独自アプリを開発できたり管理機能が装備されている
イギリスのロンドンでは、タクシー運転手はカーナビなどに頼らず、頭の中で目的地までのルートを作る高い能力を持っている、と言われることもあるが、いまや日本のタクシーほか業務用のクルマにはカーナビは欠かせないものとなっている。物流を担うトラックや企業の使う営業車にもカーナビは必須だ。しかし、それはドライバーが道を検索するためだけに付いているわけではない。
そうしたクルマに付いているカーナビをよく見ると、筐体こそ市販品と同等だが画面や機能が異なっている。一般のカーショップなどで見かけることはない、業務用カーナビと呼ばれるものが付いていることが多い。いまや業務用カーナビは複数のメーカーから販売され、企業における車両管理に役立つアイテムとなっている。
クラウド機能を利用して、すべての車両の動態を本社で一括管理できるため、適切な利用をしているかどうかを確認できるのはもちろん、ルート配送のような事業においてはルートを効率化するための情報を得ることもできる。また、走行距離なども管理しやすくメンテナンスの最適化を図ることができ、結果として維持費を抑えることも期待できるのだ。
さらに、メーカーによっては業務に合わせた独自アプリの開発も可能となっているほどだ。当然、開発費はかかるが、規模の大きな企業であれば業務改善により開発コストに見合うリターンが期待できるわけだ。また、機種によってはシリアルポートによりほかの機械とつながることもでき、カーナビ画面にセンターからメッセージを表示したりすることもできる。
こうした機能を実装するだけであればスマートフォンやタブレットを利用するという手もあるが、クルマのダッシュボードは夏場には70~80℃にもなるという過酷な環境であり、そうした点で信頼性の高いカーナビを業務用にアレンジして使うというのは理にかなっているといえる。
なお、スマートフォンといえば、タクシーが業務用カーナビのほかにスマートフォンを見えやすい場所に設置しているケースも増えてきていると感じている人も多いかもしれない。これは、スマートフォンのタクシー配車アプリに対応するためで、けっしてドライバーがSNSなどを楽しむためでもなければ、カーナビが役立たないのでスマートフォンを利用しているわけでもないので、早合点しないように気を付けたい。
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