気量で分けた「A(排気量1500cc以下)」、「B(排気量2800cc以下)」、「C(排気量2801cc以上)」の3区分(加給装置係数1.7倍、ロータリー係数1.5倍)に、それぞれ「ノービス」と「オープン(Sタイヤ使用可)」というスキルによる2種類の自己申告によるクラス分けがなされておりこちらは計6クラスとなる。そしてシリーズエントリースペシャリストによる最高峰クラスとなる「X-tremeクラス」がある。
本番前日の練習日こそドライでの走行ができたが、この日は終日雨となってしまった。今回79台のエントリーを集めたが(実際に出走したのは75台)、このシリーズ初参戦のルーキーが15名もいるという盛況ぶり。
コースは、2019年にシリーズで初めて使用されたステージで、道幅も広く、ストレートでの速度規制のためのシケイン導入や、ジムカーナセクションを設けるなど、工夫を凝らしたコースとなっていた。
また雨天のため安全対策として、当初予定されていたフィニッシュ位置の変更なども行われ、さらにコースの路面状況や霧の状況などの確認をこまめに実施。それが功を奏し縁石にヒットした車両が一台出ただけで、横転やコースアウトといったようなリタイアする車両もなく終了となった。2021年シーズンもポイント対象外の特別戦も含め全8戦が予定されている。次戦は5月15日(土)~16日(日)に長野の木曽御嶽山ふもとで開催される「御嶽スーパークライム」となる予定である。
参戦車両はじつにさまざま
峠道という公道を自身のテクニックでいかに速く走り切るかという「ヒルクライム」。認可されたイベントであることもあり、合法的に攻めることができるというのはやはり魅力的だ。走り好きがそれぞれ自らの愛車で各地からやってくる。参加台数で言えば、やはりハイパワー4WDのスバル・インプレッサおよびWRX系や三菱ランサーエボリューション・シリーズ。さらにトヨタ86や日産シルビア、スカイラインGT-R、フェアレディZにマツダ・ロードスターやRX-7といったいわゆる走り系車両が多いが、実にバリエーションが豊富だ。以下、参加者のコメントをお届けしよう。
#39 Corvette Racing east Asia (水川一夫)
タイム06:34.8(NCクラス15位 総合74位)
今回初参加の一台で、会場の注目を集めたのは、水川一夫さんが持ち込んだC3のコルベットスティングレイ。「6年前田んぼに半分埋まっていたこの車両をレストアをしたのだけれど、アメ車のイベントに行っても展示やドラッグレースばかり」結局走らせる場所が無かったという。わざわざMT車両をATに換装して、夫婦二人でのんびり国内を旅行したりとドライブを楽しむ一台となっているようなのだが、それでも「(元気に)走らせたい!」という気持ちに突き動かされ、参加に至った。
「タイムにはこだわらないで」ということだったが、決勝は雨ということもあって「20年モノのタイヤはちょっと踏むとすぐに空転してしまって。今度はタイヤを新調してきます」とコメントしてくれた。
#58 TOOL BOX BRIG K’s MINI (竹下陽介)
タイム04:55.7(OBクラス4位 総合26位)
愛知県にあるTOOL BOXというショップからエントリーしているのが、こちらのミニ。いわゆるニューミニといわれる車両で参戦。2001年登場のこの初期モデル(R53と呼ばれるRE16モデル)くらいになると中古市場価格もこなれており「ちょっと遊ぶクルマとしてイジるにはちょうどいいってことに気が付いた」という竹下さん。今シーズンを通じ、車両を走らせながらパーツ開発もやっていこうというプロジェクトでもある。参戦はオープンBクラスだが、ホンダ・シビック(FD2)、S2000に次ぐタイムでクラス4位となった。
#3 ビークイック 4スロ71 (山本茂樹)
タイム05:27.2(Dクラス5位 総合60位)
TE71型のカローラGTを持ち込んだのは山本茂樹さん。
足グルマとして1.3~1.5Lクラスの車両を探していたところ、ヤフオクに出ていたこの車両に出会った。「むかし父親が乗っていたのと同じ」ということで縁を感じ、購入したという。
当初は通勤にも使用していたものの、周囲からもったいないと指摘されて、普段はヒストリック系イベントなどへの参加するだけに留めている。が、ショップ仲間から声をかけてもらってヒルクライムにも挑戦している。4連スロットルを装着した2TGエンジンは気持ちよく回っている様子で「タイムを狙うクルマではない」ということで純粋にその走りを楽しんでいた。
#8 スバル1300Gスポーツ (仲 良二)
タイム06:01.7(DLクラス3位 総合71位)
こちらはなんと、東京大学とホンダ学園の海外ヒストリックラリー参戦プロジェクトでレストアされた一台。2017年のプロジェクト「Team夢双」でレストアされ、2018年、2019年のラリー・モンテカルロ・ヒストリックに参戦(ドライバーは篠塚健次郎さん)した後、国内ラリー創成期のラリードライバーのひとりで、今回参戦した仲さんが2020年7月に購入した個体だという。「せっかくレストアされた車両だし、ノーマルのFF車両だけれど、走らせなければもったいない」というのが、本ヒルクライム参戦の理由だ。
#7 M2ファクトリーエスプリS2(原田憲秀)
タイム05:44.1(DLクラス2位 総合67位)
当初はGRヤリスを投入するはずだったが、車両が間に合わなかったということで、せっかくならと、ロータス・エスプリS2を走らせたのは、このヒルクライムシリーズ常連のひとり、原田さん。これまではスズキ・アルトワークスでの参戦だった。
今回、そのアルトワークスを引っ張り出してくることも考えたようだが、「エスプリを一度このシリーズで走らせてみたかった。でも走らせるのならキャブ調整とかの必要がないこの恵那のステージしかなかった」ということで今回一回だけの参戦となったようだ。
#53 BRIG POWER+ Water Racing twin(⾧島章夫)
タイム05:13.0(OAクラス3位 総合53位)
スズキカプチーノやダイハツエッセらに交じって、このスズキ・ツインも2019年から参戦している車両の一台。選手の長島さんは結婚を機にAE86を手放してしまい、代わりにカプチーノを探していたところ、このツインを発見。NAエンジンだったが、ラパンSSのターボエンジンに載せ換えてタービンブローを2~3回させてしまったり、ということで、エンジンを作り直して進化を続け、Keiのミッションを組み込んだ現在の仕様に至っているという。軽量だが「ギャップ越えとかで跳ねちゃうのが悩みどころ」とのこと。
#66 インプレッサ(平野雄也)
タイム04:24.3(OCクラス1位 総合1位)
今回の恵那モータースポーツフェスティバルのオーバーオールのトップタイムを叩き出したのは、このGC8。完全サーキット用として、軽量化を進めているという一台だ。たまたま友人が「FRPができるよ」という話になり制作してもらったというオーバーフェンダーが特徴的だが、295サイズの極太タイヤを装着して競技に参戦。
チームはレーシングカートやミニサーキットでの走行を重ねている中で、知り合いから一緒に出ないかという誘いもあっての初出場。コースが覚えられなくて、まだ踏めるけど、と葛藤しながらの走行だったという。
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みんなのコメント
これがダメなら、群サイもダメだと思うぞ?
(あれは公道ではないから話が違うけど、走ってる環境は似てる)