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ETRC開幕戦:14台のトラックヘッド揃い踏み。雨中決戦を制したMANのレンツが首位発進

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ETRC開幕戦:14台のトラックヘッド揃い踏み。雨中決戦を制したMANのレンツが首位発進

 幾度もの開幕延期を経てついに2020年シーズンの幕開けを迎えたETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ。そのFIA欧州格式選手権第1戦の舞台となったチェコ共和国モストでの週末3ヒートは、絶対王者ヨッヘン・ハーンの新型『イヴェコS-WAYレーシング・トラックス』に対しライバルらが勝利を分け合い、王者の新型トラック熟成を前に先手を取るオープニングラウンドとなった。

 バーチャルシリーズの開催を経て、ここモストでの開幕から全6戦に縮小されての2020年シーズン開幕となったETRCは、全14台がエントリーした今季初の予選から意外な展開が繰り広げられる。

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 2019年もシリーズを制し、前人未到6度目のタイトル獲得を果たした“帝王”ハーンは、予選でわずかに0.161秒遅れのフロントロウ2番手に留まると、全セクターで最速をマークしたノルベルト・キス(レベス・トラック・レーシング/MAN)が、昨年までのメルセデスからスイッチした移籍初戦で見事にポールポジションを射止めてみせる。

 続いて3番手に並んだのは、今季から鮮やかなグリーンに彩られたサッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/MAN)の『MAN TGXバリアントB』で、2017年王者のアダム・ラッコ(バギュラ・ゼロ・マイレージ・レーシング/フレイトライナー)と並んでセカンドロウをシェア。

 シリーズの実力者シュティフィ・ハルム(チーム・シュバーベントラック・レーシング/イヴェコ)も、ハーン同様の新型トラックで5番手につける新鮮な予選グリッドとなった。

 その勢いを維持したポールシッターのキスは、レース1のオープニングラップで後続の1台がマシントラブルで止まり、赤旗での仕切り直しにも動じず首位を堅持すると、2位ハーンや3位レンツを寄せ付けず後続を9秒も引き離し2020年最初のウイナーに。

 4位に地元の英雄ラッコ、5位にハルム、そしてハルムに続いて今季ETRCデビューを果たした新たな女性ドライバーであり、グリッド最年少のアリーヤ・コロック(バギュラ・ゼロ・マイレージ・レーシング/フレイトライナー)が、地元でのデビュー戦で印象的なドライブを見せプロモーターカップ2位、総合8位を獲得した。

 続いてトップ8リバースグリッドで争われたレース2は、その16歳コロックが百戦錬磨のトラッカーたちを率いてスタートを切ると、早速ドイツの大ベテラン、レネ・ラインアート(ラインハート・レーシング/イヴェコ)がオーバーテイクを決めて、ETRCの洗礼とばかりにリードを引き継いでいく。

 そのまま集団バトルに飲み込まれた地元出身のコロックだが、直後に"帝王"ハーンとの勝負を繰り広げた彼女のフレイトライナーは軽いコンタクトからダメージを負い、ボンネットキャブ型のマシンを敢えなくコースサイドに停めることに。

■日曜のレース3は、雨のため2時間の赤旗中断に

 これで首位を硬めたかに見えたラインアートだったが、その天下も長くは続かず。最終手前のコーナーでコースオフしたイヴェコはグラベル脱出に手間取り最後尾へ。これで労せずしてリードを手にしたのがラッコのフレイトライナーだった。

 終始プレッシャーを掛け続けた2位レンツの猛攻を凌ぎ11周を走破した2017年王者が、新たなチームメイトでもあるコロックの無念を晴らす勝利を飾り、地元のファンに今季初勝利をプレゼントした。

「開幕に向けての長く難しい準備期間を経て、こうしてホームサーキットで今季初優勝を飾れて最高だ。ドライブに集中し、チェッカーを見落とさないように気をつけた(笑)。旗が揺れるのを見たときはホッとしたよ」と喜びを語ったラッコ。

 明けた日曜は午前のプラクティスと予選まではドライのコンディションが続いたものの、午後のレース3開始前にはサーキットを豪雨が襲い、イエローフラッグ下でのフォーメーションラップに。しかし、グリッド上のトラックが相次いでコースオフする危険な状況と判断され、3周後にはレッドフラッグが降られる。

 2時間の中断を経て黄旗のもとで再開されたレースは、依然としてポールシッターのキスが隊列を率いたものの、9ラップに短縮されたレース終盤に左フロントのブレーキディスクが破損してペースダウン。

 最後の2周は排気ブレーキもフル活用してなんとかフィニッシュラインまでたどり着いたものの、3位確保が精一杯。背後にいたレンツ、ラッコの順でチェッカーが振られ、週末は3位、2位、1位と全戦で表彰台を獲得したレンツが、自身初の選手権リーダーに立っている。

 2020年のFIA ETRC第2戦は9月12~13日にベルギーのゾルダー・サーキットを舞台に開催され、当初からTCRヨーロッパ・シリーズとの併催戦が予定されていたが、直近の急なプラン変更によりふたたびWTCR世界ツーリングカー・カップとの併催も実現する。

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