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ダイハツ ロッキー/トヨタ ライズ試乗記 自然吸気エンジンとハイブリッドモデルを追加(3気筒1.2L+D-CVT FF)

掲載 更新 10
ダイハツ ロッキー/トヨタ ライズ試乗記 自然吸気エンジンとハイブリッドモデルを追加(3気筒1.2L+D-CVT FF)

ダイハツは新規に3気筒1.2Lエンジンを開発し、NAエンジンモデルとシリーズ式ハイブリッドモデルをロッキー/ライズに追加した。先行発売しているロッキー/ライズは1.0Lターボで、キビキビと走りAセグメントサイズのSUVとしては爆発的な人気を誇っているモデルだ。

ダイハツ ロッキートヨタ ライズ ライズのインテリア。ディスプレイオーディオと通常のナビが選べるこのAのセグメントSUVモデルに新開発の1.2L、NA(自然吸気)エンジン+D-CVT FFモデルが追加され、街乗りメインで価格重視、コスパを求めるユーザー向けに投入し、そして環境、燃費、先進感を求めるユーザー向けには、このハイブリッドを投入したのだ。またスポーティなドライブなどアクティブさを求めるユーザーには従来の1.0Lターボを選択するという、チョイスの幅を広げたラインアップになったわけだ。

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試乗をして感じたのは3気筒1.2LのNAが素晴らしかったことだ。想定ターゲットユーザーからすれば、走りよりもコスパ重要でドラビリやスポーツ性には興味がないというユーザーにも選択してもらうためのモデル。だが、乗ってみると十分なパワーと低速トルクの厚みで扱いやすさもあり、メインの想定ターゲットよりももっと幅広いユーザーに訴求できるモデルだと感じたのだ。

エンジンの特徴は別記事を参照してもらいたいが、この3気筒WA-VE型エンジンは全くの新規設計で、超ロングストローク型。高圧縮比のエンジンで、つまり、トルク型エンジンということができ、特に低回転域でのトルクを発揮できる設計になっている。ちなみにボア×ストロークは73.5mm×94mmで、圧縮比は12.8と極めて高いのだ。もちろんレギュラーガソリン仕様になっている。

関連記事:ダイハツ「ロッキー」トヨタ「ライズ」にシリーズ ハイブリッドモデル新登場

ストロング フルハイブリッドを搭載1.2LのNAエンジンを搭載ストレートポートと薄型バルブシートで強ターンブル流をつくり高速燃焼させるそして最近のトレンド技術として高速燃焼があり、このWA-VE型は1.0Lエンジンに比較し25%も燃焼速度が速くなっているというのだ。それだけ高効率な燃焼をしているわけで、つまり燃費が良いということになる。WLTCモードでクラストップの20.7km/Lだ。

試乗は都内の一般道で、このモデルがもっとも得意とするエリア。信号からの発進ではアクセルの早開き制御でやや飛び出し感があるものの、その後の加速で鈍ることがない。おおよそ3200rpm付近までフラットに加速していくのだ。そこまで回転を上げてしまうと、周囲の車両の流れの中ならスタートダッシュを決めたような走りになる。

人気絶頂のAセグメントSUVロッキー/ライズまた周囲の流れに沿って加速すれば、常にトルクバンド内で走行している感覚がある。実際のトルク曲線をグラフで見ると1600rpm付近から3200rpm付近までフラットなトルクを発揮し、最大トルクに近い出力を発揮していることがわかる。

だから日常領域での扱いやすは抜群で、コスパを重視するユーザーはもとより、ドラビリを求めるユーザーにも訴求できるモデルだと感じたわけだ。なおかつ燃費も良く、熱効率30%の等高線図の面積を拡大したエンジンで、それに組み合わせるD-CVTがいい仕事をしているという好印象モデルだった。

そしてもう一台のe-SMART HYBRIDという名称のフルハイブリッドはシリーズ式を採用し、エンジンは発電専用に使用し、全速度域をモーターで走行するハイブリッドだ。ただし、日産のe-POWERのように電動感を追求しているモデルとは少し考え方が異なっている。

