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【欧州銘柄とは異なる体験】MG 5 SW EVロングレンジへ試乗 英国最安値の純EVワゴン

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【欧州銘柄とは異なる体験】MG 5 SW EVロングレンジへ試乗 英国最安値の純EVワゴン

英国で最も安い純EVのステーションワゴン

執筆:Illya Verpraet(イリヤ・バプラート)

【画像】安価な電気自動車 MG 5 SW EV 英国で競合の5ドアハッチバック純EVと比較 全93枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


英国で最も安く購入できる、純EVのステーションワゴンがMG 5 SW EV。2021年、航続距離の長いバージョンが追加となった。

最新のMG 5発売から、1年ほどが経過する。2万5095ポンド(386万円)という手頃な英国価格で、ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモとは別の、ステーションワゴン・ボディの純EVが購入できることが魅力となっている。

今回試乗したのは、新しく登場したロングレンジ仕様。57.7kWhの駆動用バッテリーを搭載し、402kmの航続距離を実現している。従来の航続距離は、344kmに留まっていた。ロングレンジ版は、最高100kWまでの急速充電器にも対応する。

MG 5 SW EVロングレンジの英国価格は、2万6495ポンド(408万円)から。航続距離188kmの、純EV版マツダMX-30に同等の値段が付いていることを考えると、訴求力を感じる人もいるだろう。リアシートは実用的な広さがあり、荷室容量は464Lもある。

ロングレンジ版に搭載される駆動用モーターは、これまでのMG 5と変わらない。最高出力156ps、最大トルク26.4kg-mを発揮し、0-97km/h加速を7.3秒でこなせる。家族向けのステーションワゴンとして考えれば、充分に活発だ。

トリムグレードは、下位のエキサイトと上位のエクスクルーシブの2段階。エクスクルーシブを選ぶと、英国価格は2万8995ポンド(446万円)へ上昇する。

ロングレンジ版には、アップル・カープレイとアンドロイド・オート、USBポート、バックカメラ、MGパイロットと呼ばれる運転支援システムが付いてくる。標準装備に不足は感じない。

欧州ブランドとは異なるドライビング体験

エクスクルーシブ・グレードなら、ヒーター内臓のパワーシートとオートエアコン、熱線入りミラーが追加となる。紙面上で比べるだけなら、他の純EVモデルが割高に感じられてしまう。

ところがMG 5のシートに座れば、安い理由が見えてくる。MGは現在、中国のSAICモーター社が擁するブランドの1つで、MG 5は中国ではローウィーi5として売られているクルマだ。ドライビング体験は、他の欧州ブランドから得られるものとは異なる。

車内は、傷の付きやすそうなハードなプラスティックで溢れている。スイッチ類は数年後に外れてしまうのでは、と感じる品質で組み付けられている。英国で売られるMGには7年保証が付いているから、恐らく大丈夫なのだろう。でも、印象は良くない。

前席の着座位置は不自然なほどに高い。思わず下げようと手を伸ばしてしまった。運転姿勢は、ステーションワゴンよりSUVのものに近い。シートはサポート性に乏しく、表面は合成皮革で覆われる。クロス素材の方が良いかもしれない。

それでもセンターモニターがあり、インフォテインメント・システムが使える。既製品の流用に見えるが、クルマの設定が変更できるメニューが実装されている。

処理速度が速いわけでも、グラフィックが美しいわけでもないが、操作はシンプル。すぐに使い方を覚えられる。

26.4kg-mのトルクで勢いの良い加速

メーターはアナログで、純EVとしては珍しい。メーターパネルの中央にはモニターが埋め込まれ、電費など運転中に必要な情報を表示してくれる。試乗した限り、平均電費は5.8km/kWhくらいのようだ。充電電圧やバッテリーの瞬間電流などの情報も知れる。

運転し始めると、印象は少し良くなる。26.4kg-mというトルクがレスポンス良く引き出せ、トランスミッションの変速も不要だから、加速はかなり勢いが良い。

天気の良い日の乾いた路面でも、駆動用モーターはフロントタイヤのトラクションを簡単に打ち負かしてしまう。即座に、トラクション・コントロールが荒々しく介入してくる。速いペースを保って走るタイプのクルマではない。

姿勢制御は明らかに緩い方だが、路面の凹凸は上手に吸収してくれる。ステアリングは適度な重み付けが施されているが、高速域では軽さが出てきてしまう。

ロングレンジ版で訴求力を持つであろう要素が、手頃な価格の他にMGパイロットが搭載されること。車線維持アシストと衝突被害軽減ブレーキ、アダプティブ・クルーズコントロールなど、一連の運転支援機能が付いてくる。

しかしシャシー性能と同様に、他の自動車メーカーの水準を期待してはいけない。車線の維持は不器用だし、クルーズコントロールは前車への反応が遅い。機能はオフにできるから、必要な時だけオンにすればいい。

エントリーグレードなら訴求力も高まる

確かにMG 5の英国価格は安い。だが、その理由は明確に存在している。少し長い航続距離と、大きめの荷室が必須でなければ、ベースグレードのフォルクスワーゲンID.3がMG 5 ロングレンジのエクスクルーシブより安価に買えることを覚えておきたい。

フォルクスワーゲンとして、ドライビング体験は磨かれている。装備も簡素ということはない。

もちろん少しでも長い航続距離や、より多くの荷物の積めることを重視するユーザーもいるだろう。エントリーグレードのエキサイトなら、MG 5の訴求力も高まるといえる。

MG 5 SW EVロングレンジ・エクスクルーシブ(英国仕様)のスペック

英国価格:2万8995ポンド(446万円)
全長:4544mm
全幅:1818mm
全高:1513mm
最高速度:185km/h
0-100km/h加速:7.3秒
航続距離:402km
CO2排出量:−
車両重量:1565kg
パワートレイン:同期モーター
バッテリー:57.7kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:156ps
最大トルク:26.4kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

1件
  • MGブランドと旧ローバーMGの資産は2007年時点でチャイナに買われたわけだが、
    こういう形でMGブランド使われることになるとは、なんとも残念。

    日系ブランドも、明日は我が身かも。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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