フォーミュラEの第4戦ローマePrixを制したのは、4番グリッドからスタートしたメルセデスのストフェル・バンドーンだった。
バンドーンはポールポジションスタートのニック・キャシディ(ヴァージン)がスタート直後の単独スピンで後退したことで3番手に順位を上げ、その後コース上でノーマン・ナトー(ヴェンチュリ)をオーバーテイク。ポルシェのパスカル・ウェーレインとの一騎打ちに持ち込んだ。
■フォーミュラE第4戦ローマePrix決勝:バンドーン今季初優勝。PPキャシディ、スタート直後の単独スピンに泣く
そしてウェーレインより先にアタックモードを起動させる”アンダーカット”のような戦略を成功させて首位に躍り出ると、その後は後続との差を広げ。終盤のセーフティカー出動でそのリードは失われたが、それでもアレクサンダー・シムス(マヒンドラ)の追撃を0.666秒振り切ってトップチェッカーを受けた。これで、バンドーンの今季初優勝ということになった。
バンドーンは前日に行なわれた第3戦をポールポジションからスタートしていたが、アンドレ・ロッテラー(ポルシェ)に接触されたことで後退。その後着実に順位を上げていったが、スローダウンしたルーカス・ディ・グラッシ(アウディ)を避けようとコースの外側にラインを移した際にマンホールの蓋に乗り上げてしまってコントロールを失い、クラッシュしてしまっていた。
チームは翌日に行なわれる第4戦に向け、ダメージを受けたマシンを修復。そのために土曜日深夜まで働き、日曜日も早い時間から作業を開始して、フリー走行までに修理を完了させた。そして、バンドーンは最高の結果を掴み取った。
「昨日は、僕らにとっても非常に感傷的な1日だった」
そうバンドーンは語った。
「そして今日のレースでは、勝てるだけのペースがあることが分かった。そうなった後、僕らは速かった」
「昨日は、マシンをひどく壊してしまった。メカニックのみんなには、今日の準備を整えるために、膨大な仕事があった。でも、今日のマシンは再び完璧だった」
バンドーンは、レース中にディ・グラッシとセバスチャン・ブエミ(日産・e.ダムス)の事故が起きた際にフルコースイエローが出たのは、ラッキーだったと語った。これにより、後続のウェーレインが、アタックモードを有効に使うのを封じたためだ。
その一方で、レース終盤にレネ・ラスト(アウディ)がクラッシュしたことで出されたセーフティカーは必要なかったはずだと主張する。
「アレックス(シムス)は、セーフティカーの前の段階で僕との差を縮めていた。彼らは実際に、僕らよりもその時点では強みを持っていたと思う」
「彼らは僕らと同じエネルギー量で走り、僕らとの差を縮めていた。セーフティカーが出なかったら、どうなっていたか分からない」
「でもあの事故で、セーフティカーが必要だった理由が僕にはよく分からない」
「あれは、ちょっとしたショーのために出されたと思う。セーフティカー明けの再スタート時には、タイヤもブレーキも冷えてしまっているから、いつも難しいんだ」
バンドーンは、コロナ禍によって昨シーズンが中断されていた間のチームの努力を称賛した。彼らはこの期間中に、ライバルたちとの差を埋めたように見える。
「チームとして、昨年パンデミックが起きた時、パッケージを実際に分析して、取り組むべき部分について調べる時間を取ることができた」
「(昨年終盤6レースが行なわれた)ベルリンで、一歩前進することができた。エンジニアリングの面、戦略の面、そして僕のドライビングの面でもね。僕らは皆、ポジティブな一歩を踏み出すことができた。それは励みになることだ」
ベルリンで行なわれた昨シーズン最終戦は、バンドーンが優勝し、チームメイトのニック・デ・フリーズが2位に入る1-2フィニッシュだった。その後今季開幕戦ディルイーヤでデ・フリーズが、そして今回のローマでバンドーンが勝った。つまりフォーミュラEのレースが行なわれた3会場連続で、メルセデスが勝利を収めている(ベルリンは6連戦、ディルイーヤとローマは2連戦)。
今やメルセデスは、フォーミュラEでも、どんなコースでも強さ・速さを発揮できるチームになったようだ。
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