現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 日本に存在する伝説の「カウンタック」! 「 LP500S ウルフ・スペシャル ♯1」とは

ここから本文です

日本に存在する伝説の「カウンタック」! 「 LP500S ウルフ・スペシャル ♯1」とは

掲載 更新 32
日本に存在する伝説の「カウンタック」! 「 LP500S ウルフ・スペシャル ♯1」とは

F1チームオーナーがオーダーしたスペシャルモデル

 1970年代に巻き起こった、第一次スーパーカーブームを経験した世代にとってはお馴染み過ぎる存在、「ウルフ・カウンタック」ことランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1。かつて松田優作さんが出演した1979年公開のハードボイルド映画「蘇える金狼」に登場したことでも有名だ。今回はウルフ・カウンタックを紹介していこう。

ちっちゃいカウンタックは軽トラのサンバーだった! サンバルギーニ・コカウンタックLP360が衝撃的すぎる

ウルフ・スペシャルは全部で5台ほど存在した

 カナダの石油王であり、F1チームのオーナーとしても知られたウォルター・ウルフ氏が 、イタリアのサンタアガタ・ボロネーゼにあるアウトモビリ・ランボルギーニ S.p.Aから購入したランボルギーニ カウンタックのスペシャルモデルは全部で5台ほど存在するといわれている。

 1台目はルーフにウイングを装着した白いカウンタック LP400、2台目は「蘇える金狼」でスクリーンデビューを果たしたランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1、3台目はさらなるパワーを求め、排気量5000ccのV型12気筒エンジンを積んだ青色の個体、4台目は前述の5000ccエンジンが移植された紺色の個体、5台目はランボルギーニ創立25周年記念モデルのアニバーサリーをベースとした個体だという。

 1台目と5台目の存在があまり知られていないため、自動車専門誌においても2台目からカウントしており、本稿も2台目をランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1という車名で語っていく。

 なお、当原稿を書き進める過程で、排気量5000ccのV型12気筒エンジンは計4基存在したのでは? という情報をゲットした。1基はテストドライブ中のクラッシュで車両と共に消失し、残りの3基のうちの1基を青色のウルフ・カウンタックに搭載。

 その他の2基は上顧客(LP400を造っていたとき、ランボルギーニは経営難に陥っていたが、ウォルター・ウルフ氏だけでなく、フェルッチオ・ランボルギーニの親友だったアーミン・ヨール氏をはじめとするパトロンたちも資金面でサポートしていた)が愛用しているカウンタックに積まれたのでは? というのだ。

 いまでも、その他の2基が現存しているのか分からないが、自身のカウンタックが排気量5000ccのV型12気筒エンジンを積んでいるとは知らずに乗っているケースがあるかもしれないので、いつの時代にもスーパーカーにまつわるエピソードは我々を楽しませてくれるのであった。

迫力あるスタイリングはのちのLP400Sにも受け継がれた

 今回ピックアップしたカウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は、扁平ワイドタイヤのピレリP7を履かせるためにカウンタック LP400のトレッドを拡大し、前後にオーバーフェンダーを装着したランニングプロトだったといわれている。

 上記の仕様変更に加え、見る者に精悍な印象を与えるフロントスポイラーおよびリアウイングが付けられ、スタイリッシュなブラボーホイールまで奢られた。

 それらを装備した迫力あるスタイリングは、のちにカウンタックLP400の改良型として1978年に登場したカウンタック LP400S、その発展版として1982年にリリースされたカウンタック LP5000Sへと受け継がれた。

340km/h仕様のスピードメーターを装備

 ノーマルのカウンタックLP400との差異は多岐にわたり、既述した文章と重複するモノもあるが列記すると、カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は、コニ製サスペンション(アルミケース車高調)、大型化されたブレーキシステム、ブレーキ冷却用ダクトホース、オーバーフェンダー、フロントスポイラー、リアウイング、マグネシウム製ブラボーホイール、扁平ワイドタイヤのピレリP7、340km/h仕様のスピードメーターなどを装備している。

 ちなみに、一説によるとタイヤメーカーのピレリは、1974年のカウンタック・デビューまでにP7の開発を間に合わせると、当時、ランボルギーニにメカニック/テストドライバーとして在籍していたボブ・ウォレス氏に約束していたという。

