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【比較試乗】「アウディQ8 vs レンジローバー イヴォーク vs DS7 クロスバック」乗る者のセンスが問われるこの3台!

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【比較試乗】「アウディQ8 vs レンジローバー イヴォーク vs DS7 クロスバック」乗る者のセンスが問われるこの3台!

同セグメント、同カテゴリーのヨコ比較ではなく、ボディサイズやプライスといったヒエラルキーを超えて、キャラクターのベクトルが同一線上にあるSUVたちを、いわば無差別級のタテ比較で論じてみるこの企画。今回のテーマは「デザイン」。“スポーティ”や“スパルタン”がキーワードになりがちなSUVにあって、これら英仏独の3台はどうだ。徹底的にデザインコンシャスを究めている。

キャラクターとはそもそもクラスレス

【比較試乗】「メルセデス・ベンツ Gクラス vs アウディ Q8 vs BMW X7」三車三様の特別感

自動車史では数年に一度、忘れた頃に「小さな高級車」というカテゴリーが登場する。これはヒエラルキーにとらわれないクルマ選びの代表で、そこには「別にオレは大きなクルマでえばりたいわけじゃないんだぜ」という上品なメッセージが隠されている。古くはバンデンプラス・プリンセスから始まりランチア・イプシロンが表現した小型車の粋。セダンではメルセデス190がその扉をこじ開けた。現代でいうとミニなどは、ハイト系ハッチを横目に自由を謳歌するお洒落な反逆のアイコンだ。

そして現代の潮流となるSUVにおいても、こうした考え方が表面化してきた。その指針となるのはずばり“個性の強さ“だ。「もはや性能の悪いクルマなんてなくなった」と言われるいま、デザインはもちろん走りにおいても個性を主張するSUVを、クラスレスに選ぶ時代が来たのだ。「別にオレは大きなSUVでエバりたいんじゃない」。そういうオーナーが選ぶ、キャラの立ったSUVたちをここでは比べてみよう。

初代で鮮烈なデビューを飾ったイヴォークは、2代目となってエッジの効いたアウタースキンをスムージングし、洗練されたデザインとなった。それでもグルリと見渡せば塊感のあるワイドボディと、ショートオーバーハングテールが強烈な個性を放ち、とてもこれが全長4380mmしかない、今回で一番小さなコンパクトSUVであることを意識させない。つまりそれだけイヴォークは、上品に態度がでかい。ヤンチャだが育ちの良さが滲み出る、二枚目王子である。

試乗グレードであった「P300」のパワーユニットも、その王子っぷりに拍車を掛ける。48Vのバッテリーとスタータージェネレーターを内蔵したこのマイルドハイブリッドは出足が滑らかで、英国流のしなやかな足回りが、そのクリーミーさにまず花を添える。

しかしダイナミックモードに転じると、P300イヴォークは、ネクタイを外した若者のようにはしゃぎ出す。その最大トルクは400Nmと飛び抜けた数値ではないのだが、モータートルクの立ち上がり方が強烈なのか、なかなかに加速は強烈だ。

アクセル開度以上に速度を上げるフィーリングは賛否の分かれ目で、それを嫌うならガソリンターボのP200(294ps/365Nm)がお勧め。しかしここに新鮮味を見い出すことができれば、P300はまさにクラスを超えた一台となるだろう。そのプライスを考えてもこれは若者のクルマじゃない。若さを欲する大人のコンパクトSUVである。

「DSは、大人の女の感じなのよ」
ボクはかつてどうしてもその魅力がわからずに、気の置けない女友達に聞いてみたことがある。
彼女いわくDS7クロスバックのLEDヘッドライトは小さな宝石を散りばめたかのようで、そのエンブレムと共に顔全体がキラキラ輝いているという。「そう言われるとこのフチドリ(DSウイングのことだ)も、指輪のツメみたいだね」と話に乗ってやると、「ほんとだ!」と目を輝かせて喜んだ。女ってのはまったく……。

そんな予備知識があっただけに、今回のホワイトもとい、ブランバンキーズのボディにシルバートリムの組み合わせは、車名の通りシックだと思えた。そして乗り込めばDS3クロスバックよりも落ち着きのある、しかしモダンなキルティング風パッドのインテリアがボクを迎え入れてくれた。

