ダイムラー主導のモデルとしては、最終型になる可能性が高いスマート。マイチェンを機にフルEV化され、「EQ」のブランドバッヂを掲げている。シティコミューターというジャンルに、どんな新風を吹き込むのだろうか。(Motor Magazine 2020年4月号より)
スマート全車種EVを機にEDからEQに改名
ダイムラーは2020年、ステークホルダーである中国ジーリーとの協業の一環として、完全折半出資でスマートオートモービルカンパニーを杭州に設立。EVオンリーのブランドとしてスマートを再出発させる旨の発表を行った。先駆けてダイムラーは20年を目処にスマートのEV化を進めるという旨の発表を2年前に行っており、この協業はそれを裏付けるものといえるだろう。
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そんな青写真に沿って、2019年のスマートは淡々と内燃機モデルの生産を終了。フェイスリフトを伴うこのマイナーチェンジを機に全車種がEVに切り替わった。
欧州では18年から発売されていたスマートED(エレクトリックドライブ)が、ダイムラーの電動化戦略のキーワードであるEQに改名されるに伴い刷新。EV版のスマートは、フォーツーとフォーツーカブリオ、フォーフォーの3バリエーション構成で、3つのトリムラインが用意される。日本への導入は20年内を予定しているが、正確な日程や仕様に関しては未定だという。
有償無償のカーシェア機能構築も可能
グリルレス風のフロントフェイスやXレイアウトのLEDコンビランプなどで外観のイメージを改めたスマートEQ。見た目的にはアンダーグリルの台形形状によって、フォーツーとフォーフォーが区別される。内装はセンターコンソール付近のデザインが変更され、スマートフォンなどが収納できるトレー型の小物入れを増設、8インチのタッチスクリーンも標準で用意される。
このマイナーチェンジにあたってスマートEQはコネクティビティまわりの機能を強化。欧州仕様ではスマートフォン、もしくはApple Watchのアプリを介して、駐車位置や充電状況の確認、解錠や施錠、充電スポットの予約や充電中であればプレ空調の作動なども制御できる。また、家族や友人、知人などに対して愛車を無償もしくは有償でシェアする管理機能なども構築されるという。
こうしたアプリは日本仕様での対応は難しそうだが、Apple CarPlay やAndroid Autoを先述の8」インチタッチモニターとリンクさせることが可能。また、車載ナビゲーションによる最寄り充電スポットの検索や誘導などのローカライズは、施される予定だ。
スマートEQが搭載するバッテリーはEQCと同じく、ダイムラー傘下となるドイツのアキュモーティブ社製で、容量はフォーツー、フォーフォーともに17.6kWh。後軸側にマウントされるモーターも共通で最大トルクは160Nm、最高出力は60kW、連続出力は41kWとなる。航続距離は車体によって微妙に異なるがNEDC計測値で159~153km。瞬発力の指標となる0→60km/h加速はフォーツーで4.8秒、フォーフォーで5.2秒と、日産リーフと比べても遜色ない。最高速は130km/hだ。
充電については日本仕様では200V・15Aの普通充電を基本とし、CAdeMOには非対応となる。欧州仕様でも22kWの充電まで対応するが、Combo等の急速充電システムには対応していない。これは小型軽量のバッテリーを、再生可能エネルギー由来の電気など多様な充電系統で満たすというEVの効率的理想像をとことん追求したがゆえだという。
スマートEQの動力性能は、基本100km/h以下という日本のトラフィックに照らせばまったく不満のないものだった。とくにフォーツーはその軽さとショートホイールベースを利して、内燃機モデル以上にキビキビ痛快にふる舞ってくれる。対するフォーフォーは動力性能も乗り心地も落ち着きのある印象だが、静かさと重心の低さがクルマのクラス感を高めている。それによって、シティコミューターの域を超えた快適性までもたらしてくれた。
究極のミニマル化による移動負荷低減という90年代からのスマートのコンセプトは、EV化によって一段と鮮明に我々に伝わるものになったといえるだろう。(文:渡辺敏史)
■スマートEQフォーフォー主要諸元
●全長×全幅×全高=3495×1665×1554mm
●ホイールベース=2494mm
●車両重量=1200kg
●モーター最高出力=160kW
●モーター最大トルク=160Nm
●駆動方式=RR
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まぁ欧州車が「電装系が弱い」と言われて来た要因がボッシュだからしょうがないか