目下開催中の「東京モーターショー2019」。新型フィットやCX-30、レヴォーグプロトなどのように、華やかに披露目される新型車やコンセプトカーがあれば、そのウラであえなく生産終了となってしまうクルマもある。
今年はとくに印象的なクルマたちの生産終了が多かったようにも思うが、ここではその中の2台、トヨタ エスティマと日産 キューブについてクローズアップしてみたい。
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※本稿は2019年9月のものです
文:ベストカー編集部/写真:TOYOTA、NISSAN、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年10月26日号
■“天才タマゴ”、29年の歴史に幕 トヨタ エスティマ
長年、トヨタのLクラスミニバンとして親しまれてきたエスティマが10月17日をもって生産を終了した。
トヨタ エスティマ(現行型)。すでに生産は終了している
現行3代目モデルの登場は2006年1月だったから丸13年以上もの間、販売が続けられてきたのだが、後継モデルはなし。29年間の歴史に幕を閉じることになる。
ちなみに車名は英語で「ESTIMABLE」(尊敬すべき)が由来。
初代エスティマの誕生は衝撃的だった。バブル最盛期の1990年5月、“天才タマゴ”のキャッチコピーとともに登場した初代エスティマ。
当時としては珍しいアンダーフロア型のミドシップレイアウト(4WDもあり)を採用し、未来感覚にあふれるミニバンとして一定の支持を得た。が、販売台数的には価格の高さもあり、苦戦。
そこで前後のデザインを若干変更し、5ナンバーサイズにおさめたエスティマエミーナ、エスティマルシーダも1992年から販売。
こちらは当時の競合車だったバネットセレナに販売台数では大差をつけたものの、ホンダから初代オデッセイが1994年にデビューしてからは状況が一変することとなった。
初代エスティマは直4、2.4LDOHCエンジンを搭載していたが、もともとは当時2ストロークエンジンのS2エンジンを採用予定だった。が、排ガス対策に失敗したことから急遽、ハイエース用の2.4Lエンジンを傾斜させて積むことになったという経緯がある
そして駆動方式をFF(もちろん4WDもあり)に変更して2000年1月に登場したのが2代目。
当時のカムリをベースにMRからFFに駆動方式を変更したワケだが、より乗用タイプミニバンとしてのイメージを向上させた。2001年にはミニバン初のハイブリッドモデルも追加設定され、初代の雪辱を果たすかのように大ヒットモデルとなった。
現在の3代目モデルは2006年1月にデビュー。2代目の正常進化モデルといった様相だったが、パワートレーンには280psのV6、3.5Lエンジンも2016年のマイチェン時までラインナップされた。
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■「アソブ、ハコブ、キューブ」のコピーは秀逸でした 日産 キューブ
日産のコンパクトトールワゴンとして一時代を築いたキューブ。現行モデルは3代目だが、今年12月末で生産終了し、来年2月末までに販売が終了されることが明らかになった。
3代目キューブの最終型となるのが現在販売されている仕様。ほしい人は急ぐべし
1998年登場の初代キューブはデビュー前年の東京モーターショーで出展されたコンセプトカーのハイトワゴン、キューブが市販化されたもの。
ベースは2代目マーチで、スペース効率を重視した実用性とキュートな雰囲気が受けて月販1万台以上を記録する大ヒット車になった。ちなみに初期型は村山工場で生産され、村山工場閉鎖後は追浜工場に移管されている。
初代のヒットを受けた2代目は2002年に登場。コンセプトはおおむね初代のユーティリティハイトワゴンの思想をキープしたモデルとなったが、2代目はリアのガラスデザインが非対称となったことが特徴。
2003年にはホイールベースを延長した7人乗り3列シート車の 「キューブキュービック」もラインナップに加わった。
現行の3代目キューブは2008年にフルモデルチェンジされて登場。
ホイールベースを2代目から一気に100mm延長してボディサイズを拡大したものの、5ナンバーサイズはキープ。現行型からは3列シート車は廃止されている。
日産のラインナップ中では珍しく日本市場をメインとしたモデルだったが、2012年のマイチェン後は一部改良や仕様変更のみに終始し、先進安全運転支援システムの採用など抜本的な改良が施されることもなく、ほったらかし状態に。
こちらは初代。ジリジリと貴重になりつつある5ナンバーサイズを手放すのは、果たして正しいのだろうか
歴代21年の歴史に幕を降ろすことになった。
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