BMW iX2と基礎骨格とパワートレインを共有
モデルチェンジ毎にボディが拡大するのは、近年の常識かもしれない。だが新しいカントリーマンは、それ以上の変化を遂げた。先代より大きいだけでなく、ミニ史上最大。しかも、トップグレードなら最もパワフルだ。
【画像】航続距離がすべてじゃない! ミニ・カントリーマン SE オール4 競合の電動クロスオーバーは? 全183枚
新世代では、バッテリーEVも選択できる。欧州では、このクラスの電動モデルが増えつつあるが、充分な存在感を示せる特徴的な見た目をまとう。
電動のパワートレインは、ミニ・ブランドへ良く似合う。高級感を漂わせつつ親しみやすい雰囲気は、電気モーターが叶える活発で静かな走りと調和する。レトロ感を巧みに取り入れたインテリアも、訴求力は低くない。
英国へ導入される、電動のカントリーマンは2種類。駆動用バッテリーの容量は64.6kWhで共通し、ベース仕様がシングルモーターのEで、最高出力は203ps。前輪駆動となり、航続距離は460kmがうたわれる。
今回試乗した方が、SE オール4。ツインモーターの四輪駆動になり、システム総合で312psへ上昇する。0-100km/h加速は5.6秒と、Eより3.0秒も鋭いが、航続距離は428kmへ短くなる。これ以上に長距離を走れるライバルが、同クラスには存在する。
カントリーマンは、新世代の電動ミニ・ファミリーのトップバッターだが、プラットフォームはBMWグループのUKLを採用。ハッチバックのクーパー Eや、クロスオーバーのエースマンなどとは異なる。
これは、内燃エンジンにも対応した設計が特徴で、BMW iX2なども基礎骨格とするもの。電動パワートレインも、それらと共有している。
スタイリング以上に印象的なインテリア
先述の通り、カントリーマンは歴代のミニで最大になり、本当のファミリー・クロスオーバーへ成長した。スッキリとしたスタイリングは、ミニらしさを残しつつ、現代のトレンドも融合。ショッピングモールの駐車場での主張もバッチリだ。
インテリアは、スタイリング以上に印象的だろう。試乗したエクスクルーシブ・グレードでは、明るめのカラーでコーディネートされ、ミニマリストでレトロフューチャーな雰囲気。他に、クラシックとスポーツの2グレードが選べる。
前列・後列ともに空間にはゆとりがあり、足もとの前後長も充分。背が高めの大人でも、窮屈には感じられないはず。
内装の素材は、リサイクル性を強く意識したもの。ダッシュボードを覆う布地は温かみがあり、ジョン・クーパー・ワークス(JCW)仕様のスポーティな雰囲気より、カントリーマンには向いているように感じた。
車載機能の多くは、ダッシュボード中央に据えられた、円形のOLEDタッチモニターで操作する。メーター用モニターは備わらず、スピードなどもタッチモニターの上部へ表示される。オプションのヘッドアップディスプレイの追加は、良い選択かもしれない。
運転体験の印象へ変化を与える、8種類のエクスペリエンス・モードは新しい機能だろう。タッチモニターのグラフィックが変化するほか、例えばタイムレス・モードでは、1959年に発売された初代ミニを模した、4気筒エンジン風の人工音も再生される。
鋭く滑らかな加速 引き締まったコーナリング
試乗車には、まだインフォテインメント・システムに多少のバグが残っていた。新モデルとして、少し寛容に接する必要はあるだろう。エクスペリエンスをグリーンへ切り替えると、複数のイラストがモニター内で動き、少し気が散るようにも思えた。
往年のクーパーS風のインテリアがお好みなら、スポーツ・グレードが好適。ダッシュボードが鮮やかなチリ・レッドで装飾される。
さて、確認を終えて公道へ出てみよう。内燃エンジンで走るカントリーマンと乗り比べると、約450kg増えた車重を実感する場面はある。だが、ツインモーターのパワーが、それを巧みに補っている。
加速は鋭く滑らか。淡泊な印象は拭えないが、それはバッテリーEVに共通することだ。
アルミホイールは20インチだったが、乗り心地は良好。SUVでもゴーカート・フィーリングを意識しているだけあって、やや硬く感じられる路面もあるとはいえ、内燃エンジン版よりしなやかに不整をいなしていた。
速度が上昇しても、JCWほど回頭性は鋭くないものの、この手のモデルとしては引き締まったコーナリングを披露。操縦性のバランスは良く、iX2より優れるといっていいだろう。思わず笑顔になるような、運転の楽しさがある。
回生ブレーキの設定の幅は広く、ブレーキペダルを踏まずに済む、ワンペダルドライブにも対応。交通状況に応じて変化する、アダプティブモードも選べる。ただし、パドルで強さを変えることはできない。
現実的な航続距離は約360km 安いEの方が訴求力は上?
エクスペリエンスのゴーカート、コア、グリーンの3種類は、ドライブモードも兼ねる。それぞれ、スポーツ、ノーマル、エコと考えていい。ステアリングの重さやパワーデリバリーのほか、オプションのアダプティブダンパーの硬さも変化する。
電費は、高速道路から峠道までを複合的に走らせた平均で、4.8km/kWh。カタログ値の5.9km/kWhと、開きが出てしまった。現実的な航続距離は、360km前後と考えられる。急速充電能力は130kW。これは、クラストップの数字ではない。
5000ポンド(約100万円)ほど英国では安いEの方が、訴求力では上かもしれない。航続距離も30kmほど長くなる。
英国仕様のカントリーマンには、トリムグレードの他に、レベル1~3のオプションパッケージが用意されている。レベル1は2500ポンド(約50万円)で、アダプティブLEDヘッドライトにコンフォート・アクセス、ヘッドアップ・ディスプレイなどが得られる。
レベル3は7800ポンド(約156万円)。5000ポンド(約100万円)のレベル2へ含まれるハーマン・カードン社製オーディオやパノラミック・サンルーフに加えて、メモリー機能付き電動シート、車内カメラ、駐車支援システムなどが追加される。
ミニらしく運転も楽しめる電動SUV
新しいミニ・クロスオーバーは、客観的なバッテリーEVとしての性能では、クラストップに匹敵するわけではない。よりお手頃な価格で、より長い航続距離を備えるモデルは存在する。しかしそれは、運転・所有体験のすべてを表すものではないだろう。
適度にクラシカルなインテリアは豪華すぎず、上品で心地良い。SE オール4では動力性能に優れ、コーナリングも快活。ミニらしく、運転も楽しめる。かなり好印象な電動SUVだと筆者は感じた。
◯:上品で明るく、広々とした車内 ミニの特徴を巧みに取り入れた、モダンなスタイリング ゴーカート・フィーリングを感じさせる活発な走り
△:より安価で航続距離の長いライバルは存在する ミニとは呼びにくいボディサイズ
ミニ・カントリーマン SE オール4 エクスクルーシブ(英国仕様)のスペック
英国価格:4万9680ポンド(約994万円)
全長:4433mm
全幅:1843mm
全高:1656mm
最高速度:178km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:428km
電費:5.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2000kg
パワートレイン:ツイン励起同期モーター
バッテリー:64.6kWh(実容量)
急速充電能力:130kW
最高出力:312ps(システム総合)
最大トルク:50.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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