最新の「オペル・コルサ」はプジョー208などと同じプラットフォームを使用
かつて日本でも販売されていたドイツの大衆車ブランド「オペル」が日本での販売を復活させるという報道があります。はたして、オペルの日本再上陸に勝機はあるのでしょうか。
1990年代、日本に導入された当時のオペルはGM傘下の企業でした。しかし、いまは違います2017年にPSAグループの一員となっています。つまり、自動車のブランドでいえば「プジョー」、「シトロエン」などと同じグループに属しているわけです。そして、2019年になって早くもアライアンス効果は出始めました。オペルの主力モデルである「コルサ」がPSAと共通プラットフォームを採用してフルモデルチェンジを果たしました。
「コルサ」といえば、日本ではトヨタに同名のモデルがあったことから「ヴィータ」という名前で売られたことが思い出されます。それまでオペルという名前は聞いたことがあってもクルマは見たことがないという日本の輸入車ファンに、オペルを印象づけたのがヴィータです。ドイツ車らしい装備とリーズナブルな価格がオペルのイメージとなりました。ヤング層にふさわしいドイツ車というイメージも作り上げたのがヴィータでした。
おそらく日本に再上陸するというオペルにおいても「コルサ」が主力モデルとなることでしょう。その現行モデルは欧州で2019年に登場していますが、PSAグループのリソースを活用したものとなっています。具体的にはプジョー208と同じプラットフォームを利用しています。当然、パワートレインも共通で3気筒ターボエンジンに8速ATという組み合わせも搭載されています。そして、このプラットフォームはPSAのブランドでいえばDS3クロスバックにも使われていますし、シトロエンC3にも採用される予定です。
ですから、オペルのモデルでも継続生産車ではなく、PSAのプラットフォームやアーキテクチャーを利用したモデルであれば、外板などは別物でも機能部品に関しては共通しているパーツが多いのです。そうなると部品在庫などの面での負担は最小限に抑えることが期待できます。新ブランド導入としてはハードルが低いといそうです。そもそもPSAは同じプラットフォームを複数ブランドで展開するというビジネスモデルですから、オペルを日本に導入すると考えるのは自然なことでしょう。
現在、日本ではプジョー、シトロエン、DSと3つのブランドを展開していますが、シェアやキャラクターでいうとニッチ市場を狙った商品というポジションです。日本での販売を増やすには、同じようにニッチ向けのブランドを追加するというのは合理的な判断ともいえます。
とはいえ、これまで“フレンチ”というキーワードで、とくに日本では圧倒的な存在感、ブランド力のあるドイツ車に対抗してきた日本法人PCJ(プジョーシトロエンジャポン)がドイツ車であるオペルをどのようにアピールするのかは興味がありますし、ハードルの高さも感じます。
1990年代にオペルが日本上陸したときのインポーターはヤナセでした。それまでフォルクスワーゲンを扱っていたヤナセが同じドイツの大衆車ブランドを販売するということで、一般向けのブランドイメージは最初から高めだったという印象もあります。また、日本においてはドイツ車というだけで評価が高くなるブランド性を考えると、プジョーやシトロエンの兄弟モデル的な立ち位置で展開する必然性もないといえます。
もっともグローバル経済が進む社会において、その企業の本社がどこにあるかでブランド力に影響するというのは古い考え方ともいえます。そろそろドイツ車、フランス車、イタリア車といった背景に、クルマの評価やブランド力が左右される時代は終わらせるタイミングなのかもしれません。ですから、再上陸するオペルがどのようなブランディングをするかには興味津々なのです。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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みんなのコメント
オペルはボクスホールとしてイギリスでも販売されている。右ハンドルもぬかりない。
新型ゴルフのドイツでの値段は予想より100万円ほど高い。EV時代に備えてコンパクトカーで400万円するのが当たり前の時代にしたいらしい。
オペルアストラには追い風。
勝算は間違いはないだろう。
そうと決まれば2021年が待ち遠しい!
あと、それ以前に輸入されたGMグループのオペルは中古市場では結構値が付くだろうね。