2024スーパーGT第2戦富士のGT300クラス予選でポールポジションを獲得した88号車JLOC Lamborghini GT3。元嶋佑弥がQ1、小暮卓史がQ2でともにトップタイムを記録し、2番手にコンマ5秒差をつける速さをみせた同車には、今回の富士戦からアップデートパーツが投入されている。その効果を今季からチームに新加入した伊与木仁チーフエンジニアに聞いた。
今回JLOC Lamborghini GT3に新投入されたのは、“ボンネット開口部の整流板”。この開口部にはラジエーターの熱を逃がす役割があり、この整流板でラジエーターから排出された暖かい空気を、マシンの外側に逃がす効果が狙われたという。
GT3同士のタイムバトルを制したJLOCランボルギーニがコンマ5秒差のポール。ヨコハマがトップ3【第2戦GT300予選レポート】
「この部品を使うことで、暖かい空気を避けてエンジンの吸気温を下げることができます」と、アップデートパーツの効果を語る伊与木エンジニア。
ミッドシップマシンのランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2には、エンジン上部に通称“ちょんまげ”と呼ばれる空気の取り入れ口が取り付けられている。旧型パーツでレースを戦った第1戦岡山では、ラジエーターの熱を含んだ空気がリヤ方向に真っすぐ流れてしまうことで、エンジンの吸気温度が高くなってしまう問題が生じていたが、今回の新パーツにより「実際に、上がってしまっていた吸気温度が狙いどおりの数値に下がってくれました」と伊与木エンジニアは語った。
新パーツの効果はてきめんだったようで、走り出しとなった5月3日午前の公式練習では2番手につけ、好調さをうかがうことができる。そんなパフォーマンスアップに一役買った部品の導入を決めた理由には、伊与木エンジニアが過去に在籍していたホンダ・レーシング(HRC)で得た知見が決め手になっていた。
「自分はHRCでずっとNSXを走らせてきて、“ちょんまげ”についてのノウハウがあったので、この部品は絶対に使うべきだと決断しました」
「“ちょんまげ”は、V型エンジンを搭載しているマシンが吸気を行うには取り分が大きいんです。リヤウイングに当たる空気も減るので、NSXのときにはラジエーターアウトレットの改良が不可欠だったのです」と、旧型NSXの開発で得たノウハウが今回の選択に活きたことを明かす。
実際、JLOCが88号車と同時に走らせている87号車METALIVE S Lamborghini GT3は旧型モデルのウラカンGT3となっているが、則竹功雄監督によると「2台の吸入温度は20度も違っていた」というから驚きだ。
「走り出しから全然違いました。ストレートスピードも伸びますし、87号車よりは時速4キロ以上は速くなっているんじゃないでしょうか(則竹監督)」
小暮と元嶋というふたりのドライバーの速さはもちろん、整流板のアップデートによる“ちょんまげ”の相乗効果でGT3マシン同士のポールポジション争いを制したJLOC Lamborghini GT3。決勝レースは「神のみぞ知る」と語った伊与木チーフエンジニアだが、初の3時間レースでは、積み重ねてきた知見が大いなる武器となるはずだ。
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