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史上初、電動4WDになったコルベット E-Rayを試す【九島辰也】

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史上初、電動4WDになったコルベット E-Rayを試す【九島辰也】

新車試乗レポート [2024.09.04 UP]


史上初、電動4WDになったコルベット E-Rayを試す【九島辰也】
文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

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 コルベットはそもそも保守的なスポーツカーである。コークボトルと形容された抑揚あるボディをFRパッケージに仕上げ、そこにV8のOHV(オーバーヘッドバルブ)を詰め込む。そしてリアサスはリーフスプリングの横置きを採用する。ヘッドライトは不思議な回転をするリトラクタブル式だ。


コルベットが電動車しかも4WDに!

コルベット E-Ray
 というのは、C2からC5までの話で、C6ではまずリトラクタブルヘッドライトが消えた。州によっては日中のライトオンが義務付けされたからである。そして革命的だったのが現行C8。なんとエンジンはフロントからミッドシップに移行された。結果、コークボトルとは異なるスタイリングを有する。

 そんなC8がまた進化した。なんとハイブリッドモデルを追加したのである。その名はE-Ray(イーレイ)。「エレクトリックなスティングレイ」、なんて感じだろう。しかも、ミッドにマウントされたV8エンジンがリアを駆動し、フロントアクスルに取り付けられたモーターが前輪を駆動することで、なんと“ヨンク”になった。C1からこれまでのモデルをすべて試乗してきたが、そんな仕様は見たことも聞いたこともない。“FRスポーツの雄”が“ミッドシップ”となり、ついに“ヨンク”になったのである。これを彼らはeAWDと呼ぶ。


コルベット E-Ray
 ベースになったのはZ06(ジーオーシックス)なので、ボディ幅はスタンダードモデルよりも幅広になる。全幅は2025mmで、リアタイヤは345/25ZR21というウルトラファットでロープロファイルな大径を履く。少し下めから見たリアビューの迫力はこの上ない。エンジンは6.2リッター自然吸気のV8。もちろんOHV式だ。気になるパワーは664馬力。これはエンジン出力の502馬力とモーターの162馬力を足した数字。リチウムイオン電池はセンタートンネルに搭載する。


深夜早朝や住宅街で役にたつEV走行モードを搭載

コルベット E-Ray
 エクステリアとインテリアに関しては特にハイブリッドだからという目印はない。ドライバーズシートに座ってもモニターの階層の中に入らないとそれらしい画面は見つからない。プラグインハイブリッドではないので、充電ポートのリッドはないのだ。ただ、前述したようにスタンダードモデルより幅広ボディとなる。よって、只者ではないオーラを解き放っている。

 では電動化のメリットだが、大きく2つが挙げられる。ひとつはステルスモードが可能になったこと、もうひとつはフロントにトラクションが生まれたことでコーナリングスピードが上がったことだ。


コルベット E-Ray
 ステルスモードはご想像の通りEVモードのこと。運転席に座りドアを閉め、シートベルトをしてからそれを選択しスターターボタンを押すとモーターでの駆動が可能となる。あのV8が目覚めた時のブリッピング音無しで家のガレージを出れるのだからありがたい。早朝ゴルフの際、住宅街に住む者にとっては嬉しい機能だ。


コルベット E-Ray

パフォーマンスカーでありながらフレンドリーな側面を持つ

コルベット E-Ray
 では、実際に走らせた印象をお伝えしよう。総体的に感じたのは乗り心地の良さ。これだけロープロファイルの大径タイヤを履いていながら細かいピッチングや振動は少ない。思いのほかサスペンションストロークがあるのだろうか、路面からの入力をかなり柔らかくしてお尻に伝える。しかもデフォルトのツアーモードだけでなく、スポーツモードでもそれを感じる。これはE-Ray専用チューンマグネティックセレクティブライドコントロール付きZERパフォーマンスサスペンションの恩恵だろう。資料を読むと、ストロークは短いが、電磁的に減衰圧をコントロールしているようだ。C5からスタートしたマグネティックライドの進化バージョンといったところだろう。パフォーマンスカーでありながら、そこら辺も抜かりがないのはさすがである。

 そしてコーナリングではリアに100%のトラクションを伝えながらミッドシップ特有の挙動を見せるのだが、そこからアクセルを踏んでいくとモーターが起動してフロントタイヤにもトラクションを伝え始める。なので、踏んでいってオーバーステアになりそうなところからアンダーステア方向へ挙動を変えるのだ。もちろんその一連の動きはシームレスなので、一気に鼻先が逆を向くことはない。高い速度域で安定したコーナリングを見せてくれる。


コルベット E-Ray

普段使いもできるが本領発揮するのはサーキットだろう

自動車ジャーナリストの九島辰也氏
 なんて動きを知ると、このクルマはやはりサーキットが楽しいのかもしれない。ステルスモードなんてあるから普段使い用に開発されたと思われそうだが、やはり舞台はレーストラックだろう。コルベットレーシングからのフィードバックで開発されたC8の主戦場はサーキットに違いない。

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