高価になった横綱級の高性能サルーン
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
【画像】AMG E53のワゴンかBMW M550iのサルーンか 写真で比較 全54枚
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ブランド頂点を飾る横綱級の高性能サルーンは、すっかり高嶺の花になってしまった。ひと回り小さいセグメントのモデルでさえ。
最新のG80型BMW M3の英国価格は、およそ7万5000ポンド(1125万円)から。ちょっと考えてしまう。でも1つ下の大関級グレードなら、少しの可能性が見えるかもしれない。
BMW 5シリーズにV8エンジンを載せたモデルが、M5より手頃に今ならまだ手に入る。M3より馬力は高く、トルクも太く、四輪駆動。0-100km/h加速も鋭い。それはM550i xドライブ。M5より4000ポンド(60万円)だけだが、英国では安い。
トップモデルより動的性能が下がるとしても、より日常的に乗りやすく、豪奢な装備の高性能サルーンだ。予算には少しの余裕も必要だけれど。そんな選択肢は、BMW以外にも存在する。
メルセデスAMGは高性能なEクラスとして、6気筒エンジンを搭載したE 53 4マティック+を提供している。BMWとの差別化を図るように、パワートレインは電動の力も借りるハイブリッド。より利便性の高いステーションワゴンも選べる。
読者はどちらがお好みだろう。四輪駆動でAMGの名を冠した高性能ワゴンか、通常の5シリーズと違わない、慎ましい見た目のBMW製4ドアサルーンか。
ひと目を気にするドライバーのために、グレードを示すエンブレムを付けいない指定も可能。E 53のオーナーの方が、外す率は高いかもしれない。スポーティなスタイリングのおかげで、見る人が見ればAMGだとわかってしまうが。
マフラーカッターですら、AMGは華やかな4本出し。BMWの方が目立たない。
V8ツインターボか直6ツインターボHVか
両車の英国価格は、350ポンド(5万円)程度の差しかない。しかしスペックシートを見比べると、明らかな違いがある。BMWのサルーンとして血統を受け継ぐ性能に対し、大きくモダンなメルセデスAMG製のワゴンという個性を表すように。
BMW製ツインターボV8エンジンは、530psを発揮しベルベットのように滑らかなサウンドを響かせる。反面、電動スーパーチャージャーとスターター・ジェネレーターによるハイブリッドの直列6気筒ツインターボは435ps。音響は、少しクラシカルで穏やか。
M550iの最大トルクは76.3kg-mもあり、0-100km/h加速を3.8秒以下でこなす。対してE 53は52.9kg-m/だが、0-100km/h加速は4.5秒。大きなビハインドというほどではないだろう。高速巡航なら12.8km/Lという好燃費も付いてくる。
スペック上での驚きといえるのが、2台で軽い方はE 53だということ。ハイブリッドを搭載するステーションワゴンにも関わらず。またM550iの方が、ミラーを含めた状態で50mmも全幅が広い。含めなければ、その差は20mm以下に収まるが。
もし友人にM5やM3、あるいはE 63を選ばなかった理由を説明したいと感じるなら、M550iやE 53は選ばない方が良いかもしれない。その上の存在にとらわれてしまう。
だが日常的に長距離を走り、一年のあらゆる気候や条件を問わず運転したい、あるいはする必要があるなら、M550iがM5やE63などに劣るということはないと思う。
ロードカーとして提供できる幅がより広い
M550iは、毎日の暮らしの利用目的により適していて、一般道でのまとまりも良い。ツギハギの多い郊外の道や、継ぎ目のある高速道路の路面を受け流せる柔軟なシャシーを備え、硬すぎると感じることもない。
4.4LのV8ツインターボは、M5コンペティションに積まれるエンジンとの関連性が濃い。一般道を運転している限り、不満を感じることは間違いなくないと思う。
馬力もトルクも余力は十二分にあり、穏やかで聴き応えのある文化的なエグゾーストノートも魅力。右足次第で、怪物のように速くも走れる。
走行時の外界との隔離性や、なめらかな質感も秀逸。BMWが標準装備するランフラットタイヤで、少し鈍さが出ているけれど。
ステアリングホイールは、切り初めで無感覚なところがある。通常のタイヤよりサイドウォールが固く、強い負荷がかからない限りしなやかに変形することがないためだ。
それでもシャシーバランスは素晴らしい。姿勢制御は、ゆりかごのような穏やかな質感からピタリと引き締まった状態まで、ドライブモードで調整可能。BMW M5ジュニアのように走らせることもできる。少し古いが、E39型M5に似た雰囲気もなくはない。
同時に、深夜便を降りた飛行場からの帰り道や、週末に家族で実家を訪ねる場面なら、そのシーンに合わせたM550iへ調整できる。かつてBMWが提供していたような、高速サルーンの現代版といえる。ロードカーとして、提供できる幅がより広い。
この続きは後編にて。
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みんなのコメント
真ん中で分かれてるかどうかの違いだけ。
ライトもひっくり返したみたい。