■雨の日は晴天日の4倍も事故が起きやすい!
道路が雨で濡れるとブレーキの効きが悪くなるといわれており、梅雨や台風シーズンを迎え雨が多くなる時期は、より一層の安全運転が求められます。
路面と接しているタイヤの状態や駆動方式によってもクルマの挙動が変わってくるのですが、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。
【画像】「これはアウト!」 これが交換すべき「危険なタイヤ」です! 画像を見る
雨天(悪天候)時の事故の発生件数が多いのは想像に難くないでしょう。首都高速道路の調べによると、青天時の事故発生率を「1」とした場合、雨天時は約4倍も事故率がアップするのです。
近年はSUV全盛で、以前より4WDも増えています。4輪に駆動力が分配されるので雨でも安全性が高いと思われがちですが、一般道においては必ずしも安全とは言えないようです。
では、一般的なFF、FR、4WDといった駆動方式で運転特性の違いはあるのでしょうか。また悪天候に強い駆動方式などはあるのでしょうか。
一般的に、後輪を駆動するFRより、重量物がすべて前方に集まっているFFのほうがトラクション(けん引力)がかかりやすいため、雨天時に強いと言われています。
そして、4WDは4輪を駆動させるのでその分トラクションは得やすいのですが、その反面、複雑な機構によって部品点数が多く重量も増えるため、曲がりにくく制動距離も長くなる傾向があります。
この傾向はグリップ力が下がる雨天はさらに顕著になるとされており、特にFRは操舵を兼ねるタイヤとパワーを伝えるタイヤが違うため、通常時は自然な運転感覚を掴みやすいのですが、ハンドルの切りかたによってはリアタイヤが滑りやすくなります。
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なお、現在では駆動輪の制御技術などが発達し、駆動方式に関係なく横滑りなどの車体の姿勢変化を抑制するシステムも採用されています。
しかし、雨の日ではこうした機能への過信は禁物です。
■雨天時には「タイヤ」の状態に注意!
では、タイヤの制動力は天候によってどれだけ変わるのでしょうか。タイヤ専門店スタッフS氏に聞いてみました。
「同じ銘柄のタイヤで同程度の空気圧の場合、雨天時の制動距離は晴天時の約1.5倍と言われています。
さらに雨天は視界が悪く、危険の察知も遅れ気味です。また気温の低下に伴いタイヤの内圧(空気圧)も下がりますが、それ以上に問題なのが経年劣化です。
なかには数年も同じタイヤを履き続けている人がいるかもしれませんが、溝が残っていたとしてもゴムが硬化している可能性が高く、雨天時に止まれない原因のひとつになっています」
「もちろん速度による違いも大きいです。特に硬化したタイヤは、路面と接地面との間に雨が水膜となる『ハイドロプレーニング現象』も起きやすくなります。
タイヤは柔軟性も重要で、これによって路面への追従性やグリップ(摩擦力)、小衝撃の吸収、排水性の確保などを担っているのです」(タイヤ専門店スタッフS氏)
「タイヤは新しいほど良い」と聞きますが、最近はタイヤの価格が高騰しており、頻繁に買い替えることは難しいかもしれません。
いま履いているタイヤで、雨天時の安全性を高める方法はないのでしょうか。
「タイヤを『適正空気圧』に保つことが大切です。街を走っているクルマの4割近くが空気圧不足という検証データもあり、空気圧をチェックしていない人が多いのかもしれません。
そもそもタイヤの空気圧は1か月で約5%も抜けてしまうと言われるほど低下しやすく、定期的にチェックして足りなかったら補充する必要があります」
空気圧不足になるとタイヤが潰れて変形します。一見、接地面が増えるとグリップ力が上がると思われがちですが、実際は偏摩耗が起きやすく、制動距離も伸び、排水性が下がって、雨天時の運転に支障をきたしてしまうのです。
「かといって、空気圧を高めすぎてもあまり良いことはありません。この場合もタイヤが変形し、『転がり抵抗』は減少しますが接地面も減り、グリップ力が低下します。
数か月に1度は空気圧をチェックして適正に保つように心がけてください」(タイヤ専門店スタッフS氏)
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ほかにも、安全対策として「走行速度を下げて走行すること」がもっとも手軽にできる方法です。
タイヤのグリップ力不足に陥る要因のひとつが「速度超過」で、特に雨天での走行は、速度を落とすことでコーナリングにも余裕が生まれます。
その余裕が急ハンドルや急ブレーキなどを回避することにつながるので、駆動方式やタイヤの性能に依存せず、雨の日は速度を控えて運転しましょう。
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