駆動用バッテリー交換サービスが売りの1つ
ニオET7は、全長5101mm、全幅1987mm、全高1505mmというサイズを持つ、大型の電動サルーン。まだ日の浅い中国ブランドだが、その可能性をまじまじと実感させる存在だといっていい。
【画像】まだ「思いきった決断」は必要 ニオET7 サイズが近い電動サルーンはコレ 全151枚
大きな売りとしている機能が、ニオ専用のサービスステーションへクルマを持ち込むと、駆動用バッテリーを丸ごと交換してもらえること。入庫から僅か5分で、フル充電のバッテリーへ積み替えることができるそうだ。
スタイリングは滑らかで、空力特性が重視される電気自動車らしい。フロントマスクには、ニオへ共通する特徴が与えられている。テールエンドは、アウディに似ているかもしれない。
実車を目前にすると、フロントガラス上部のコブが意外と目立つ。ここに運転支援システムのレーザーセンサー、ライダーが内蔵されており、これもストロングポイント。極めて高度なシステムを実装し、法律が許せば、殆ど自動運転に近い機能を利用できる。
ET7はブランドのフラッグシップ・サルーンで、インテリアにはソフトタッチ加工が隅々まで施されている。ダッシュボードの中央には12.3インチのタッチモニターが据えられ、ほぼすべての車載機能のインターフェイスを担う。
フロントシートには、マッサージ機能を内蔵。ヒーターだけでなく、ベンチレーションも備わる。
ツインモーターで強力 0-100km/h加速3.8秒
ドライバーの正面には、ワイドなメーター用モニター。ヘッドアップ・ディスプレイも標準装備となる。いずれも表示は鮮明で、タッチモニターは反応も素早い。システムは、直感的に扱えると感じた。
ダッシュボード上には、AIアシスタント「ノーミ」の丸いモニターが載っている。クルクル回転し、音声制御システムと連動して表情を変える。運転支援システムやオーディオ、エアコン、サンルーフなどの操作が可能だ。
動力性能は、ツインモーターでかなり強力。フロントに244psの誘導非同期モーターが載り、リアに407psの永久磁石同期モーターが載っている。
複数のドライブモードが用意され、ステアリングやアクセルレスポンス、エアサスペンションの設定を変更できる。パワーの調整もでき、1番鋭くすると0-100km/h加速を3.8秒でこなすという。効率重視のモードでは前輪駆動になり、12.9秒かかる。
発進加速は、その数字通りなかなかの勢い。1つ下の穏やかなモードを選べば、ビッグサルーンにふさわしい、ジェントルでたくましいパワー感に浸れる。
ブレーキペダルの印象は、回生ブレーキと摩擦ブレーキとの協調がうまく取れておらず、若干の不安定感が伴う。それでも、制動力自体にまったく不足はない。航続距離は579kmがうたわれるが、現実的な能力は測れていない。
クラスリーダーへ化ける可能性もゼロじゃない
乗り心地は良好。操縦性も優れている。低重心と、四輪駆動のパワートレインが効果的に機能している。連続するコーナーを、意欲的に巡っていこうという気にさせるほど。
それでいて穏やかなモードを選べば、安楽な高速クルージングもお手の物。マッサージ機能をオンにすれば、快適至極だ。
エアサスペンションは、カメラ映像を利用し減衰力を変化させるアダプティブ仕様。路面変化を逐一判断し、大型サルーンへ不満ない隔離性を生み出していた。
英国での価格は今後決まるそうだが、2024年から販売される予定にある。一部の欧州市場では発売済みで、換算すると7万5000ポンド(約1378万円)前後。充実した装備を考えれば、高くはないだろう。
ニオは、月払いで乗れるサブスクリプション・サービスを導入予定で、こちらが主力になる模様。その場合は、毎月1000ポンド(約19万円)前後になるという。
先進的な技術と装備が充実した、ET7。欧州ブランドによる航続距離の長いモデルが、大きく違わない価格で買える時、果たして中国の新興ブランドへどの程度ユーザーが流れるのか疑問は残る。競合の実力は高い。思いきった決断が必要なことは間違いない。
それでも、駆動用バッテリーの交換システムが普及すれば、支持する人は増えるはず。高密度なソリッドステート・バッテリーも、今後搭載予定にあるという。それらが叶えられれば、クラスリーダーへ化ける可能性もゼロではない。
ニオET7(欧州仕様)のスペック
英国価格:7万5000ポンド(約1378万円/予想)
全長:5101mm
全幅:1987mm
全高:1505mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:3.8秒
航続距離:579km
電費:6.4km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2379kg
パワートレイン:誘導非同期モーター+永久磁石同期モーター
バッテリー:90.0kWh(実容量)
急速充電能力:−kW
最高出力:653ps(システム総合)
最大トルク:86.5kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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みんなのコメント
試乗の機会を得て記事を書くことはメーカーからの提供を受けていると解釈される行為です。
バッテリの製造にはEVの中でも多量のCO2を排出してしまうので、
本来のEVの目的である炭素を減らす、つまりLCA観点からしたらまったくもってNGなパターンです。
それをやったらガソリン車の何倍もCO2を排出してしまう、つまりEVを勧める理由がマイナスになります。
ばかだねー。