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ホンダ英の工場閉鎖 本当にEU離脱と無関係? カギは電動化と関税

掲載 更新
ホンダ英の工場閉鎖 本当にEU離脱と無関係? カギは電動化と関税

もくじ

ー スウィンドン閉鎖 選択と集中
ー 真の理由 関税と電動化
ー 番外編:数字で見るスウィンドン工場

改良新型メルセデス・ベンツGLC、新エンジンに ジュネーブでマイチェン型公開

スウィンドン閉鎖 選択と集中

およそ3500人が働くスウィンドン工場をホンダが2021年に閉鎖するとのニュースは、日産がX-トレイルの生産拠点見直しを、ジャガー・ランドローバーが4500人にも上る人員削減を発表した時と同じく、この決定の背景には、英国のEU離脱問題が関わっているのではないかという議論を巻き起こしている。

ホンダの答えはノーであり、欧州ホンダのトップを務めるイアン・ハウエルズは、この決定は急速な電動化が進むなか、自動車業界がかつてない変革期を迎えていることがその理由だとしている。

「どこにリソースを投入すべきか、そして、それに相応しい市場の規模とはどれほどのものかを、慎重に見極める必要があります」と、米国、中国と日本の名を挙げながら、ハウエルズはBBCラジオ4に話している。

ホンダにとって、欧州での車両生産はもはやコストに見合わないものとなっていた。一時は好調だった欧州ビジネスだが、2008年の金融危機により苦境に陥り、スウィンドンの生産量も回復しないままだったのだ。

2007年には、工場生産能力の上限となる25万台近くの車両を送り出したものの、2015年には、需要の減少によってふたつある工場のひとつを休止したことで、その生産台数は11万9995台にまで半減している。

2018年中に、スウィンドンの主力車種であったアコード、ジャズにCR-Vといったモデルの生産が中止され、世界中でSUV需要が高まるなか、残されたのはシビックのみの状態だったのだ。

「ホンダのグローバルな生産体制のなかで、スウィンドンは決して主力工場ではありません」と、独立系自動車アナリスト、ポール・ニーウェンハイスは言う。

スウィンドンにとっての希望と言えたのが、2015年にホンダがここを世界で唯一となる、シビックの5ドア・ハッチバックモデルの生産拠点にしたことであり、想定外のヒットを記録した米国向けシビックもここで生産されている。

真の理由 関税と電動化

昨年には生産台数が16万676台にまで回復したことで、スウィンドンは、サンダーランドにある日産の工場と、ソリハルにあるジャガー・ランドローバー、さらにはオックスフォードのミニに次ぐ、英国第4位の自動車工場となった。

しかし、ここで生産された車両の多くが米国へと輸出されるなか、トランプ大統領が掲げる欧州からの輸入車両に25%もの関税を課すとの通商政策が実行された場合、スウィンドンのビジネスモデルは大打撃を受けることになる。ホンダは、同じく2021年にはトルコでのシビック・セダンの生産も中止する予定だ。

だが、スウィンドンの閉鎖は、高まるコストとEV生産の複雑さが最大の理由だ。2018年にホンダがCR-Vの生産を日本に移したのも理由は同じだったと、英国ホンダのトップ、デイブ・ホジェッツは、昨年行われたハイブリッドモデルの発表会でわれわれに話してくれた。

「日本へ生産を移管すれば、大きなスケールメリットを手にすることができます」と彼は言い、「スウィンドンにハイブリッドモデル向けの設備投資を行っても、価格競争力を確保することはできないでしょう」と話していた。

スウィンドンが閉鎖される2021年に発売予定の次期シビックでは、ハイブリッドモデルの登場が予想されており、新たに発効した日EU貿易協定(英国も後に続くことを望んでいる)のもと、日本で生産された車両も、関税ゼロで欧州市場へ輸出することが可能になる。

英国のEU離脱まで2カ月を切ったタイミングでの発表ということを考えると、いくらホンダが否定しようとも、ブレグジットが無関係だとは思えない。

「ホンダは必ずしもすべての理由を明らかにしているわけではありません」と業界に詳しいデビッド・ベイリーは言う。

さらに、「英国の産業政策は電動化を中心に考えられており、ホンダの決定は大きな衝撃をもって受け止められています。ブレグジットが理由でなければ、それは英国がEVの生産拠点としての魅力に欠けているということであり、いずれにせよ、英国の産業政策は大きな混乱のなかにあると言えます」とも話す。

番外編:数字で見るスウィンドン工場

1989

工場がオープンした年

1992

車両生産を開始した年

3500

従業員数(人)

90

輸出比率(%)

16万676

2018年の生産台数(台)

25万

生産能力(台)

3

生産しているエンジン種類

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