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勢いに乗ったライアン・ブレイニーが初戴冠。ペンスキーがカップ連覇を達成/NASCAR最終戦

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勢いに乗ったライアン・ブレイニーが初戴冠。ペンスキーがカップ連覇を達成/NASCAR最終戦

 ついに2023年ポストシーズン最終ステージ“チャンピオンシップ4”の週末を迎えたNASCARカップシリーズ第36戦『NASCARカップシリーズ・チャンピオンシップ』は、10年目を迎えたプレーオフ制で初めてレースウイナー以外がチャンピオンに輝く結末に。

 フェニックス・レースウェイでカップ通算4勝目を飾ったロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)に続き、ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)がライバルを従え2位でチェッカー。前戦マーティンスヴィルの勝利で自身初進出を決めた勢いそのままに悲願の王座に到達し、昨季のジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)に続き、2年連続でペンスキーにタイトルをもたらした。

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 前週のリザルトは13位ながら、なんとか最終ステージ進出最後のひと枠を手にしたウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が予選最速を記録。ポールウイナーとして優位なポジションとピットストールを選択する権利を得て始まった週末は、前段の“ラウンド・オブ・8”で勝利を挙げたカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)と、クリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)、そしてブレイニーの4名による争いとなった。

「クルーたちの仕事ぶりは本当に最高だ。今週末はこれまでとまったく違うレースだしバランスを調整する必要があるが、彼らと一緒に戦うのがとても楽しみだ」と、まずはプレーオフ権利を有するドライバーとして最前列獲得の喜びを語ったバイロン。

「今週末はキール(最先端)にいるから、あとはレースカーの製作に取り掛かるだけさ」

 そんなプレーオフドライバーたちに挑んだのが、8番手発進のチャスティンと、これがキャリア最終の“引退試合”となるケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)で、最初の60周となるステージ1最後の3周でハイラインを選んだバイロンに対し、3番手発進のハーヴィックとチャスティンが0.584秒差に迫ると、続くステージではこのふたりがステージウイナーを抜き去って、立場を逆転させ重圧を掛けていく。

「トラックのラバーインが進んでから、とても(ハンドリングが)タイトになった」と、続く93周目にはハーヴィックにリードラップを奪われたバイロン。

「コース上でリードを失った時点で、バランスは大きく変わってしまっていた。ターン1と2であまりスピードを上げることができず、車速を落としてボトムラインを選択せざるを得なくなった。それがすべてさ」と、この時点で苦しい展開を予測していたバイロン。

 続いて悲運に見舞われたのはトヨタのベルで、20号車カムリのレースは108周目に突如として崩壊。ターン3で右フロントローターが“暴発”し、そのまま制御不能でウォールに衝突。ここでベルのシーズンは唐突に終わりを告げた。

「僕のキャリアの中でローターが『爆発』したのはこれが初めてさ」と、強制的にインフィールドのケアセンターに搬送され検査を受けたベル。

「ああ、それは心底驚いたよ。レース序盤で少しブレーキフェードが発生し、ステージ2の走行ではさらに悪化してしまった。なぜ、そうなったかはわからないけど、明らかに残念な終わり方だよ……」

 これで2度目のコーションが発生し、117周目のリスタート後はチャスティンがハーヴィックを抜いてトップに立ち、このあとステージ2を制覇することになるクリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)が171周目にトップの座を奪うまで、54周連続で先頭を走り続ける。

 レースハイとなる157周をリードしたチャスティンに対し、これがラストレースのハーヴィックも23周のリードラップを刻み、最終的に7位でフィニッシュする力強いドライビングを披露した。

「僕らはここスチュワート・ハース・レーシングで、ゼロからチームを作ってきた」と、栄光のキャリアを振り返ったハーヴィック。「非常に多くのものをゼロから構築し、そんな努力は人に認められるものだと思う。この1週間を通じて皆さんが見てきたように、僕はかなり感情的な人間だ(笑)。でも、それを隠すのに今日は本当に良い仕事をした。キャリアを通じた“グレート・ライド”には、なんの不満もないね」

 一方、今季最後の312周目でフェニックス初制覇を成し遂げたチャスティンも、カップ4勝目の栄誉以上に、ハーヴィックとのレースを「満喫した」と語った。

「こうして彼とレースするのは一生の目標だった。僕の中では小さな子供が、彼を憧れの眼差しで見ているんだ」と続けた勝者チャスティン。

「2005年版のNASCARのTVゲームでは、僕は必ずGMグッドレンチ・カラーの29号車(リチャード・チルドレス・レーシングとハーヴィックの初カップカー)を選んでいた。そんな僕が今、こうしてGMシボレーのカマロZL1をビクトリーレーンまで運んでいるんだ!」

 その背後、最終ステージでは三つ巴の勝負が展開され、バイロンとともにHMSの宿願達成に挑んだラーソンは、275周目のターン3でカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)のスピンによる最終コーションの際、ピットロードでブレイニーを出し抜いていく。

 しかし最後までスピードを失わなかった12号車のマスタングは、292周目にHMSの5号車カマロZL1を鮮やかに逆転していった。

■降格の雪辱を果たすシリーズチャンピオン獲得

「ああ、今日の彼のクルマは本当に速かった」と敗戦を認めたラーソン。

「でも本当にここ数カ月、そしてとくに今日のようなレースでは、ピットクルーとピットロードでの仕事おかげで、僕らは本当にゲームに参加することができた」

「今週はコース上で最高ではなかったが、ピットストップでの対決を望んでいた。なぜならそこで勝つ方法を熟知しているからね。彼らは勝利をもたらすために全力を尽くしてくれた。クルーには本当に感謝している」

 そのまま3番手にラーソン、4番手にバイロンを従えたブレイニーが、勝者チャスティンの背後1.230秒差でゴールラインを迎え、チャンピオンシップの週末を完遂する2023年カップ王者の称号を手にした。

「僕らにとっては信じられないシーズン、信じられないプレーオフだったよ!」と、ポストシーズン後半戦の上り調子をタイトルに結びつけたブレイニー。

「ロジャー(・ペンスキー代表)がカップ戦で連続タイトルを獲得できたことは、とても特別なことだ。家族がここにいて、初のカップタイトルを獲得して……普段はそんなタイプじゃないのにドライバーズシートで感情的になったよ」と続けたブレイニー。

「いつだって自分自身のことはきちんと認識したい、つまり僕らはこの夏の間、あまり調子が上がらず苦戦していた。でも、このチームは絶対に投げ出さずに仕事へ向かう。諦めずに問題の解決に立ち向かうんだ。僕はチーム・ペンスキーのメンバーとともにいる、ただ頭を下げて仕事をし、挑戦を受け入れる、この素晴らしいメンバーと一緒にね!」

 同じくタイトル決定戦として併催された第33戦『NASCARエクスフィニティ・シリーズ・チャンピオンシップ・レース』は、候補者たちが延長リスタートでのバックストレッチ“3ワイド”の勝負を繰り広げ、今季よりシリーズに復帰したコール・カスター(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が今季3勝目をマーク。カップ降格の屈辱を晴らすシリーズチャンピオンを獲得してみせた。

 さらに、第23戦となった『NASCARクラフツマン・トラック・シリーズ・チャンピオン・レース』では、大荒れの末に終盤戦で抜け出したベン・ローズ(ソースポーツ・レーシング/フォードF-150)が、2年ぶり2度目のシリーズチャンピオンを獲得。服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)の16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRD-Pro)は22位でシーズンを終えている。

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