 しかし、残念ながらそうはいかなかった。ボブ・ウォレス氏はP7の登場を待つべきだとフェルッチオ・ランボルギーニ氏(創業者)に進言したものの受け入れられず、結局ナローボディのカウンタックLP400がリリースされることになったようだ。

 そして、ピレリがP7をアウトモビリ・ランボルギーニ S.p.Aに届けたときには、すでにフェルッチオ・ランボルギーニ氏は会社を去り、ボブ・ウォレス氏も退社寸前で一線を退いていた。

 そのため、カウンタック LP400にP7を履かせるというアイデアは、アウトモビリ・ランボルギーニ S.p.Aを金銭面で支えていたウォルター・ウルフ氏と、その時分にランボルギーニのチーフエンジニアとして手腕を揮っていたジャンパオロ・ダラーラ氏のコンビに託された。ウルフ・カウンタックのことをダラーラ・カウンタックと呼ぶことがあるが、それはダラーラ氏が深くかかわっていたからだ。

日本国内で大切に守られてきたウルフ・スペシャル ♯1

 カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1がファクトリーからラインオフしたのは1975年8月1日のことだった。最初のオーナーであるウォルター・ウルフ氏が、F1グランプリで世界を転戦する際に飛行機で持って行き、自身が運転して、空港からサーキットまでドライバーを送ったりしていたと言われている。

 日本に上陸した日時と販売価格は不明だが、往時に我が国を代表するスーパーカーショップのひとつとして君臨したオートロマンが輸入し、山形で登録されたことが分かっている。

 山形で最初のナンバーを取得した後、月日は流れ、広島へ。そのときのオーナーが近所の子どもに洗車を手伝ってもらい、そのお礼として日本上陸時に付いていたイタリアのナンバープレートをプレゼントした……という面白エピソードが残されている。

 以来、カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は、各地で開催されたスーパーカーショーで披露されたり、映画に出たりしながら、日本国内でずっと大切にされてきた。広島在住のオーナーのもとに嫁いだりもしたが、海外に売買されることはなく、現在も神奈川県内の某所にて棲息している。

世界に一台しかないという何にも替えられない希少性

 筆者のおぼろげな記憶では、日本に入ってきたのは1976年ぐらいのことだったのかもしれないが、当時からカウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は花形のスーパーカーだった。特に現在55歳前後の人々にとっては激アツの一台で、世界に一台しかない、という点などが注目された。

 かく言う筆者は1971年生まれなのだが、その世代にとってはウルフ・カウンタックだけが凄かったという印象ではなく、ブラックボディにホワイトのウェーブラインが特徴的でミステリアスなカウンタックLP500Rも激アツだったと記憶している。

ウルフ・スペシャル ♯1は、間違いなく自動車世界遺産

 現在、カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1を所有しているのは、スペシャルショップ「アウトモビーリ ヴェローチェ」の岡戸代表だ。

 20年近く前に購入したそうだが、そのときはまともに動かず、2~3年かけて内外装のレストアとエンジンのリセット作業(車載状態のままで行えること)をしたという。エンジンは、その後、車体から降ろし、細部に至るまでしっかりオーバーホールを行った。

 そんな事情もあって、オーナーになったときの最初の印象は芳しいものではなく、「乗って帰れると言われたのに帰れず、ボディは凹んでいるし、マフラーは直管だし、全体的にくたびれているし、自分が子どもの頃に抱いていたイメージとはまったく違うな…(笑)」という感じだったという。

 ウインカーレンズの下に貼られた、ドイツの自動車雑誌「rallye racing(ラリーレーシング)」のステッカーも岡戸さんが購入したときにはなく、これはラリーレーシング取材時の姿に戻すレストアをした際に貼ったモノとのことだった。

 ランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1は、間違いなく自動車世界遺産だといっていい。その価値を誰よりも理解している岡戸さんのもとにあるかぎり、ベストな状態をキープしたまま維持されていくだろう。神格化された存在として、往時のスーパーカーブームを牽引したウルフ・カウンタックの輝きは、これからも色褪せることはない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

