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「小さくない」ミニの時代 歴史上の反省、今後の野望は? インタビュー

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「小さくない」ミニの時代 歴史上の反省、今後の野望は? インタビュー

もくじ

ー ミニではないミニ 今後は何を見据える?
ー 増やしすぎた派生車種 イメージの転換
ー 7車種中5車種しか認知されていない?
ー 電動化 そして次世代モビリティ

ミニ・エレクトリック・コンセプト実車撮影 ミニもEVの時代

ミニではないミニ 今後は何を見据える?

ミニは、多様性を持つようになり、実用性が増しただけでなく、装備も充実した。ただミニはミニと呼べるほどもはや小さくない。今後ミニがどのような展開をみせるのかと訝しむのは、あなただけではないだろう。

この16年で400万台のミニが造られた。オリジナルのミニの41年間の台数である540万台に及ばんとしている。新生ミニは、これまで10種類の車種を導入し、110の国々で販売されてきた。ハッチバック・モデルは、常時イギリスにおけるベストセラーモデルの10位以内に位置する。

ミニの現在がどうであるかを理解するためには、ミニが辿ってきた軌跡を理解する必要がある。そういった場合、ミニUKのディレクターであるクリス・ブラウンリッジ以上の適任はいない。

「2001年当時、プレミアム・スモールカーという概念は存在しませんでした。おそらくミニは、その差別化を訴えた初めてのブランドです。われわれは商品として優れたものを持っていただけではなく、大胆なマーケティングのアプローチを取り入れました」と彼は説明する。

「多分、われわれは、ブラックユーモアを広告に取り入れた最初のブランドでもあるでしょう。商品は、差別化に焦点を置き、ブランドのポジショニングもユニークでした。結果、販売は大成功でした」

次の一手は、多様化であった。コンバーチブルから始まり、クラブマン、カントリーマン、ロードスター、クーペ、そしてペースマンと続く。ただしそれには葛藤や失敗があった。これについても聞いてみよう。

増やしすぎた派生車種 イメージの転換

「われわれは驚くほどの派生車種を生みだし、それらは国内市場だけを考慮したものではなく、国際市場を意識しました。そして、ミニはシリアスなブランドとして確立したのです」ブラウンリッジは、続ける。

しかし、続く言葉は厳しいものであった。「ちょっと気転の効いた風変わりなブランドが、いってみればもっとシリアスなブランドへと舵を取った時、逆風が吹いてきます」

「われわれの広告は、見方によってはとても軽薄なものでした」

「その結果、われわれの顧客は絶大なブランドへの親和性を感じ、一方で、特定の顧客層からそっぽを向かれてしまいました。われわれは袋小路に追い詰められ、打開策を講じなければなりませんでした」

ミニのプロダクトレンジの構成にも修正の必要があった。

「われわれは、当時7種類の車種をラインナップしていました。全てがスモールカーのクラスです。イギリスで成功し、世界的にも顧客獲得に成功していましたが、同時に失う顧客もいました」

気が付かないひともいるだろうが、ロゴにも少し手が加えられている。少なくとも、ブランドのコミュニケーションに関するCIや、ショールームにおけるクルマの見せ方、感じさせ方を刷新している。

「ショールームは、以前のようなナイトクラブの様相ではなく、アップルストアのような雰囲気を目指しました」とブラウンリッジ。

今回のアクションは、メッセージというよりも再出発というべきであろう。「現行のハッチバック・モデルを手始めに、商品性を高めて提供を始めています」

それでもなお差別化は高度に維持されており、豊かな個性を有する。なによりもミニの遺伝子は明確に織り込まれている。

次の一手は、5ドアモデルである。

7車種中5車種しか認知されていない?

「5ドアモデルはスモールカーのクラスにおいて平凡なクルマに飽き足らない顧客層を獲得するための、またとない援護射撃です。くわえて、Cセグメントへのエントリーもしたいと思っています」

これらの変化は、既存の顧客を遠ざけてしまうかもしれないのでは?

「新生ミニにおける既存顧客の反応も実はいいのです。同時に、新しい顧客を導き入れています。これまでわれわれを認知していなかった顧客が多くいるのです」とブラウンリッジ。

ただ、極めて重要な課題は、ミニがただ1車種のブランドではないことを顧客に理解させることである。

7種類の車種をラインナップしながらも、「5車種の認識しか得られていません。ミニ・クーパーの認知は行き届いていますが、多くのひとはクラブマンを知らないのです」ブラウンリッジはいう。

再出発のラインナップは、いまも尚その足場を固めている。

「われわれは、スモールカー・セグメントに3車種を配備しています。3ドア、5ドア、そして、コンバーチブルです。そして、全てはそのクラスでトップクラスの販売台数を誇ります。それらは安定しているので、特にてこ入れをするつもりはありません。よいリセール・バリューと顧客ベースが付いています」とブラウンリッジ。

「クラブマンで、われわれは新しい顧客を招き入れることができ、ハッチバックでは、顧客が順調に伸びています。カントリーマンは、今では十分なサイズを有しており、家庭におけるセカンドカーとしてではなく、メインのクルマとして通用します」更にミニの新しいニュースは続く。2019年には全電動化されたミニが導入される。

電動化 そして次世代モビリティ

ブラウンリッジは、このブランドが電気自動車、都市における移動手段、カーシェアリングの分野で先進的な位置に付けていると考えている。

「ひとびとが都市へ回帰している傾向がみられます。われわれの進んでいる方向は、その分野で革新的なものとなると考えています」

ミニは、カーシェアリングの分野で、使用されるクルマに生体認識技術を利用して、ドライバー各自の仕様を反映させることを研究している。

「それはあなたのクルマですが、実はそうではない、とでもいいましょうか。あなたは、好みの外見のクルマを選ぶだけでいいのです。例えば、英国を発ち、スペインに到着したとしましょう。そこには英国で乗っていたのと全く同じ仕様のミニがあなたの到着を待っているのです。可能性を考えるだけでも、ゾクゾクします。この構想はわれわれのブランドの方向性と一致しているともいえます」

「われわれは、ひとびとが移動する手段を大きな市場とみています。そして、そこでどんなプレミアム・サービスが提供できるかを考えています。それこそが、「ミニ・リビング(シンクタンクの構想する、都市生活者による斬新なスペースの使用方法)」の台頭なのです」

「そもそも、ミニというクルマは、問題を解決するために生みだされました。つまり、ここにも一貫した存在意義があるのです。」

「われわれのブランドは、革新性とスペースの有効活用という分野で、都市空間との関連性があるとも考えています。まだまだわれわれの挑戦は続きます」

BMWとの生産的な関係を続けるミニの次のステップは、1959年のブランドのオリジナル・コンセプトに、その造形をインスパイアされた、クルマである。それは、聞いただけでも、興味をそそられ、エキサイティングでもある。

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