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トヨタ新型86登場! 直系の先祖「AE86」はどんな車だった?

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トヨタ新型86登場! 直系の先祖「AE86」はどんな車だった?

■「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」はどんなクルマだった?

 トヨタは2021年4月5日に、新型「GR 86」を世界初公開。同時に、スバルもすでに北米仕様が公開されている新型「BRZ」を日本初公開しました。

トヨタ新型「86」世界初公開! 9年ぶりにスバル「BRZ」と共に全面刷新

 世界的にも希少なコンパクトFRクーペである「86」からGRブランドの名を冠したGR 86へと車名を改め、従来型からキープコンセプトとされつつも、内外装からエンジンまでが全面的に刷新されました。

 GR 86の車名とコンセプトの原点であり、コンパクトFR車として今も高い人気を誇っているのが「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」です。

 AE86型はシリーズ最後のFRモデルとして1983年に発売されましたが、どんなクルマだったのか振り返ります。

※ ※ ※

 まずはAE86型誕生までを遡ります。1966年にマイカー時代を見据えた大衆車としてトヨタ初代「カローラ」が誕生。発売当時のボディは2ドアセダンのみでしたが、翌年には4ドアセダンやライトバンを追加、1968年にはスポーティな2ドアクーペの「カローラスプリンター」が登場しました。

 その後、1972年には2代目カローラと姉妹車として分かれた初代スプリンターがデビューすると、初代「セリカ1600GT」用に開発された1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載する高性能モデル、初代「TE27型 カローラレビン/スプリンタートレノ」(以下、レビン/トレノ)が誕生。

 DOHCエンジンを設定しながら比較的安価に設定されたレビン/トレノは、たちまちスポーツドライビング好きな若者から高い人気を誇りました。

 その後もレビン/トレノは代を重ね、1983年にスタンダードモデルのカローラ/スプリンターがFF化されるなか、FRのままとされたAE86型 レビン/トレノが登場。

 AE86型の先代であるTE71型では3ドアハッチバックのみにレビン/トレノのネーミングが与えられましたが、AE86型では2ドアクーペ、3ドアハッチバックともにレビン/トレノとされました。

 ボディサイズは全長4180mm(トレノ4205mm)×全幅1625mm×全高1335mmで、TE71型が直線基調の外観デザインだったのに対し、AE86型は全体的に丸みを帯びたスタイリッシュなフォルムに変貌を遂げます。

 また、レビンは固定式ヘッドライト、トレノはリトラクタブルヘッドライトとされたことで、外観が大きく区別されています。

 グレード構成はベーシックな「GT」が2ドアに設定され、ハードなサスペンションセッティングが施され、185/60R14サイズのタイヤ、ロック・トゥ・ロック3.0回転のクイックステアリングギアボックスなどを搭載した「GTV」が3ドアのみ。

 そして、パワーステアリングや電動リモコンミラーなど装備が充実し、外装ではボディ下部を黒としたツートーンカラーを採用したトップグレードの「GT-APEX(アペックス)」が、2ドア/3ドアともに設定されていました。

 また後述しますが、1.5リッターSOHCエンジンを搭載したモデルもラインナップし、幅広いグレードが展開されました。

 内装ではメータークラスターまわりにドライビングに必要なスイッチ類を集約するスポーティな雰囲気で、ヘッドライトとワイパーのスイッチはコラムには無く、メーター横に設置。

 GTアペックスとGTVにはスポーツシートと3スポークのハンドルが奢られ、GTアペックスには当時流行していたデジタルメーターも設定されました。

■じつはAE86型は大ヒットしたわけではない?

 AE86型 レビン/トレノに搭載されたエンジンは、新開発された1.6リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジン「4A-GEU型」で「レーザーα」と呼称。1.5リッターSOHCの「3A-U型」をベースにボアを77.5mmから81.0mmに拡大して1.6リッター化し、吸排気各2バルブの16バルブDOHCヘッドを組み合わせ、可変吸気システム「T-VIS」が搭載されました。

 出力はクラストップとなる最高出力130ps/6600rpm、最大トルク15.2kgm/5200rpm(グロス)を発揮。

 組み合わされたトランスミッションは当初5速MTのみでしたが、GTアペックスとGTには高性能エンジンを手軽に楽しみたいニーズに対応するため、後に4速ATが設定されています。

 また、最高出力85馬力の1.5リッター直列4気筒SOHCエンジンの「AE85型」もラインナップ。スポーティな「SR」や、女性ユーザーをターゲットとしてパワーステアリングやバニティミラーなどを標準装備した「レビン GLライム」と「トレノ XLリセ」も存在しました。

 サスペンション形式は全車フロントがマクファーソンストラット、リアがラテラルロッド付4リンクのリジットアクスルで、リアサスペンションはすでに時代遅れ感がありましたが、構造が単純で耐久性が高く、プライベーターでも容易にショックアブソーバーの交換ができるなどのメリットがありました。

 さらに、リジットアクスルは路面追従性や限界性能は高いとはいえませんでしたが、リアタイヤがスライドしてもコントロールしやすい特性で、FR車の醍醐味である「アクセルで曲がる」を存分に楽しめる挙動を実現。

 ブレーキはGTアペックスとGTVがフロントをベンチレーテッドタイプとした4輪ディスクを採用し、GTのみリアブレーキがドラムです。

 ちなみにAE86型はシリーズを通じてスペックはほとんど変わっていませんが、マイナーチェンジは2度おこなわれ、前期のI型、II型、後期型の3タイプに分けられ内外装の意匠などが変更されています。

 ユニークな装備としてレビン GTアペックスには冷却水温によって開閉するフロントグリルの「エアロダイナミックグリル」があり、前期型のみに採用。

 また、モデルライフ末期の1986年には最初で最後の特別仕様車で、ブラックの外装色に内装の意匠も専用となる「GTアペックス“ブラックリミテッド”」が、トレノ3ドアのみ限定400台で販売されました。

※ ※ ※

 高回転型エンジンがもたらす心地良いフィーリングと、GTアペックスで940kg(レビン2ドア、5速MT車)と軽量な車体が相まって、AE86型 レビン/トレノは発売と同時に若者から高い支持を得ました。

 しかし、1984年に登場したホンダ「シビックSi」などFFのライバル車が台頭したことで、1987年の生産終了までAE86型 レビン/トレノは決して大ヒットしたわけではありませんでした。むしろFF化された次世代のAE92型の方が販売台数的には好調だったほどです。

 ところが、軽量コンパクトなFR車を惜しむ声もあり、生産終了後に再評価され人気が再燃。

 さらに峠のバトルを描いたコミック「頭文字(イニシャル)D」が1995年に発表さると、主人公が乗る白黒ツートーンカラーのAE86型 トレノが作中で活躍したことで人気がさらに高まりました。

 その結果、国内のみならず海外でもAE86型が人気となり中古車の価格が高騰し、近年の旧車人気も加わって現在は200万円台が標準的な相場で、良質な個体ならば400万円台から500万円台と異常な状況です。

 シリーズ最後の軽量コンパクトなFR車であるAE86型は、まさに記録より記憶に残る1台です。AE86型のDNAはしっかりとGR 86にも受け継がれていることでしょう。

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みんなのコメント

74件
  • マンガの中では速いけど、リアルでは遅いぞ。
  • 現代の86は良いクルマだとは思いますが、直系の先祖が「AE86」というのは違和感があります。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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