もくじ
どんなクルマ?
ー 1.2ℓ→1.0ℓも出力増
新型フォルクスワーゲン・ポロ「GTI」試乗記 2018年型は「正当派」
どんな感じ?
ー 内装、Bセグでは上質
ー エッジよりも平均点
「買い」か?
ー 個性は今ひとつ GTIに期待
スペック
ー フォルクスワーゲン・ポロ1.0 TSIハイラインのスペック
どんなクルマ?
1.2ℓ→1.0ℓも出力増
フォルクスワーゲンのBセグメントカー、ポロの新型が日本に導入された。ゴルフに遅れること1年の1974年、その前年に世に出ていたアウディ50のフォルクスワーゲン版としてデビューした初代から数えて、6代目のポロになる。
現行ゴルフやパサートとベースは同じMQBモジュラーを採用して構築されたボディは、4060×1750×1450mm、ホイールベース2550mmで、先代より長さも幅も65mm大きくなり、ホイールベースも80mm伸びて、全長が10cmほど短いことを除けば、ほぼゴルフIVに匹敵する大きさになった。
もちろんスタイリングも一新され、先代よりワイド感が強調されると同時に、ボンネット上面がやや曲線的なラインを描く一方で、ボディサイドにはストレートでシャープなラインが加えられている。とはいえ、ひと目でフォルクスワーゲンだと、あるいはポロだとわかるスタイリングなのは間違いない。
メカニズム上で最も大きく変わったのはパワーユニットで、先代の1.2 TSI、1.2ℓ直4ターボから、1.0 TSI、すなわち1ℓ3気筒ターボに替わった。つまり、先代からさらにダウンサイジングしたわけだが、その性能は逆に先代より上がっている。
パワーは先代の90psから95ps/5000-5500rpmへ、トルクは16.3kg-mから17.9kg-m/2000-3500rpmへと、増強されているのだ。結果、7段DSGを介して1160kgの車重を引っ張る0-100km/h加速は、10.8秒へと短縮されている。
ところがその一方で、JC08モード燃費の公表数値は、エンジンキャパシティの縮小にもかかわらず、どういうわけか先代の22.2km/ℓから19.1km/ℓへと低下している。
どんな感じ?
内装、Bセグでは上質
ボディサイズの拡大にともなって当然室内も広くなっていて、特にリアシート周辺のスペースの拡大が顕著だといわれる。
実はポロに乗る直前に室内の広いことがウリのパサートに乗っていたので広さの標準がちょっと狂っていたが、リアシートにはレッグルームもヘッドルームも平均的日本人には不足のない空間が確保されている。
乗ったのは上級仕様のTSIハイライン、車両本体価格265万円のクルマだが、最近のニューモデルとしてはオーソドックスなデザインのメーターパネルを持つダッシュボードやその周辺の造作はBセグメントとしては上質で、乗り手にある種の安心感を与えてくれる。
試乗コースはパサートTDIと同じ、かなりアップダウンのきついワインディングロードで、これも3人乗り状態での試乗だったが、1ℓ3気筒ターボエンジンと7段DSGの組み合わせは、そこを不満のないペースで駆け上がっていく。
3気筒エンジンが本来持つキャラクターに、ターボの過給が加わって、パワーよりもトルクを意識させる感覚で粘り強く速度を上げていく。
決して韋駄天ではないが、急な上りにもへこたれることなく対応する、実直な力持ちという印象のパフォーマンスである。
エッジよりも平均点
サスペンションは硬すぎず、さりとて柔らかすぎずの、まさに中庸を得た感触で、ボディサイズのわりにフラットな感触の乗り心地を提供する。
個人の足として、あるいはファミリーカーとして乗るのに、ちょうどいい感じの硬さではないかと思った。
ではワインディングでのコーナリングはどうかというと、直前に乗ったパサートよりむしろ締まった感じのするステアリングの恩恵もあって、よく曲がるクルマだというのがその第一印象。3気筒エンジンによるノーズの軽さも、その好印象に貢献しているはずだ。
ただし、快適な乗り心地をもたらす脚の反動として、コーナリングスピードを上げていくと、わりと明確にボディがロールする。だからといって不安定なわけではなく、4輪はしっかりと路面を捉えている感触はあるが。
総じて、ワインディングロードを攻めてワクワクする種類のクルマではないが、コーナーの連続も破綻なく、狙ったとおりのラインを辿って安定して走っていく。
それに加えて、前記のようにステアリングのフィールがいいのが、ドライビング好きには好感を与えるのではないかと思う。
「買い」か?
個性は今ひとつ GTIに期待
兄貴分のゴルフがずっとCセグメントのベンチマークだったように、ポロもBセグメントのベンチマークであり続けてきた。で、その6代目に当たる新型も、クルマ全体のクオリティの高さを含んで、そういう資質を持ったクルマであると思う。
だから、全長4m強、全幅1.7m強までのサイズで、普段の足やファミリーカーとして使う間違いのないクルマを探しているのなら、やはり「買い」の最右翼の一台にランクできるクルマではあろう。
ただしその一方で、エンジンのフィールこそ先代とかなり変わったとはいえ、正直なところクルマの乗り味にあまり新鮮さが感じられないのはたしかで、ドライビング感覚にある種の個性や変化を求める向きには、やや物足りなく思えるかもしれない。
一方、同じニューポロでももっと活発なパフォーマンスとタイトなハンドリングを持ったモデルを望むのであれば、すでにヨーロッパで発表されているGTIの日本導入を待ち、それを「買い」とするのが最善の策ではないかと思うが、どうだろう?
フォルクスワーゲン・ポロ1.0 TSIハイラインのスペック
■価格 265万円
■全長×全幅×全高 4060×1750×1450mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 10.8秒
■燃費 19.1km/ℓ
■CO2排出量 –
■車両重量 1160kg
■パワートレイン 直列3気筒999ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 95ps/5000-5500rpm
■最大トルク 17.9kg-m/2000-3500rpm
■ギアボックス 7速DSG
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