新テクニカルレギュレーション導入2年目を迎えるF1 2023年シーズンに向けて、マクラーレン・レーシングはチームの本拠地であるイギリス・ウォーキングのマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)にて、ニューマシン『MCL60』を発表した。
ランド・ノリスとダニエル・リカルドのふたりを起用して臨んだ現行レギュレーション1年目となる2022年シーズン、マクラーレンはプレシーズンテストから苦戦。ノリスがレッドブル、フェラーリ、マクラーレンのトップ3チーム以外では唯一の表彰台を獲得するなど、徐々に復調したものの、序盤の出遅れが響き、コンストラクターズランキングでは最終的にアルピーヌの後塵を拝する5位となった。
【ギャラリー】マクラーレンF1の60周年記念マシン”MCL60
低迷期を経て2019年シーズン以降は常に中団グループの上位につけてきたマクラーレン。2023年はリカルドに代わり、2021年FIA F2王者のオスカー・ピアストリを迎え入れ、ノリスと共にもうひとつ上のステージへ上がることを目指す。
チーム体制の変更という点では、チーム再建の立役者であるアンドレアス・ザイドルがマクラーレンを離脱。アルファロメオF1チームの母体であるザウバーのCEOに就任したザイドルの後任には、これまでチームでレーシング・エグゼクティブエンジニアを務めてきたアンドレア・ステラが指名されている。
新ドライバー、新代表を迎えて臨む2023年シーズンでカギを握るニューマシンは『MCL60』と名付けられた。
これまでマクラーレンは送り出すF1マシンに対して、1981年以降は「MP4/〇〇」、1997年以降は「MP4-〇〇」、2017年以降は「MCL○○」といったように、〇〇の部分に通し番号を振ってきたが、2023年はブルース・マクラーレンがマクラーレンを創業してからちょうど60年の節目を迎える年。そこでチームは2023年マシンに、これまでの通し番号ではなく創立60周年にちなみMCL60と名付けた。
発表会で公開されたMCL60は、先代『MCL36』の空力コンセプトをさらに進化させたモノであるように見える。ただ、2022年からマクラーレンが採用していたダウンウォッシュ型のサイドポンツーンには、チャンピオンマシンであるレッドブル『RB18』と同様の空力デザインが加えられた。
MCL36と比較してMCL60のサイドポンツーンは引き締まっており、アンダーカットが大きくなっている。ここからはレギュレーション導入2年目のマシンで、冷却についてより攻めた姿勢であることが伺える。
興味深いことに、マクラーレンが公開したMCL60の画像にはMTCで披露されたマシンのサイドポンツーンに見られたRB18のような窪みはなく、チームはオフシーズン中の短い期間にこのエリアでの開発をさらに進めていることが分かる。
マクラーレンは2023年シーズンの第4戦アゼルバイジャンGPから、MCL60にアップデートを投入することを目指している。
MCL60のカラーリングは、フロントウイングのオレンジ色の部分がリヤウイングに移ったものの、MCL36で使用していた通常版カラーリングとほぼ同じ。これまでマシンカラーリングを発表してきたライバルチーム同様、マシンを798kgという最低重量以下に抑えようと、多くの部分でカーボンファイバーがむき出しとなっている。
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