肉厚なシートに座って走らせるDS7の乗り心地は、今回の中でも一番良い。ソフト過ぎずまったりと路面を捕らえる足回りは、どうやら路面をモニタリングして、勝手に減衰力を可変するらしい。

2L直噴ディーゼルターボはアイドリング時こそカタカタと賑やかなものの、走らせてしまえばそのトルクは400Nmと豊潤で、回してもガソリンエンジン並みにパンチがある。本当にこのPSAユニットは素晴らしい。

見た目以上にまじめな乗り味と実用性を有するDS7クロスバック。600万円を切る設定でこれだけの個性はなかなか得られない。

3台それぞれにオンリーワンの主張がある

アウディとしては初となるSUVクーペがQ8。そのアピアランスには近年アウディが模索してきたエッジドデザインの結実が見られ、長らく遠ざかっていたトレンドリーダーへの復活を予感させる。アウディは、低く構えたボディの方が個性を発揮すると思う。どうしてもっと早く、SUVクーペに着手しなかったのだろう?

インテリアの出迎え方もQ8は素晴らしい。センターコンソールをタッチパネル化する手法はイヴォークも同様だが、Q8はメーターからインパネ、センターコンソールにかけてのT字エリアをデジタルパネルとピアノブラック調パネルでブラックアウトし、座り心地のよいレザーシートを交えて、まるで重役室にいるかのような快適さを味わわせてくれる。遊びに行くときまでビジネスを意識させられるのはどうなのか? とは思うけれど……。

エアサスペンションを備えた乗り心地はひと言でいってラグジュアリー。そのトーン&マナーに合わせるかのように、マイルドハイブリッドを備えた3L V6ターボはどこからでも滑らかに加速して、きっちりとトップエンドまで吹き抜けてみせる。

巨体の割に後輪操舵で小回りが効き、カーブでもこのエアリーな乗り心地を維持したままピタリと曲がるのは不思議な感覚。Q7の3列目シートと高いルーフを排し、その余力をスタイリングと動的性能の向上に使った走りは贅沢であり、クーペスタイルのSUVというよりも大きなオールロードクワトロと思えばすべてに納得が行く。

こうして3台の個性派を乗り継ぐと、価格の分だけ質感やインフォテインメントといったインフラの機能に差は出るものの、どれにもオンリーワンの主張があると分かる。イヴォークは若さを、DS7はフランス流のシックなデカダンスを、Q8はエグゼクティブの極みを。どの個性を欲するかで、あなたの選択は変わるのである。

【Specification】AUDI Q8 55 TFSI QUATTRO debut package S line
■全長×全幅×全高=5005×1995×1690mm
■ホイールベース=2995mm
■車両重量=2200kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ターボ/2994cc
■最高出力=340ps(250kW)/5200-6400rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1370-4500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ウイッシュボーン:ウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=285/40R22:285/40R22
■車両本体価格(税込)=11,220,000円
お問い合わせ
アウディジャパン 0120-598-106

【Specification】LAND ROVER RANGE ROVER EVOQUE R-DYNAMIC HSE
■全長×全幅×全高=4380×1905×1650mm
■ホイールベース=2680mm
■車両重量=1950kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1995cc
■最高出力=300ps(221kW)/5500-6000rpm
■最大トルク400Nm(40.8kg-m)/2000-4500rpm
■トランスミッション=9速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=235/50R20:235/50R20
■車両本体価格(税込)=8,160,000円

お問い合わせ
ジャガー・ランドローバー・ジャパン 0120-18-5568

【Specification】DS7 CROSSBACK GRAND CHIC Blue HDI
■全長×全幅×全高=4590×1895×1635mm
■ホイールベース=2730mm
■車両重量=1700kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16Vディーゼル+ターボ/1997cc
■最高出力=177ps(130kW)/3750rpm
■最大トルク400Nm(40.8kg-m)/2000rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=235/45R20:235/45R20
■車両本体価格(税込)=8,160,000円
お問い合わせ
グループPSAジャパン 0120-92-6813

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みんなのコメント

3件
  • 1000万級のカネが掛けれるならQ8
    しかし、抜群のセンスが光るイヴォークは、エントリーモデルなら500万級でいける!
    オレは、イヴォークがいい。
  • DS!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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