角田裕毅、F1ラスベガスGP初日は10番手「FP1は苦労したけど、改善できました。ポジティブな兆候です!」
角田裕毅、F1ラスベガスGP初日は10番手「FP1は苦労したけど、改善できました。ポジティブな兆候です!」
motorsport.com 日本版
クルマに付けてる「青地に車いす」マークに“法的効力”一切無し!? 「黄色いちょうちょ」と役割違う? 意外と知らない実態とは
クルマに付けてる「青地に車いす」マークに“法的効力”一切無し!? 「黄色いちょうちょ」と役割違う? 意外と知らない実態とは
くるまのニュース
日高前副会長の後任に、ヤマハ渡部克明会長兼社長が就任【日本自動車工業会】
日高前副会長の後任に、ヤマハ渡部克明会長兼社長が就任【日本自動車工業会】
バイクのニュース
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
レスポンス
ヒョンデに続いて韓国のKIAも日本に上陸! どんなクルマが揃っているのかチェックしたらデザインも中身も結構ヤバい!!
ヒョンデに続いて韓国のKIAも日本に上陸! どんなクルマが揃っているのかチェックしたらデザインも中身も結構ヤバい!!
WEB CARTOP
なぜ12気筒エンジンは魂を揺さぶるのか? アストンマーティン新型「ヴァンキッシュ」は快感以外のなにものでもない。【試乗レビュー】
なぜ12気筒エンジンは魂を揺さぶるのか? アストンマーティン新型「ヴァンキッシュ」は快感以外のなにものでもない。【試乗レビュー】
くるくら
ミツオカ、創業55周年記念車『M55』の市販モデルを正式発表。ローンチ仕様を100台限定で発売へ
ミツオカ、創業55周年記念車『M55』の市販モデルを正式発表。ローンチ仕様を100台限定で発売へ
AUTOSPORT web
初代NSXに存在した「やりすぎ」モデル! たった14台しか売れなかった「タイプS Zero」のストイックさに脱帽
初代NSXに存在した「やりすぎ」モデル! たった14台しか売れなかった「タイプS Zero」のストイックさに脱帽
WEB CARTOP
一体何が!? シーズン終盤のF1レースディレクター交代劇にドライバーたちも驚き「ちょっと奇妙だよね……」
一体何が!? シーズン終盤のF1レースディレクター交代劇にドライバーたちも驚き「ちょっと奇妙だよね……」
motorsport.com 日本版
VW、新型SUV「ティグアン」を発売 価格は487万1000~653万2000円
VW、新型SUV「ティグアン」を発売 価格は487万1000~653万2000円
日刊自動車新聞
“300馬力”V6搭載! ニッサン爆速「最上級ミニバン」とは? 超豪華内装×専用装備マシマシな“走り屋仕様”の「エルグランド」に熱視線!
“300馬力”V6搭載! ニッサン爆速「最上級ミニバン」とは? 超豪華内装×専用装備マシマシな“走り屋仕様”の「エルグランド」に熱視線!
くるまのニュース
家族のおでかけマンネリ解消へ、日産が新プロジェクト 全国の「奥名所」を発掘
家族のおでかけマンネリ解消へ、日産が新プロジェクト 全国の「奥名所」を発掘
レスポンス
メルセデスAMGから「CLE53カブリオレ」発売!専用のパワフルなルックスと先進・洗練のインテリア
メルセデスAMGから「CLE53カブリオレ」発売!専用のパワフルなルックスと先進・洗練のインテリア
LE VOLANT CARSMEET WEB
平凡な男が突如、何百万人もの夢の中に現れる!?『ドリーム・シナリオ』
平凡な男が突如、何百万人もの夢の中に現れる!?『ドリーム・シナリオ』
バイクのニュース
「悪くはないが、良くもない」勝田貴元、シェイクダウンは入念に走行。改善のカギと戦略は/ラリージャパン
「悪くはないが、良くもない」勝田貴元、シェイクダウンは入念に走行。改善のカギと戦略は/ラリージャパン
AUTOSPORT web
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
THE EV TIMES
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
レスポンス
ロゴスと「ファイナルファンタジーXIV」コラボのアウトドアグッズの予約受付がスタート!
ロゴスと「ファイナルファンタジーXIV」コラボのアウトドアグッズの予約受付がスタート!
バイクブロス

みんなのコメント

32件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村