新しいA9 eトロン
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
【画像】アウディ・アイコン・コンセプト、メルセデス・ベンツEQS、ジャガーXJ【ライバル比較】 全97枚
アウディは、社内のワーキンググループ「アルテミス」によって開発された、新しいフラッグシップモデルで、高級EVモデルのトップを目指す。
「2024年に発売予定の、高効率の電気自動車」と言われている最先端のアウディ・モデルは、2017年のフランクフルト・モーターショーで展示された「アイコン」コンセプトをベースとしている。
新しいフラッグシップ電動モデルは、間もなく発売されるメルセデス・ベンツEQSおよび、ジャガーXJの直接のライバルとなる。
最新の電動ドライブトレイン、バッテリーセル、自動運転技術、Car-to-Xコミュニケーション機能の拡張版、オーグメンテッド・リアリティ、無線アップグレードなどの5G接続機能を備える。
社内のコードネームE6で呼ばれる新しいモデルは、開発の初期段階にあり、スポーツサルーンまたはリフトバックとなると言われている。
現行A7と同等のエクステリア・サイズを持ちながら、より大きなA8のインテリアスペースを提供すると言われており、A9 eトロンと名づけられるとの情報もある。
この新しいモデルは、アウディ、ベントレー、ランボルギーニ、ポルシェ、セアト、シュコダ、フォルクスワーゲンを含む、VWグループ・ブランドが計画する電化戦略の一環として発売される。
この戦略には、600億ユーロ(7兆2943億円)が投資され、2029年までに最大75のEVモデル、および60のプラグイン・ハイブリッドの投入が計画されている。
アウディは、研究開発費予算の370億ユーロ(4兆4977億円)のうち、120億ユーロ(1兆4583億円)を投入し、2024年末までに、最大20のEVモデルと、10のプラグインハイブリッド・モデルを発売することを明らかにしている。
アルテミス・ワーキンググループ
新会長のマルクス・ドゥスマンが設立した、アルテミス・ワーキンググループは、同社がテクニカルリーダーとしての地位を取り戻すことを目指している。
アルテミスは、アウディの開発部門およびエンジニアやソフトウェアの専門家など幅広いグループと協力し「電動化および高度な自動運転のための技術を、迅速に構築します」と述べている。
アルテミスは、ライバルの電動スタートアップブランド、および主要なモーターレーシングチームの俊敏性とスピードに対抗する。
ドゥスマンは、新しいワーキンググループは「自由度が高く、グローバルで活動できるだろう」と語っている。
アウディ社内のテクニカルと、VWグループの新しい「software.org」事業がアルテミスへ参加することが明らかとなっており、特にプラットフォーム開発において、ポルシェとのより緊密な連携を計画している。
両社はすでに、タイカンと eトロンGTのJ1プラットフォームで協力しており、2022年に第2世代マカンの電動バージョンで最初に採用される予定となっている、PPEストラクチャーを開発している。
ブランド全体に新しいテクノロジーを導入
アルテミスは、新しいアウディのフラッグシップに技術的なソリューションを提供するだけでなく、ブランド全体に新しいテクノロジーを導入する。
ドゥスマンは、テスラ、リビアン、ルシードや、中国の新興企業を含むライバルに対抗し、変化する自動車業界においてアウディが競争力を維持するために、アルテミスは不可欠であると考えている。
ブラム・ショットに代わり、4月にアウディの会長に就任したドゥスマンは、R&Dの責任者としてVWグループの取締役会にも名を連ねており、同グループの会長であるハーバート・ダイスと、BMWで共に働いた経験を持つ。
ドゥスマンは、アルテミスが、そのフラッグシップモデルを中心に広範なエコシステムを形成し、それを他のEVモデルに反映させると述べている。
2019年の「AI:ME」コンセプトカーで紹介された、A2のハイテク後継モデルを含む、他の既存のプロジェクトにも、アルテミスは関わっている。
「AI:RACE」電動スポーツカー、および「AI:TRAIL」四輪駆動の生産バージョンの提案もされている。
またアルテミスには、試作のスピードを早めるための、新しいビジネスモデルを構築し、モデルの開発とデータ収集をスピードアップすることが、期待されている。
「既存のプロジェクトに影響を及ぼすことなく、追加のテクノロジーベンチマークを組み込み、市場の新しい機会を活用する方法を探っていきます」とドゥスマンは述べている。
迅速で俊敏な開発プロセスを開拓
アルテミスを率いる、アレックス・ヒッツィンガー49歳は、現在VWグループで自動運転技術の開発を担当している。
レッドブル・レーシングでフォーミュラ1に携わった後、ポルシェのル・マン3連覇を果たした919 LMP1の開発を率いてきた。
また、キャンセルされたアップルの「プロジェクト・タイタン」電気自動車プロジェクト、およびVWの商用車部門と協力し、クラシックなマイクロバス「バズ」のプロダクションバージョンにも取り組んできた。
ドゥスマンは、ヒッツィンガーの任命について「これまでの経験を生かし、開発部門と共に将来の成果を、主要なグループブランドの新しいモデルに反映してくれることを、期待しています」
「アルテミスが、迅速で俊敏な開発プロセスの青写真を提供してくれるでしょう」と述べている。
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