ヌヴォラーリを称えるクラシックカー・ラリー
text:Kauhide Ueno(上野和秀)
photo:Asuka Igarashi(五十嵐飛鳥)レース好きでアルファ・ロメオやフェラーリの歴史を紐解いた方にとって、永遠のヒーローとして崇められているドライバーがタツィオ・ヌヴォラーリだ。
【画像】トロフェオ・タツィオ・ヌヴォラーリ【現地レポート】 全31枚
エンツォ・フェラーリに認められ戦前のスクーデリア・フェラーリではアルファ・ロメオを駆って大活躍し、戦後も輝かしい戦歴を残した。今では当たり前になったドリフト走行を編み出し、常に全力でサーキットを駆け抜けることから、親しみを込めて「空飛ぶマントヴァ人」と呼ばれた。
ヌヴォラーリの功績を讃えてイタリアで活動するのがグランプレミオ・タツィオ・ヌヴォラーリを統括するマントヴァ・コルセとACIマントヴァだ。両グループ公認のクラブとして日本で活動するのが、スクーデリア・タツィオ・ヌヴォラーリ・アジア(STNA)である。
そのSTNAが日本で開くクラシックカー・ラリーが、トロフェオ・タツィオ・ヌヴォラーリ(TTN)だ。雄大な北海道を舞台に2000年から行われているもので、今年は20回記念大会として盛大に開かれる予定だった。
万全の感染対策を施して開催に
しかし新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、7月に予定されていた20回記念大会は延期になってしまう。その後、感染の拡大が一段落したことから、検温や消毒、参加者同士のソーシャル・ディスタンスを確保することで、3か月遅れでの開催が決定された。
密になるランチは弁当に、ナイトパーティは中止となるなど参加者には寂しいが、TTNの灯を絶やさぬことを優先して、万全の感染対策を施して開催にこぎつけた。
このような対策を施すとともに、これまでより規模を縮小して特別大会の「2020トロフェオ・タツィオ・ヌヴォラーリ・ツアー・アドベントゥーラ」として10月2~4日に開かれることとなった。
なお20回記念大会は次回に持ち越され、新型コロナウイルス感染症が終息すれば2021年にこれまで以上の規模での開催が予定されているという。
バラエティに富んだモデルが参加
今回は規模を縮小したこともあり参加は10台に留まったが、1923年フォード・モデルT、そして1935年ベントレー3.5Lという2台の戦前車が本州からやって来た。
TTNらしくアルファ・ロメオは1967年ジュリアSSと1967年スパイダー・デュエットが姿を見せ、ランチア・フルヴィア・スポルト・ザガート、1968年フィアット・アバルトOT1300/124といったマニアックなイタリア車が集結した。
このほか1959年トライアンフTR2、1968年ポルシェ912に加え1969年マツダ・コスモ・スポーツと1967年ホンダS800クーペという日本車も加わるなど、バラエティに富んだモデルが集まった。
また3日目のトンデンファームには、1デイでの参加車が合流した。その顔触れは1984年ランボルギーニ・カウンタック、1966年フィアット・ジャンニーニ590GTコルサ、1970年シトロエンDS21、1978年ロータス・エスプリS2、1989年ユーノス・ロードスターというマニアックな5台。
ツアーのフィナーレとなる江別でのフィニッシュ・シーンを盛り上げてくれた。
今回は道東ルートで
特別大会のツアー・アドベントゥーラは、これまでとは異なり道東の知床半島を目指す行程が初めて組まれた。北海道の雄大な自然の中で、走りを存分に堪能できるルートが特徴だ。
今回は札幌近郊の千歳市をスタートしてから道東を巡り、知床半島まで足を延ばし江別に戻るという、3日間で1100km余りを走り抜くというハードな内容となった。
1日目は札幌近郊の千歳市からスタートし、約150km移動して「うらかわ優駿ビレッジAERU」へ。ここでランチを済ませた後に8連続のPC競技にアタック。
PC競技が8連続となるとあっという間に次のセクションに入るため、参加者には手強い設定とされた。PC競技をこなした後はチェックポイントが設けられた道の駅 阿寒丹頂の里を経て約220kmを走り「あかん遊久の里 鶴雅」が1日目のゴールとなる。
2日目は釧路圏摩周観光文化センターで再び8連続のPC競技をこなしたのち150km先の羅臼漁港でランチ。チェックポイントの「道の駅 うとろ・シリエトク」、「道の駅 パパスランドさっつる」を経て150kmのドライブを楽しみ、「阿寒湖フォレストガーデン」がゴールとされた。
3日目は「あかん遊久の里 鶴雅」をスタートし、チェックポイントの「道の駅 かみしほろ」を経て「道の駅 あびらD51ステーション」でランチ。その後レストポイントの「トンデンファーム」で1デイ参加組と合流して、ゴールの江別 蔦屋書店の駐車場に向けてリスタート。
途中メカニカル・トラブルに見舞われた参加車もあったが、他のエントラントの協力で無事復旧して、全車が無事故無違反でフィニッシュ・ラインをギャラリーの祝福と共に越えることができた。
コロナ感染防止対策ゆえに制限も多くなってしまったが、参加者たちは久しぶりのクラシックカー・ラリーに参加できて満足気だった。
優勝はベントレーを駆る二宮組
3日間で1100km余りを駆け抜け、16のPC競技にアタックした結果、総合優勝は1935年ベントレー3.5Lに乗る二宮組が勝ち取った。
近年常勝の横田組は1923年フォード・モデルTで挑んだが、惜しくも2位に甘んじている。3位には1959年トライアンフTR2を駆る小宮組が獲得した。
どんな困難でも打ち負かしてきたタツィオ・ヌヴォラーリだけに、その気概から新型コロナウイルス感染症もきっと打ち負かしてくれるに違いない。
来年は感染症が終息して、いつものように初夏の北海道で盛大に開かれることを祈りたい。
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