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WEC、開幕戦スパに向けたパフォーマンス調整を否定。LMP2がPP獲得の可能性も?

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WEC、開幕戦スパに向けたパフォーマンス調整を否定。LMP2がPP獲得の可能性も?

 シリーズ・オーガナイザーであるACOフランス西部自動車クラブの競技責任者であるティエリー・ブーベによれば、5月1日に決勝が行なわれるWEC世界耐久選手権第1戦スパ・フランコルシャン6時間レースに先立って、LMP2またはハイパーカークラスのパフォーマンスレベルを変更する予定はない、という。

 4月26~27日に開幕戦と同じくベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催された公式テスト“プロローグ”においては、2台のル・マン・ハイパーカー(LMH)でハイパーカークラスに参戦しているトヨタGAZOO Racing、特例措置によりノンハイブリッドLMP1マシンで同クラスに参戦するアルピーヌ・エンデュランス・チームのいずれもが、LMP2クラスの一部車両にベストタイムで敗れる結果となっていた。

ハイパーカーとLMP2とのタイム差は「開幕戦前に見直されるべき」とトヨタ首脳/WECプロローグ

 LMP1よりもラップタイムが遅くなるハイパーカー規則に合わせ、LMP2車両も昨年までに比べて出力が減らされ、車両重量も増やされ、ル・マン用に設計されたローダウンフォース仕様をエアロの使用が義務付けられたにもかかわらず、このような事態が発生している。

 その結果、トヨタのチーム・ディレクターはふたつのプロトタイプクラスの間のラップタイムを見直すことを望んでいた。

 テスト明けの水曜日、プロローグと開幕戦スパ6時間レースに間に、両クラスのパフォーマンスを変更しないことをWECの技術部門が決定した、とブーベは説明している。

「背景を見積り、より広い視野を持つため、このイベントの前にシミュレーションの作業とクルマについての多くの分析を行なった」とスパでのプレスカンファレンスにおいて、ブーベはSportscar365に対し語った。

「ハイパーカーの新たなホモロゲーション・プロセスを使用し、クルマを風洞試験にかけた。我々には現在、エンジンの出力を測定するトルクメーターもある」

「もちろん、車重はパフォーマンスにとって重要なもうひとつのパラメーターだ。最後に、ハイパーカー用のタイヤには、我々にはふたつのオプションがある」

「これらの行なわれた作業、その一部はマニュファクチャラーと協力してなされたものだ。我々は“階層化”のためにLMP2(のパフォーマンス)を再配置することが必要であると、知っていたからだ」

「それが、我々が取り組んできたことだ。最近になって、そのなかのいくつかが変更になった。これは純粋に、階層化のためのものだ」

「実際に起きたことについてさらなる答えを出すには……つまり、さらなる変更がこの先にあるのかという疑問についてだが、その答えは『現時点ではない』というものだ」

 WECは4月28日、スパの開幕戦に向けて更新版のハイパーカーのBoPの数値をブルテンの発行により明らかにしたが、これは元のバージョンからの「いくつかの間違いを修正する」だけのものであると、ブーベは説明している。このなかで、オレカ製シャシーを持つノンハイブリッドLMP1マシンのアルピーヌA480について、当初は450kW(603hp)とされていた出力の数値が454kW(608hp)へと、わずかに変更されている。

「BoP、あるいは当初のパラメーターの要素は変更されない」とブーベは述べている。

「わずかな変更を見つけることができるだろうが、すでにプロローグ中にマシンはその状態で走っていたため、実際にはBoPの変更にはあたらない」

 ブーベはまた、WECが4月の初めにLMP2マシンに課した追加の性能制限(そもそも昨年の600hpから560hpに出力が下げられていたところ、4月上旬になって重量の20kg増加と出力の27hp低下が決定)に加えた、さらなる制限を回避することを目指していると示唆しているようだ。

「これからは、LMP2の安定性を確保するという考えだ」とブーベ。

「我々は(ハイパーカー導入により)変化を加えなければならなかったが、明らかにこの道へととどまり、ものごとを動かすのをやめるというのが現在の考えだ」

 FIAのスポーツ&ツーリングカー・ディレクターであるマレク・ナワレッキは、次のように述べている。

「この調整後の規則が安定すればするほど、チームはそれに適合しやすくなる。これが我々の目標だ」

■LMP2のアルバカーキ「決勝ではハイパーカーが少し楽になる」
 LMP2クラスに対してこれ以上の制限を加えないという決定は、スパでのパフォーマンスという点において「これ以上、進む道はない」と述べたユナイテッド・オートスポーツUSAのドライバー、フィリペ・アルバカーキによって歓迎された。

 WECおよびELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのLMP2王者であるアルバカーキは、ニック・デ・フリース、アンソニー・デイビッドソンとともに、プロローグにおいてすべてのハイパーカーよりも速いラップタイムをマークしたドライバーのひとりである。

「クラッシュテストに関するFIAの基準をパスする必要があるため、彼らは我々にこれ以上の重量を課すことはできない」とアルバカーキはSportscar365に対し語っている。

「パワーが減らされていて……(スパの)ラ・ソースからオー・ルージュにかけて、充分なパワーがなく、ローダウンフォースのキットを使用しているだけでも、GTマシンをかろうじてオーバーテイクできるのが現状だ」

「長いスティントにおいては、僕らはドライビングがとても難しくなるだろう。そして、僕は寒いコンディションについて語っている。車重やダウンフォース、パワーの面で制限を課されると、運転は非常に難しくなる」

 プロローグと開幕戦の間でパフォーマンス・レベルが維持されることによって、LMP2車両に対して(オーバーオールでの)ポールポジション獲得に挑戦する機会が与えられるかもしれない、とアルバカーキは考えている。

 WECが今年採用するドライバーひとりによる予選フォーマットは、その可能性を促進するかもしれない。以前はシルバーまたはブロンズのドライバーを必ず含む平均タイムによって順位が決められていたが、今季はその必要がなくなった。

「予選は、おそらくハイパーカーに非常に近いものになると思う」とアルバカーキは語っている。

「決勝レースでは、ハイパーカーのタイヤの方がダブル・スティントに対してははるかに良いので、彼らは少し楽になるだろう。これはいいことだ」

「だけど、ル・マンにおけるロングランでは一連のイベント(トラフィック)が生じるため、LMHを高速化して、LMP2と重ならないようにする方法を少し再考しないといけないと思う。LMP2のスピードを落とすのなら、GTEのスピードも落とす必要がある」

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みんなのコメント

1件
  • なんでLMP2のLMPHの性能調整をやらないのかっていうと、今後出てくるデイトナプロトタイプがLMP2もどきだから、下手に調整するとデイトナプロトタイプの競争力が落ちる。
    WECにとってはトヨタより、将来的にデイトナプロトタイプで参戦してくるポルシェとアウディのほうが大事ということ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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