アウディの次世代スーパースポーツRS e-tron GTに試乗してきた。ドイツプレミアムブランドの各社は電動化へシフトするに伴い、サブブランドを立ち上げ展開しているが、アウディはe-tronの名称でラインアップしている。
そのフラッグシップとなるのがスーパースポーツのグランドツーリスモ「e-tron GT」で、よりハイパフォーマンスのRSモデルに試乗した。
プラットフォームは「SPE」スポーツプラットフォーム エレクトリックで、ポルシェタイカンと共通だ。これに前後にモーターを搭載する2モーター式のクワトロで93kWhの電力量で500kmの後続距離を持っている。
試乗車は最大475kW(646ps)/830Nmもの大パワーを持ち、アクセルを少しでも深めに踏み込もうものなら、周囲を全て置いてく加速力を発揮する。日本の幹線道路などアクセルに足を乗せておけば十分なほど。しかも静粛性を保ちながら。
かつてのスーパースポーツに搭載しているV型12気筒や、V10、V8エンジンは、ゴロゴロと猛獣が喉をならすような音をさせながらゆっくりと走り、そのパワーを隠す姿に惚れたものだ。ところが次世代のスーパースポーツにはその音はない。が、RS e-tron GTには独特の静粛性があり、単に無音なわけではなく音が消された無音環境であることが伝わってくる。
思い切ってアクセルを踏み込むと、次世代の未来感溢れる金属音、電子音を出しながら全身がシートに押しつけられる。これまで味わったことのない空間移動だと感じる。「本当に道路の上を走っているのか? じつは数センチ浮いて飛んでいるのではないか?」と錯覚するほどで、まさに空間を移動している感覚で、かつて感じてた地面を蹴って走行しているものとは別物だ。
このゴージャスな加速を支えるクワトロユニットは、従来の機械式クワトロの5倍の速度で反応し、車体を安定させる。21インチという大径タイヤとエアサスペンションによって、ドライバーの込み上げるような欲求はしなやかにいなされていく。
これほどの高品質で獰猛さを持つRS e-tron GTは、ドイツ・ネッカーズルムにあるベーリンガーホフ工場で、カーボンニュートラルな環境で製造されている。バイオガスを燃料とする熱電併給プラントは、車両の生産において必要とする熱を供給し、そして再生可能なエネルギー源の使用に伴ってどうしても避けられないCO2の排出は、認証を受けた気候保護プロジェクトのカーボンクレジットを使用して相殺している。
材料はクローズドループで製造されていく。アルミの再生、プラスティックのリサイクルなど優れた環境への配慮がなされ、高品質で次世代に相応しい高級スーパースポーツが生まれ育っているのだ。
こうして組み上げられたRS e-tron GTを眺めてみると、パネルの隙間は小さくアウディのこだわりでもある組み立て精度は引き継がれ、艶やかで精緻なボディは、顔を近づけプレスラインの伸びやかさを目で確かめる行動へと導く。1mmも狂わない精度を確認すれば、思わず手のひらで撫で回したくなる衝動が起こる。
クワトロブリスターフェンダー、六角形のシングルフレーム、マトリックスLEDヘッドライトなど、どれをとっても美しく先進的でフラッグシップである所有する満足感と共に多幸感を味わう。乗り込めば、低いドラポジと幅広いセンターコンソールで包み込むモノポストデザインで、走る前からスーパースポーツであることを予感させる。
そしてGTという名称どおり、4ドアのグランドツーリスモであり後席はくつろげるスペースも持っている。紛れもないEV車でありながら、コンチネンタル グランドツーリングであることも伝わってくるのだ。
全てが電動化されたRS e-tron GTのステアは重く、しっかりとした手応えが伝わり切り戻しでも手応え、路面のフィードバックも感じ取れる。改めて物理とは不思議であり、無限の可能性へと広げる知識だと実感を持つ。
インテリアはペットボトルや漁の網などがリサイクルされているというが、微塵も分からない。ハイスペックな高級車にはどこか背徳性が漂うかもしれないが、環境への配慮がされた高級品であるという背中を押してくれる要素があり、走行時のCO2排出ゼロ、カーボンニュートラル製造、クローズドループの材料、リサイクルでの活用など、富裕層を納得させるに十分な要素を持っていることが伝わってくるのだった。<レポート:高橋アキラ/Takahashi Akira>
価格
車両本体価格:RS e-tron GT 1799万円
試乗車:2063万円(オプション総額264万円)
The post まるで空間移動!?アウディ「RS e-tron GT」試乗記 first appeared on オートプルーブ - Auto Prove.
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みんなのコメント
アウディジャパンは98年にVGJのアウディ事業部が分離して事業を開始した法人で、24年ぶりに合流することになる。
「元の鞘に収まる」形となった今回の合併は、フォルクスワーゲングループが世界各国で進める現地販売法人再編の一環。シェーパース社長によると、自動車業界で脱炭素の機運が高まる中、ブランドの垣根を越えた戦略の策定が不可避となったことが背景にあるという。
日本法人として、足元ではEV販売に不可欠な急速充電網の整備などを各ブランドごとに進めているが、合併後はグループ一体での展開を加速させ、導入の迅速化や投資コスト節減を目指す。車両投入計画や販売台数目標、広告活動などの戦略は、今後も各ブランドが独立して策定する。
一方のアウディ ジャパンがアウディとランボルギーニを輸入、販売する形になっているが、
ドイツ本社のグローバル戦略に従ってフォルクスワーゲン、アウディ、ベントレー、ランボルギーニの4ブランドを一つの法人の下に再編することになった。