最高峰の高性能ステーションワゴン
夢のクルマといえば、まずスーパーカーを思い浮かべるかもしれない。だが、滅多に新モデルが登場しない、最高峰のステーションワゴンも悪くない。
【画像】最高峰ワゴン BMW M3ツーリング マルチに使える VW T7マルチバン M4とID.バズも 全127枚
内燃エンジンをボンネット内に縦置きした、高性能ステーションワゴンは選択肢が限られる。遡ること30年ほど前、1994年にポルシェが開発したアウディRS2が、その起源といっていいだろう。
フロントのエンジンが500馬力、リアの荷室容量が500Lという組み合わせは、多くのドライバーにとって魅力的に映るはず。1台で思い切り運転を楽しめ、思いっきり使い倒せる。
英国や日本は、世界有数のホットハッチ大国だと思う。とてつもなく速いBMW M3ツーリングは、そんな国民性にもピッタリ当てはまる。
実用性を高めたボディ形状が、大きな魅力を生んでいる。あからさまなスーパーサルーンは少しありきたり、と考えるクルマ好きも中にはいらっしゃると思う。
実際の荷室容量以上に、ステーションワゴンは使い勝手に優れる。だがそれにも増して、伸びやかなルーフラインのシルエットが生む、特有な訴求力は否定できない。
E46型の世代に試作車が1度作られたという話はあるが、G80型で初めて市販されたM3 ツーリングの登場を、AUTOCARでは心から歓迎している。そして、その内容は期待を裏切らなかった。1mmも。
1台で何役もこなせる能力の幅の広さ
B7世代のアウディRS4 アバントも素晴らしかったし、自然吸気エンジンを搭載したAMG Cクラスのステーションワゴンも素晴らしかった。M3 ツーリングは、それら傑作に並ぶ高速ステーションワゴンだ。
最高出力は510psに達し、ボタン1つで四輪駆動と後輪駆動を切り替えられる。コーナーでは自在なライン取りを叶えつつ、挙動は終始落ち着いている。
天候を問わないドライバーズカーは、必ずしも高い充足感を与えてくれるわけではない。しかし、M3 ツーリングは一味違う。
ただし、安くはない。英国価格は約8万ポンド(約1288万円)からで、カーボン・バケットシートやカーボンセラミック・ブレーキなど、垂涎なオプションを追加すると簡単に10万ポンド(約1610万円)を超えてしまう。ドリームカーなのだ。
そのかわり、能力の幅は広い。学校の送迎に使えるし、郊外のワインディングを攻め込めるし、長期休暇には荷物を積んで家族と遠くまで旅行もできる。サーキットの走行会では、周囲が驚く速さも見せつけられる。1台で何役こなせるだろうか。
一緒に過ごす時間が長くなるほど、確かな信頼関係を築ける。本当に、自らのクルマを理解することができる。
M3 ツーリングの有能ぶりには、言葉を失うばかり。2023年のベスト・ドリームカーに相応しい。
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みんなのコメント
フロントがカッコ悪すぎるわ。