そもそもハイブリッドにする理由とは何か。それは燃費でありCO2といった環境性能を求めるために高価なリチウムイオン電池を搭載し、複雑な機構を搭載しているわけだ。ダイハツではどのモデルに対しても良品廉価が至上命題でもあるわけで、ユーザー視点からすれば「ハイブリッドであっても良品廉価で、ハイブリッドだから高価格でいい」とは考えないわけだ。

コンパクトで取り回しが良く着座位置が高いので視線も高くなり安心感があるそのため搭載するバッテリーは小さくコスト増大を避けている。0.76kWhの容量でノートe-POWERと比較すればおおむね半分以下の容量だ。とはいえ出力的には問題なくモーター出力は106ps/170Nmで1060kg程度の車両重量には十分なパワーウエイトレシオになる。その電池容量が少ないということは、最大出力というより、出力の維持に影響が出やすい。つまり航続距離が短いということになる。だから、エンジンは頻繁に稼働させ、バッテリー残量の減りは早いが、すぐに充電できるという性格のハイブリッドなのだ。

乗ってみると、走り出しから40km/hあたりまではEV走行をする。周囲の車両の流れに乗る加速レベルであればEV発進からの走行が可能だ。そして強くアクセルを踏み込み、車速を上げればエンジンは稼働する。稼働したエンジンはアクセルに連動するように踏み込むと回転があがり、感覚としてはエンジンで走行しているように感じられる。

このハイブリッド用エンジンも先程と同様、新規開発で3気筒1.2LのWA-VEX型でWA-VE型をハイブリッド専用に改良したタイプだ。それは、発電専用とすることで熱効率を追求したエンジンとし、最高熱効率40%を持っている。そして熱効率の良いエリアを幅広く使うことで燃費を良くしWLTCモードでクラストップの28.0km/Lを達成している。試乗時のテストドライブでも車載の燃費計で23km/L付近だったので、丁寧な運転をすれば実燃費でも近似値になると想像できた。

このエンジンに組みわせるモーターとジェネレーターは、並列レイアウトのトランスアクスルになっている。5ナンバー枠、最小回転半径(5.0m)といった制約からフレーム骨格の内側にパワーユニットを搭載する必要があり、こうしたレイアウトにしたということだ。

コンパクト設計のパワートレーンバッテリーは後席下に格納し
荷室や居住スペースを犠牲にしていない40km/h以上の車速でも、速度が一定速で巡航するような場面になると、エンジンは停止しモーターだけの走行になる。その時の静粛性は高く、また滑らかな走行フィールも伝わってくるため、ひとクラス上の上質感が得られる。

一方で、モーター特性のひとつである反応の良さは、感じられるものの、際立つとまでは言い難い。というのも、この日はNA車との乗り換え試乗だったため、NAの早開き制御を体験すると、モーターのリニアなレスポンスを普通に感じてしまうためかもしれない。言い換えればNAのレスポンスが良く、モーター並の反応の良さがあるということだ。

そしてワンペダル走行ができるモードも備えている。S-PDLのボタンを押すとアクセルを抜いたときに通常の減速Gよりも強い減速Gが出る。ただし完全停止はしないのでフットブレーキで停止させる。反面、クリープするように制御しており、駐車場での前後切り返しなどでの操作性は高い。

外部給電用インバーター1500Wまで利用できるアウトレット電動パーキングブレーキとオートホールド機能を新搭載ハイブリッドモデルは静粛性を高めるために様々な吸音材、制振材などを投入しているものの、エンジンの稼働率が高いためEV車のような静粛性は期待できない。通常のエンジン車と比較しての静粛性になるが、それでももうひとランク上の静かさが欲しいところだ。エンジン停止中の走行時静粛性が高いだけに、エンジン稼働時、とくに加速時の静粛性があるとさらに良品である印象が高まると感じた。

このように、ロッキー/ライズのハイブリッドはハイブリッドの本質を求めた性能でまとめたモデルで、燃費を求めるユーザーには最適な選択肢にあるのは間違いない。ちなみに、今回追加されたNAとハイブリッドは共にFFモデルのみの設定で、4WDは1.0Lターボだけに設定されている。<レポート:高橋アキラ/Akira Takahashi>

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