クルマ以外にもデザインをしていた巨匠
日本車では、いすゞ117クーペと初代ピアッツァ、トヨタ・アリスト、スバルSVX、マツダ・初代ルーチェ(セダン)、ダイハツ・ムーヴなど。輸入車ならVWゴルフ、シロッコ、パサート、フィアット・初代パンダ、初代プント、クロマ、ランチア・テーマ、デルタ、マセラティ・クワトロポルテ、ボーラ、メラク、アルファロメオ・ジュリアスプリントGT、スッド、同・スプリント、アルフェッタGTV、159、ブレラ、ロータス・エスプリ、デロリアンを始め多数。
意外すぎる巨匠の作品! 「ジウジアーロ感」のない「ジウジアーロデザイン」の日本車5選
こう書けば(その前に記事のタイトルまわりできっと謳われているはずだから)おわかりだと思うが、これらはいずれもG・ジウジアーロがデザインを手がけた、お馴染みのクルマたちだ。
カーデザイナーを代表する巨匠のひとり
カロッツェリア(といってもP社のカーナビ/カーオーディオのブランドのことではなく、イタリアのデザイン工房のこと)の“ベルトーネ”“ギア”時代やショーモデル、そのほか大人の事情で公表はされなかったものの実際にはジウジアーロが関わったモデルまで含めたら、いったいどれほどのクルマのカタチを生み出したのだろう。
それほど自動車の世界では語らずして済ませられないカーデザイナーを代表する巨匠のひとりがG・ジウジアーロだ。
もちろん時代やクライアント(メーカー)ごとに“作風”はいろいろだ。けれど一貫しているのは、どのクルマもシンプルでバランスがよく、それをエレガントに見せている点だ。時に一見すると普遍的なようでも、じつは周到かつ絶妙な形に仕上げられていて、だからこそすんなりと気持ちよくわれわれの目にスタイリングが入ってくるのだと思う。
そんなG・ジウジアーロが独立後、自らのデザイン会社“イタルデザイン”を立ち上げ、ビジネスの幅をさらに拡大したのもご承知のとおり。その範囲は乗り物に留まらず、パスタ(!)、アパレルから海岸線の遊歩道(!)まで、じつに多岐に及ぶ。
今回はザックリとではあるが、そんなG・ジウジアーロのクルマ以外の仕事ぶりの一部を、筆者の私物を紛れ込ませつつご紹介してみたい。
ジウジアーロがデザインした工業製品
ニコンF3(1980年)
スペースシャトルにも搭載されたニコンF3。まだフィルム時代だったニコンの一眼レフの当時としては新シリーズとして発売されたモデル。極めてオーソドックスながらもバランスのとれたデザインが採択され、グリップ付け根の赤いラインがポイントだった。ほかにカメラ複数機種、サングラス、双眼鏡もデザインしている。筆者はフィルム時代はキヤノン派だったので、残念ながら所有経験はないが……。
セイコーの腕時計(1982年)
初出以降、何度か復刻版がリリースされたほか、このほかにもアナログのダイヤルで他のモデルも発売された。写真に写っている実物は、確か90年代に復刻された際に入手したもので、シリアルナンバー入り。“MODE”のモデル名で、ステアリングに手を置きながらでも見やすいよう、文字盤が25度傾けられ、見る角度を問わないよう凸面ガラスを用いている。
オカムラ・コンテッサ(2002年)
オフィスチェアを手がけるオカムラから発売された最初のモデルがこのコンテッサ(とバロン)。基本的な機能は一般の仕事椅子と同じだが、肘掛け、操作レバーなどディテールへのこだわりがジウジアーロらしい。写真は筆者仕事部屋にある実物の上に、同じ水色の写真が載っているカタログのページを開いて置いて撮ったもの。
三菱重工ビーバーエアコン(1992年)
かつて三菱重工業から発売されていたエアコンのうちの1機種に、ジウジアーロ・デザインのモデルがあった。何を隠そう、筆者はその存在を知るや否や飛びついた1人で、実物はすでにお役ご免となっており、証拠に(!?)手元に残した取説をカタログとともに写してみた。 室内機とリモコンが独自のデザインで、グリーンとベージュのハウジングに、ピアッツァあたりを思わす赤いピンストライプが引かれたデザインだった。
JVCカーオーディオ(1991年)
JVC(当時)のカーオーディオにあったジウジアーロ・デザイン。写真にははチューナーデッキとCDチェンジャーが写っているが、別のデザインのデッキがもう1シリーズあった。ショーモデルの“ASPID”のテールランプのイメージというオーバルをモチーフにしたデザインは、いかにもジウジアーロ!
ロードス・ノイエス(1992年)/カネボウAVA(1982年)
資生堂、カネボウの両社もジウジアーロのクライアントだった。ノイエスは男性化粧品ロードスの上級の製品でボトルをデザイン。AVAは斜めのパターンを基調にした、これも見るからにジウジアーロのデザイン。
まだまだある! ジウジアーロが手がけたプロダクト
私物(笑)でほかに手元にあるものでご紹介すると、カセットテープ(That’s)、ライター(ウインドミル)など。キーホルダー(キーは刻印でおわかりと思うが初代ピアッツァと117クーペのもの)はアパレルを立ち上げたころのものだったと思う。
もうひとつ円形の短い筒状の物体が写っているが、これはクルマのエアレジスターに挿して使うフレグランス。メーカー名は失念してしまったが、これもデザインがジウジアーロということで購入したもの。それと実物がないのでカタログを写してあるが、工具でおなじみのマキタの各種DIY工具(とロゴ)も手がけたプロダクトだ。 そのほか通販限定だったソニーのCD/MDプレーヤー、タイプライター、ミネラルウォーターのボトル、自転車(ブリヂストン)、ヘルメット(昭栄)や、当然ながらクルマのパーツ単体もアルミホイール、ステアリング、シートを始めホーンなども手がけている。これまで実に多岐にわたるジウジアーロ作品が生み出された。
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