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ホンダ初代「インテグラ タイプR」は至高のチューニングカーだ! 最速と呼ばれたFFスポーツカーを振り返る

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ホンダ初代「インテグラ タイプR」は至高のチューニングカーだ! 最速と呼ばれたFFスポーツカーを振り返る

■ストイックに速さを追求したFFスポーツカーの誕生まで

 ホンダは1992年に「NSX」をさらに高性能化したモデル「NSXタイプR」を発売。日常での普段使いを無視したようなハードな足まわりや、快適装備を取り去るなどによりストイックなまでに軽量化を施し、サーキット走行を前提に開発されました。

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 しかし、NSXタイプRは1千万近い価格で、とても庶民が買えるクルマではありませんでした。

 そこで、タイプR第2弾として1995年8月に初代「インテグラ タイプR」を発売。NSXタイプRと同様のコンセプトで仕立てられたインテグラ タイプRとは、どんなクルマだったのでしょうか。振り返ってみます。

※ ※ ※

 インテグラの系譜をたどると、1980年に発売された「クイント」まで遡ります。クイントは「プレリュード」を販売する「ベルノ店」専売車で、ボディは5ドアハッチバックとし、車格的には「シビック」と「アコード」の間に入るポジションでした。

 搭載されたエンジンは1.6リッター直列4気筒CVCCのみで、最高出力は90馬力と性能的には特筆すべき点は無く、当時、5ドアハッチバック車は売れないというジンクスもあり、販売的に成功したとはいいがたいモデルでした。

 ホンダはコンセプトを変え、1985年に2代目となる「クイント インテグラ」を発売。全車DOHCエンジン搭載した3ドアハッチバックとなり、スタイリング、居住性、走りと、すべてを一新。

 数か月遅れで追加された4ドアセダンと5ドアハッチバックも基本的なフォルムは3ドアハッチバックと同様で、高性能かつスタイリッシュなクイントインテグラは、同時期に発売された「シビックSi」と人気を二分することになります。

 こうして高性能車として歩み始めたクイント インテグラは、1989年に「インテグラ」と名前を変えた新型がデビュー。ホンダ初の「VTEC」エンジンを搭載した記念すべきモデルです。

 1993年にはシリーズで4代目にあたる新型「インテグラ」が登場。外観デザインは先代よりもスマートな印象で、3ドアハッチバックと4ドアセダンをラインナップし、トップグレードには180馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒VTECエンジンを搭載するなど、高性能化が一気に進みました。

 そして、4代目がデビューして2年、ついに初代「インテグラ タイプR」が発売。ホンダのレーシングテクノロジーが注ぎ込まれた、ピュアFFスポーツカーの誕生です。

※ ※ ※

 デビューを飾った初代インテグラ タイプRは、単なる高性能車ではなく、メーカーならではのチューニングカーといっていい内容でした。そこで、どういったモデルだったか紐解いてみます。

■高性能化に一切の妥協がなかったインテグラ タイプR

 まず興味深いのはホンダ自ら初期モデルのインテグラ タイプR用エンジンを「B18C 96spec.R」と呼んでいたことです。つまり、後のバージョンアップをすでに予定していたことを示唆していました。

 1.8リッター直列4気筒VTECエンジンは最高出力200馬力を8000rpmで発揮。許容回転数は8400rpmで、この時のピストンスピードは24.4m/secと、完全にレーシングカー用エンジンの領域に到達。しかし、VTECの効果によって低回転域は犠牲になっていません。

 エンジンチューニングの手法としては圧縮比のアップと吸排気系の損失低減に加え、フリクション低減をおこなうことにより、耐久性と信頼性を確保しています。

 具体的には、ピストン重量を増加させることなくベースエンジンの10.6から11.1へと大幅な圧縮比アップ、専用のシングルポートインテークマニホールドと、集合部を鋭角化して排気抵抗ダウンを実現したエキゾーストマニホールドの採用、インテーク側のバルブ本体の軸を細径化、さらにインテークポートの手加工による研磨がおこなわれていました。

 ほかにもスロットルバルブ径を2mm大きくし、カムプロフィールの変更、コンロッドとクランクシャフトの強化などが図られ、エンジン関係だけでも約60点のパーツが新たに開発されたといいます。

 トランスミッションは5速MTのみとされ、2速から5速までのレシオを低く設定したクロスレシオ化を実施。

 ボディは3ドアハッチバックと4ドアハードトップセダンをラインナップし、なかでもセダンは、シビック タイプRを含めてもタイプRシリーズで唯一の5名乗車となっています。

 外観は専用のフロントアンダースポイラーに大型のリアスポイラーを装着して、迫力あるフォルムを演出。15インチホイールも専用デザインとなっています。

 ボディ剛性の強化は、フロントからリアまで4本のパフォーマンスロッドを装着することで実現。補強による重量増軽減のため、フロントのストラットタワーバーをアルミ材に変更しています。

 4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションでは、強化されたスプリングにより15mmの車高ダウン、ダンパーの減衰力とスタビライザー径など、総合的に強化しています。実際に街乗りが苦痛になるほどハードな足まわりでした。

 ほかにもアライメントの変更や、サスペンションのマウントブッシュの変更、ヘリカルLSDの採用で、回頭性と応答性が向上しています。

 内装ではMOMO製ステアリング、レカロ製バケットシート、チタン製シフトノブが装備され、機能以上に見た目にも高揚感がありました。

 また、追加されたパーツ以上に軽量化がおこなわれ、エアコンやオーディオ類はオプション扱いとし、防音のための装備も省略。バッテリーを小型化し、リアワイパーも外されるなど、トータルで約40kgが軽減され、3ドアで1060kg、セダンが1100kgの車重を実現しています。

 変更されたパーツや、ボディ補強、車重軽減など、手が入れられた箇所は多岐にわたり、ストイックなまでに性能向上に努めていたことがわかります。

※ ※ ※

 初代インテグラ タイプRは、当時FF最速と呼ばれ、NSXタイプRと同様に、ノーマルでもサーキットでスポーツ走行が可能なほど、高い基本性能を誇っていました。そして、さらなる進化を続けます。

 1998年のマイナーチェンジにより、エンジンが「B18C 98spec.R」にバージョンアップ。最高出力はそのままですが、4in1エキゾーストマニホールドを採用することで中速域のトルクアップを実現しました。

 ブレーキもフロント15インチにリアを14インチのディスクに代えられて強化。ホイールも4穴から5穴の16インチとしています。

 またサスペンションもチューニングされ操縦性を向上し、ボディもさらに剛性をアップ。外観ではリアバンパーにウイングタイプデザインを新採用し、内装にはエアバッグ対応MOMO製ステアリング、コクピット中央に「INTEGRA TYPE R 98spec.R」と刻まれた専用アルミ製バッヂが装着されました。

※ ※ ※

 その後、2001年に次世代の2リッターエンジンを搭載した2代目インテグラ タイプRがデビューし、さらなる高性能化が進みましたが、初代の軽量コンパクトなボディが失われたことは、マイナスに思った人もいたようです。

 2007年には人気低迷を理由にインテグラは消滅してしまいましたが、初代インテグラ タイプRから続くコンセプトは、現行モデルのシビック タイプRへと受け継がれています。

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