この記事をまとめると
■マセラティMC12はエンツォ・フェラーリをベースにして誕生したスーパーカー
人生「勝ち組」でも水面下の「苦労」はハンパない! 思ったよりラクじゃない「スーパーカー乗り」の悲哀5つ
■レース仕様のMC12コンペティツィオーネはFIA-GTのGT1クラスに参戦し活躍した
■MC12コンペティツィオーネの公道版となるMC12ベルジオーネ・コルセも発売された
同門フェラーリのスペチアーレをベースにした贅沢なスーパーカー
マセラティから、「MC12」と呼ばれる究極のストラダーレが発表されたのは2004年のジュネーブ・ショーでのことだった。それはフェラーリが2002年に399台の限定数を掲げて発表し、エンツォ・フェラーリをベースに開発されたいわばマセラティ版のエンツォともいえるモデルだが、カーボンモノコックの基本構造体などの共通するパートはあるものの、ボディデザインにおいては、エンツォとMC12との間には共通する部分はない。
例のジュネーブ・ショーにおいて大きな話題となったのは、このMC12にロードモデルの「MC12」と、レース仕様の「MC12コンペティツィオーネ」(当初はMC12コルサというネーミングだった)の両方が出品されたことで、実際に後者は2004年後半からFIA-GT選手権のGT1クラスへの参戦を開始した。つまり、当時の両ブランドをコントロールしていたルカ・ディ・モンテゼモーロの胸中では、スクーデリア・フェラーリによるF1GPと、マセラティ・コルセによるFIA-GTの制覇という夢が、MC12を企画開発する段階で得られていたということになるのだろう。
MC12コンペティツィオーネは、FIA-GT選手権に途中デビューした2004年から素晴らしい活躍を見せた。この年はドイツのオッシャースレーベンなどで2勝をあげるにとどまったが、翌シーズンからの強さは圧倒的なものがあった。
レース仕様の公道版MC12ベルジオーネ・コルセも登場
ちなみにストラダーレは、GT1クラスのホモロゲーションを得るために、年間25台以上の生産が義務付けられていたため、2004年には30台、翌2005年には25台の生産がマセラティ・コルセで行われた。ボディカラーはホワイトとブルーのコンビネーションのみとされるが、これは、かつてマセラティのレース活動をサポートした、キャスナー・モーターレーシングへのオマージュ。1960年と1961年にスターリング・モスを擁し、ニュルブルクリンク1000kmをティーポ61で制したのはもっとも大きな功績だ。
そしてMC12のもうひとつのバリエーションといえるのが、フェラーリのFXXに相当する「MC12ベルジオーネ・コルセ」である。FXXがエンツォからさらにチューニングを進めた12台のサーキット専用車だったが、MC12ベルジオーネ・コルサは、逆にレースで使用されていたMC12コンペティツィオーネをベースに、吸気制限などさまざまなレギュレーションで縛られていた制限を解除。
たとえばリヤミッドに搭載される6リッター仕様のV型12気筒自然吸気エンジンは、レース参戦時には吸気制限で最高出力が600馬力にまで抑え込まれていたが、いわゆる自由を得たこのベルジオーネ・コルサの最高出力は、同エンジンでも755馬力にも達する。
これに2ペダルの6速カンビオコルサを組み合わせるのも、3ペダルのコンペティツィオーネとの大きな違いとなっている。車重も1150kgにまで低減。とはいえ、インテリアは機能的かつ上質なもので、メーターはF1マシンと同様にステアリング一体型とされていた。
GT1がFIA-GTシリーズの主役であった時代、マセラティMC12コンペティツィオーネは確実にひとつの時代を作り上げた。そしてロードカーの世界においても、あのエンツォよりもはるかに少ない台数のストラダーレ(ロードカー)とベルジオーネ・コルサ(サーキット専用車)を生み出したのだ。その価値は、あるいはエンツォやFXXよりもはるかに大きいといえるのかもしれない。
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みんなのコメント
日本人だからちょっと合わない。
車より電車のほうでいい仕事をしている。