全7大会9戦で争われる2024年のスーパーフォーミュラは、序盤の3レースが終了した。現状はTEAM MUGENの野尻智紀、岩佐歩夢のコンビが選手権をリードしているが、田中洋克監督は現状に満足せずさらなる高みを目指している。
昨年よりも混戦模様の幕開けとなった今季のスーパーフォーミュラだが、第3戦SUGOでは予選で野尻がポールポジション、岩佐が2番手を獲得。決勝レースは雨の影響で12周消化の時点で終了となったため、そのままTEAM MUGENのワンツーフィニッシュとなった。規定によりハーフポイントにはなったものの、これで野尻がポイントリーダー、岩佐がランキング2番手となり、ライバルとの差を広げることに成功した。
■「みんなフラフラしていた」雨のスーパーフォーミュラSUGO戦でドライバーたちが一様に訴えたグリップ不足。要因は複数存在か
3年連続のチームタイトル獲得、そして2年ぶりのドライバーズタイトル獲得に向けて好発進した印象のあるTEAM MUGENだが、田中監督は記者会見で次のように語った。
「確かに好調に見えるかもしれませんが、今年のレギュレーション変更によって統一化されたダンパーについては、まだまだ試しているところもあります」
「今回も野尻選手はフリー走行で良かったり悪かったりする中で、岩佐選手のセットアップも参考にしながら予選に向けて合わせてくるなど、まだまだ安定感が足らないというところもありますので、チームとしてダンパーを含めたさらなるデータ取りが必要だと思っています。その辺りの精度を高めるためにテストをして、チャンピオンを獲れるように取り組んでいきます」
田中監督が言う通り、野尻と岩佐はここまで全てのレースで上位フィニッシュができているわけではない。野尻は第1戦鈴鹿と第3戦SUGOでは優勝したが、第2戦オートポリスでは週末を通して苦戦して9位。岩佐も第2戦、第3戦と連続で2位に入ったが、開幕戦では予選の失敗が響いて9位に終わっている。ただ彼らが現状の速さに安定感を加えたら、もはや手がつけられない存在になるかもしれない。
7月には富士スピードウェイでインシーズンテストが行なわれ、その後同じく富士で第4戦が行なわれる。野尻は「富士テストが重要なのは言うまでもありませんが、後半戦に向けて弾みをつけられるような良いテストにしたいです。休むことなく走り続けたいです」とコメント。岩佐も「テストはステップを踏める良いタイミング。今は上位にいることができていますが、優勝するために自分たちのパフォーマンスを上げないといけません。まずは目の前の課題をひとつひとつクリアしていきたい」と意気込んだ。
また、そんな彼らのライバルとも言えるのがDOCOMO TEAM DANDELION RACING。第2戦では牧野任祐が優勝を飾り、太田格之進も安定して上位に食い込むなど高いパフォーマンスを見せており、現在チームランキング2番手だ。
牧野は富士テストと富士戦に向けて「今回は予選Q1で落ちそうになりながらもQ2に進み、そこからリカバリーして4番手になれたので、良いところ悪いところがハッキリ出た。ドライもウエットもやりたいことは多いので、良いテストができればと思います。富士は3戦あって重要なので、そこに向けて良い準備ができれば」と語った。
一方の太田も「僕らは得意なコース、苦手なコースがあるのは事実」と語った一方で、昨年のDANDELION RACINGのように富士テストを機に大きくパフォーマンスを上げるチームが出てくることを警戒している。彼らのコメントからも、やはり富士テストはシーズンのターニングポイントになりそうな予感だ。
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