オール電化へと舵を切ったフォルクスワーゲンが次に市場投入するのは、クロスオーバーSUVのBEV、IDシリーズで2番目のモデルとなるID.4だ。ドイツ本国での発売開始は2021年2月で、2022年には日本への導入もほぼ確定。パワーソースだけでなく、ゴルフをも凌ぐ高いユーティリティ性も要注目だ
バランスの良さが光るVW発のグローバルEV
【フロントライン】「フォルクスワーゲンID.4」VW帝国のエレクトリック戦略が加速!
フォルクスワーゲン(VW)初のBEV、ID.3に続くID.4は世界戦略モデルで、前者がおもにEU市場をターゲットにしているのに対して、後者はおよそ100カ国への輸出が計画されている。それだけではなく、北米や中国など巨大市場においては各々の国での現地生産も視野に入れている。
ウォルフスブルグを基点に開催された試乗会で、初めて屋外で見たID.4の印象は実に堂々としたものだった。フレキシブルなMEBベースの全長は4584mm、全幅は1852mm、全高は1612mmで、実質的にはワンクラス上のティグアンよりも100mm長く、10mm幅広い。キャビン内に入るとその印象はさらに強調されるが、これは床下にバッテリーやパワートレインなどすべてのメカニズムを収納した結果で、特に後席空間はセンタートンネルなどがないため居住性はきわめて良好だ。また、ラゲッジルーム容量は通常時で543L、最大で1575Lと、この点でもティグアンを上回っている。
やや高めのドライバーズシートに腰を下ろすと、目の前には10インチのモニター、そしてダッシュボード中央には12インチのタッチスクリーンなどID.3と同様の光景が目に入る。操作系はもうすでに慣れていて問題はないが、ドライバー正面のモニターはやや遠く離れた印象で、細かな数値が見にくいのが難点か。ただし、ID.3で散見された工作精度の粗さはきちんと解消されている。
試乗車はエディション1(ファースト)Maxと呼ばれるフル装備の上級モデルで、搭載されるモーターは150kW(204ps)と310Nmを発生。自重2.2トンの重量級ボディながら0→100km/hを8.5秒で加速させ、最高速度は160km/hでリミッターが介入する。
走り出してすぐに気付いたのは想像以上に取り回しが良いことで、狭い街中でも特に気をつかうことはない。それもそのはず、回転直径は10.2mと最新のゴルフVIIIよりも1m近く小さいのだ。これはフロントにエンジンを横置きするゴルフに対して、リアに電気モーターを置くことで舵角が大きくなったID.4のレイアウト上のアドバンテージだ。
また、オプションではあるがAR(オーギュメント・リアリティ)を搭載したナビゲーションは、行先の道路に矢印が(システム上に)照射されるのでとてもわかりやすい。右左折でウィンカーをセットするとウィンドシールドの下部にLEDライトが流れるのはややギミックな感じはするが、小さな光が点滅するよりはハイテク感が伝わってくる。
ダイナミック性能は必要十分以上で、電気モーターならではの瞬時に立ち上がるトルクによりキビキビとした走りが楽しめる。シャシーもバランスのいいセッティングで、乗り心地はフラットで快適。アウトバーン上でのロードノイズも気にならず、SUVとしては優秀な0.28というCd値のおかげで風切り音も少ない。
コーナーの連続では、低重心を活かし安定した姿勢で駆け抜けることができる。軽めのステアリングはクイックでいいのだが、やや路面からのインフォメーションが不足気味。スポーティな走りを楽しみたい時には、ダイナミックシャシーコントロールを「スポーツ」にセットすればドライバーの要求にきっちりと応えてくれるはずだ。ID.4、なかなかの優等生である。
【SPECIFICATION】フォルクスワーゲン ID.4 Max
■全長×全幅×全高=4584×1852×1612mm
■ホイールベース2766mm
■バッテリー容量=77kWh
■最高出力=150kW(204ps)
■最大トルク=310Nm(31.6kg-m)
■最大航続距離=522kn
■サスペンション形式=(前)ストラット/コイル、(後)マルチリンク/コイル
■ブレーキ=(前)ディスク、(後)ドラム
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みんなのコメント
500万なら良い勝負。 700万ならアリアの方がよさそう。日本車には頑張ってもらいたい。