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シンプル過ぎ? それとも優美?──新型CLSから始まるメルセデスデザインの新章

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シンプル過ぎ? それとも優美?──新型CLSから始まるメルセデスデザインの新章

“4ドアクーペ”を標榜するCLSが3代目にフルモデルチェンジした。初代が登場したのは2004年こと。成り立ちとしてはEクラスセダンをベースにサッシュレス(窓枠のない)ウインドウを採用したスポーティなデザインが売りのモデルだ。

80年代から90年代にかけて、日本車でも“4ドアクーペ”は4ドアハードトップという名称で一大ブームになった。トヨタカリーナEDや日産ローレル、スバルレガシィなどのヒット作が登場し、それこそトヨタマークIIなどは、いまのEクラスとCLSの関係性のように、セダンとハードトップを同時にラインナップしていた。商品企画としては先取りしていたとも言えるが、人気は一過性のもので日本車の“4ドアクーペ”は絶滅種になった。

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一方で欧州では、BMW4シリーズやアウディA5をはじめ、スポーツカーメーカーからもポルシェパナメーラやアストンマーティンラピードなどの、新型モデルが登場し“4ドアクーペ”は一つのセグメントを形成するに至った。初代CLSはその火付け役だったのだ。

デザイン責任者のロバート・レズニック氏は、「CLSはメルセデスデザインの新章の幕開けとなるモデル」と述べていたが、新型のエクステリアデザインはプレスラインやエッジなどを極力省いたシンプルなものだ。スラントしたフロントノーズはサメをモチーフにしたという。初めて見たときには、少しプレーンすぎるかとも思ったが。日がな一日共にしていたら歴代でもっともスマートなCLSに見えてきた。特にテールまわりのデザインは素直にかっこいいと思う。

グレードは「CLS220d スポーツ」と「CLS450 4MATICスポーツ」の2種類のみだ。

インテリアは、ダッシュボードからドアに至るまで乗員を囲むように張り巡らされたグレーのウッドパネルが印象的だ。ダッシュボードの中央に4つ、左右に2つ、計6つが配されたジェットエンジンのタービンのようなカタチをしたエアアウトレットにはアンビエントライトが仕込まれている。エアコンの温度を上げると赤く、下げると青く光るギミックも用意されており、照明色は64もの設定があるという。曜日毎に設定を変えてみるのも面白いかもしれない。ステアリングはSクラス譲りのデザインで、ステアリングから手を放すことなくナビゲーションや車両の設定が行えるタッチコントロールボタンや、ディストロニック(ACC)の操作スイッチも備えている。

そして新型はCLSとして初めて5人乗り仕様になった。4人ではなく5人乗りをと実用性を求める声が多かったのだという。全高はEクラスより30mm低いが、5mを超える全長もあって後席は意外なほどに広くて快適だ。バックレストは40:20:40の分割可倒式でトランク容量は490リッターと使い勝手も十分なものだ。

まず2リッター直列4気筒ディーゼルターボを搭載したCLS220dに乗った。Eクラス譲りのパワートレインであり、トランスミッションは9速ATを組み合わせる。アイドリング時にはかすかにディーゼル特有の音が聞こえるが、動きだしてしまえばすぐにディーゼルであることを忘れてしまうほどだ。最高出力は194psと今どきの感覚でいえば大パワーというほどではないが、400Nmの最大トルクを1600rpmで発揮するから、街乗りではアクセルペダルにそっと足をのせているだけでほとんど事足りる。カタログ燃費(JC08モード)はリッター18.6kmだが、高速をメインに約100kmを走行してリッター18.3kmと、ほぼ同じ数字だった。

一方のCLS450のパワートレインは、Sクラス譲りの3リッター直列6気筒エンジンにスターターとオルタネーターを兼ねたモーターであるISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と、48V電気システムを組み合わせたものだ。アイドリングのエンジン回転数はわずか520rpmに保たれ、とても静かだ。アイドリングストップから再始動する時のぶるんという振動がなくスムーズに復帰する。また低速域からの加速時には電力がサポートしてくれる仕組みだ。

最高出力367ps、最大トルク500Nmを発揮する直6エンジンに、最高出力16kW、最大トルク250Nmを発生する電気モーターを組み合わせており、速さではやはりディーゼルに勝る。ただし、こちらは駆動方式が4WDでもあり、CLS220d比で約100kg重くなってしまうデメリットもある。カタログ燃費(JC08モード)はリッター11.9kmに対して、ディーゼルと同様に約100kmを走行しての燃費はリッター11.3kmだった。

メルセデスらしい上質なドライブフィールや自然なハンドリングは両者に共通するものだ。共にエアサスペンションを装備しており(CLS220dはオプション)、「Comfort」や「Sport」など走行モードを任意で選択することが可能で、その差を明確に体感することができる。おそらく駆動方式や車両重量の差によるものだと思うが、乗り心地の面では、CLS220dのほうがよりあたりがソフトで好ましく思った。

ADAS(先進運転支援システム)は、最新のSクラスと同等のものへとアップデートされていた。ウインカーを操作するだけで自動的に車線変更してくれるアクティブレーンチェンジングアシストや、走行中にドライバーの異常を検知した場合、車両を緩やかに減速し停止するアクティブエマージェンシーストップアシストなども搭載する。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は高速道路上では停止後30秒以内であればドライバーの操作がなくても自動的に再発進してくれるものだ。渋滞時の疲労軽減効果はかなりのものだ。

さてモデル選びだが、4WDが欲しいとなるとCLS450 4MATIC スポーツの一択だが価格は1000万円オーバーの1038万円になる。一方でCLS220d スポーツは799万円。セダンのE220dアヴァンギャルドスポーツが769万円であることに鑑みても、その差は30万円となかなかに魅力的な設定だ。エアサスなどを含むオプションのエクスクルーシブパッケージが57万5000円と高価なので付けるか否か悩ましいところだが、ボクならとりあえずCLS220d スポーツを選ぶ。

文:GQ JAPAN 藤野太一
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