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費用対効果では有利 サンヨン・コランド e-モーションへ試乗 拭えない荒削り感

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費用対効果では有利 サンヨン・コランド e-モーションへ試乗 拭えない荒削り感

ライバルより数割安いコランド

電気自動車に対する価値づくりは、内燃エンジン車ほど簡単ではない。自動車メーカーは、駆動用バッテリーが高価で利益率は低いと話す。それでも、変化は止められない。

【画像】ライバルより数割安い サンヨン・コランド 欧州で競合する純EVモデルと比較 全114枚

英国で展開しているMGモーター社の場合、一気に純EVへシフトしたことで、販売台数は増加傾向だという。手頃な価格の純EVへの需要も、間違いなく伸びている。荒波に揉まれるサンヨンも、その成長へ注目しているに違いない。

SUVに特化している韓国の自動車メーカー、サンヨンは2020年に破産したものの、新たな投資家による救済手段を模索中。幾つかの企業が名乗りを挙げているようだ。

少なくとも、クロスオーバーやオフローダー、ピックアップトラックなど、4車種の純EVモデルを発売する計画が立てられている。今回試乗したコランド e-モーションもその1つ。英国市場へも、2025年までに順次導入予定だという。

このコランドは、日産アリアやフォルクスワーゲンID.4といったモデルと同じセグメントに属する、中型SUV。しかし価格はお手頃で、英国では政府からの補助金を差し引くと、3万495ポンド(約497万円)になる予定。ライバルより数割安い。

英国では補助金が適用される車両価格に上限があり、ライバルはそのメリットを受けられないのだ。ただし、価格なりと感じる部分も少なくないけれど。

339kmの航続距離に充実の標準装備

純EV版のコランドは、従来の内燃エンジン版と同じプラットフォームを採用している。駆動用バッテリーは実容量で55.3kWhあり、この大きさのクロスオーバーとしては小さくない。

航続距離はWLTP値で339kmと充分。今回の試乗では、肌寒い天気の日に320kmは走れることを確認できている。

190psの駆動用モーターがフロントアクスル側に1基搭載され、動力性能に不足もない。最大100kWまで対応可能な急速充電能力は、ストロングポイントといえるだろう。

価格を踏まえると、装備も充実している。エントリグレードでも、モニター式のメーターパネルに、スマートフォンとのミラーリングに対応したインフォテインメント用タッチモニター、アダプティブ・クルーズコントロールなどの運転支援機能が付いてくる。

この内容で、3万495ポンド(約497万円)だ。ミドルグレードになると、LEDヘッドライトにヒーター内臓のフロントシートなどが追加され、約3万5000ポンド(約570万円)まで上昇する。

多くの自動車メーカーと同じく、サンヨンも新しい純EVとして、人目を惹くようなデザインをボディに与えた。効果的とはいい難いものの、鮮やかなブルーも差し色に用いられている。

フロントグリルはカバーで覆われ、若干違和感がなくもない。ボディカラーがホワイト以外の濃いめの色なら、もう少し印象は和らぐだろう。17インチのアルミホイールを標準で履くものの、こちらはちょっと安っぽい。

荒削りなインテリアや動的能力

インテリアは、ボディより好印象。大人4名か、両親+子供3名の家族に不満ない車内空間が用意されている。荷室空間は551Lあり、こちらも広い。

とはいえ、内装パネルは省コストを感じさせる、光沢の強いプラスティックがメイン。シボのテクスチャが与えられているが、魅力的とまではいえない。

反面、スイッチ類など操作系のレイアウトは従来的で、直感的に扱える。メーターの表示はクリアで、シートの快適性も悪くない。

コランド e-モーションを発進させてみると、車内へ響くノイズが小さいことに気付く。駆動用モーターのトルクが瞬間的に立ち上がり、純EVへの期待通り、活発に運転できる。

タイヤはネクセンを履いていたが、グリップ力はほどほど。トラクションとスタビリティ・コントロールが、安全性を損なわないように介入してくれる。その機能をオフにもできるが、パワー・アンダーステアやトルクステアが目立つだけだった。

ステアリングの操舵感は重め。レシオはクイック過ぎず、スロー過ぎず。一貫した穏やかな反応は、アクセルレスポンスともバランスが取れている。

姿勢制御はおおらかで、ひと昔前のオフローダーのようにコーナーではボディが外側へ傾く。路面の凹凸が目立つようになると、乗り心地で教えてくれる。動的能力の仕上げは、荒削り感が拭えない。

費用対効果ではライバルより有利

コランド e-モーションには、乗り心地や操縦性、インテリアなど褒めにくい部分もある。一方で、その強みを考えれば購入を否定するほどのレベルではない、ともいえる。

ボディサイズや実用性、装備、航続距離、7年間の保証などを踏まえると、英国でも一定の支持は集めるだろう。内燃エンジンと同等の価格で純EVのSUVに乗れる、という事実は大きい。

もちろん、ドライビング体験で優れる純EVも、より欲しいと思わせる純EVも、すでに数多く存在する。だが費用対効果では、サンヨン・コランド e-モーションが有利なことも否定できないだろう。

サンヨン・コランド e-モーション(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万495ポンド(約497万円)
全長:4450mm
全幅:1870mm
全高:1629mm
最高速度:156km/h
0-100km/h加速:9.0秒(予想)
航続距離:339km
電費:5.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1765kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:55.3kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:190ps
最大トルク:36.7kg-m
ギアボックス:−

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