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【魅力あるクルマたち】世界のクルマ好きを魅了するマツダ・ロードスターの心踊るオープンフィール

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【魅力あるクルマたち】世界のクルマ好きを魅了するマツダ・ロードスターの心踊るオープンフィール

ロードスターは軽量FRオープンの世界を再構築

 誕生から35年、世界中でこれほど数多くの愛好家を生み出したクルマはない。ロードスターは「2人乗り小型オープンスポーツカー」の生産累計世界一のギネス記録を日々更新しつづけている。

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 1980年代に絶滅状態にあったライトウエイトオープンスポーツを、「こんなクルマがほしい」という社内の研究開発拠点からの提案をもとに商品化したのがロードスター(海外名「MX-5」)だった。
 売れるという確信と、こうした特殊なクルマがはたして受け入れられるのかという不安が半々だったというが、マツダのアイデアは大きな共感を呼び、初代NA型は世界中で売れに売れた。

 NA型が人気を博したのは、価格が手頃でデザインがよく、オープンカーならではの特別感や非日常性を味わえたところにあった。ポイントはドライビングの楽しさだ。「人馬一体」のキーワードのとおり手の内で操れる走りと、「ヒラリ感」と評される軽快なハンドリングで乗り手を魅了した。

 続く1998年に登場したNB型は、固定式ヘッドライトや特徴的なボディパネルにより見た目の雰囲気が一変したが、内容的にはNA型との共通性が高い。デザインは好みが分かれたものの、エンジンや足回りなどの完成度は着実に進化していた。6速MTが初めて設定され、リアスクリーンがビニールからガラスになったことも歓迎された。「クーペ」や「ターボ」のような新たな方向性を模索したのも特徴だ。

 3代目のNC型は2005年にデビュー。ボディサイズが拡大し、エンジンは2リッターとなった。当初はV6を積むという噂まであったほどで、上級志向が見て取れた。時間の経過とともに、より大きく立派にということは、クルマが進化していく過程ではよくあること。ロードスターにも当てはまったといえる。背景には当時、ロードスターの成功を見て続々と現れた海外勢のオープンカーが高級路線で人気を博したことがあった。自身が追われる立場になったと認識していたのだろう。

現行型は「原点回帰」をキーワードに開発。最新モデルは、よりロードスターらしく進化した

 現行のND型は、「ファンは高級志向のロードスターを求めているわけではない」と考え方を見直し、「原点回帰」を念頭に開発された。

 ボディサイズを切り詰め、徹底して軽量化を図り、小排気量エンジンを組み合わせた。それはNAの再来と評された。ND型は2015年の登場からすでに相応の時間が経過したものの、不思議と古さを感じさせない。中身はマツダらしく折に触れて改良され新しいものを取り入れてきた。

 大きな節目のひとつが、2021年末のKPC(キネマティックポスチャーコントロール)と呼ぶ技術の採用だ。ブレーキをかけると車体を引き下げアンチリフト力が発生するリアサスペンションの特性を活かし、コーナリング時にリア内輪をわずかに制動してロールを軽減。姿勢を安定させるという機構である。これによりND型が当初から指摘されていたロール挙動がずいぶん抑えられた。
 そのKPCのメリットをより強調するとともに各部を専用にチューニングした特別仕様車の990Sは、ND型における走りの頂点といえる仕上がりであった。試乗して大いに感銘を受けた。

 さらに、2023年末に驚くべき改良があった。最新ロードスターは、電子プラットフォーム化により見えない部分が大きく変わり、先進的な機能が充実。走りも見違えるほど素晴らしくなっている。

 電動パワーステの制御の見直しや、MT車へのアシンメトリックLSDの新搭載により、持ち前の走りの楽しさにさらに磨きがかかった。その上で、S系とRSでは走りの楽しさの質が異なるのもポイント。足回りがよく動いて挙動が素直なS系に対し、RSは引き締まった印象でロールも小さい。より安定した中で精度が高く切れ味の鋭いハンドリングが楽しめる。

 S系がNA型の再来なら、RSは高度にチューニングされた現代的なスポーツカーというイメージである。ただし、方向性はそれぞれでも、どちらも 「人馬一体」の走りが強化されていることには違いない。

 ハイオク対応になったソフトトップ用の1.5リッターエンジン(136ps/152Nm)は、これまでよりも中回転域の加速が力強くなるとともに、トップエンドにかけての吹け上がりが伸びやかになっている。FRの楽しさをオープンエアで存分に楽しめるロードスターの醍醐味が、一段と味わい深いものになっていた。

 一方で「屋根あり」のロードスターを好む人に向けて、NC型のRHTやND型のRFのような派生モデルも生まれた。RHTはソフトトップ部分を電動ハードトップに置き換えた作りだったが、現行のRFはファストバックにタルガトップの電動格納式ルーフを組み合わせた作りとなっている。

 RFは、車両重量の増加にあわせて、2リッターエンジン(184ps/205Nm)を搭載した点も魅力だ。ドライブフィールは「人馬一体」を損なわない範囲内で、いくぶん落ち着きのある味付けとなっている。ソフトトップとはひと味違った個性が味わえるクルマである。

 周囲を見わたすと、ロードスターの後を追ってデビューしたライバルはどんどん姿を消している。だがロードスターだけはむしろ勢いが増しているように見える。
 ロードスターの楽しさは永遠である。この先も根底に流れるコンセプトを変えることなく存在し続けてくれるよう願うばかりだ。

マツダ・ロードスター主要諸元

グレード=RS(ソフトトップ)
価格=6MT 367万9500円
全長×全幅×全高=3915×1735×1235mm
ホイールベース=2310mm
トレッド=フロント:1495/リア:1505mm
車重=1040kg
エンジン(プレミアム仕様)=1496cc直4DOHC16V
エンジン最高出力=100kW(136ps)/7000rpm
エンジン最大トルク=152Nm(15.5kgm)/4500rpm
WLTCモード燃費=16.8km/リッター(燃料タンク容量40リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:11.9/17.6/19.7km/リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=195/50R16+アルミ(ブラックメタリック塗装)
駆動方式=FR
乗車定員=2名
最小回転半径=4.7m

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みんなのコメント

27件
  • トム
    正直マツダのような弱小メーカーがイメージ戦略の為とはいえこのような量販スポーツカーを作り続けてるのは奇跡に近いと思う。
  • syo********
    安かったと、当時が分からない記者が多数書いてるが、ベースが170万位であって売れ筋は200万はいってた。当時の売れ筋1.6は、レビトレが170万位 シルビアはターボだと230位 FCのRX7とスカイラインGTS-tだと270万位だったかな。ちなみにスタタボは140位だったと思う。超売れてたカローラのSE-Lで150万位、81マークⅡグランデで230万位決して安くはなく、むしろ高かった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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